紹介で患者さんが来られました。

ご相談内容をお伺いすると、既往歴、現病歴が多く、そして、現在のお悩みの症状も多岐にわたる方でした

そのため、それらのお話を一通りお伺いしてから、優先順位をつけて順次治療していくことにしました。

まず既往歴・現病歴ですが、ソフトボール大の子宮筋腫があるそうです(今は閉経している)。

それ以外に高血圧と糖尿病、高脂血症、まだ痛風にはなっていないそうですが、高尿酸血症があるそうです。

それ以外にアレルギー性鼻炎、喘息様の症状、胃痛、不眠症などもあるそうでした。

それ以外に気になる症状としては、ばね指、ヘパーデン結節、耳の中でポコポコ音(耳鳴り)がするそうです。

それ以外に目の疲れがひどいそうです。不眠症はまだましな方で平均睡眠時間は4時間くらいで、寝つきが悪く2~3時間の日もあるそうです。

高血圧は180/90で結構高いです。

当然服用されている病院の薬も多岐にのぼり、高脂血症の薬、降圧剤関係の薬が4種類、アレルギー関係のお薬が2種類、安定剤1種類、睡眠薬1種類、痛み止め1種類、胃薬を2種類、糖尿病のお薬2種類、尿酸値を下げるお薬、服用されていました。

なかなかの薬の量でした。

漢方治療イメージ

とりあえず、これらの疾患・症状の中で、ご本人様が気になっていて、比較的治療しやすいものから治療していくことにしました。

まず耳鳴りを東洋医学的にチェックしてみると、東洋医学的な問題ではない気がしました。

そこで改めて病院で出されているお薬の相互作用にについてチェックしなおしてみると・・・どうも高血圧の薬同士の相互作用の気がしました。そこで、お医者さんと相談してお薬を減らしてもらえないか?をお願いしました。

今回は、疾患症状のお話を聞くのでいっぱいいっぱいだったので、そこだけお願いしました。

そして2週間後に来られた際に、お話をお伺いすると・・・一つ減らしてもらえて、耳のポコポコはまだあるけど左耳の音は消えたそうです。

そして、今日は右目が開きにくい、鼻が乾き、口渇、痰がでる、嗅覚が感じにくい、下半身のびりびり感、陰部の痒みがあり掻くと皮膚炎の症状が出てくるそうでした。

口渇は糖尿病と一致したので、急には改善しないため、保留して、それを患者さんにお伝えしました。

嗅覚障害に関しては、新型コロナ感染症も疑いましたが、東洋医学的にチェックすると、感染症の反応は出ていませんでした。

これらの症状の原因を一つ一つチェックしてみると・・・どうも心因性の問題のように感じました。

そのためストレスを改善する目的で漢方薬を2週間分お出ししました。

そして2週間後来られた際に症状をお伺いすると、前回の症状の多くが改善していました。

耳のポコポコ感、右目が開きにくい、嗅覚が感じにくい、下半身ほピリピリなどはすべて改善していました。

しかし、さらに2週間後に来られた際には再び右耳のポコポコが出てきたそうです。

また今回は胸の真ん中あたりにつまり感が出てくるそうです。

そして、陰部の痒みとヒリヒリ感も出てきたそうでした。

そこで、お話をお伺いすると、やはり、ストレスが強くかかるとこれらの症状が出やすいようでした。

そこで再びストレスを改善する漢方薬をお出しました。

そして2週間後来られた際には再び症状が落ち着いていました。

これらの事も踏まえて、この患者さんに合っていると思われる養生法をお伝えして実践していただくようお願いしました。

そして、ご自身がどういう時にストレスを感じやすいのか?ということも自覚していただくようにしました。

そうすると、今まで原因不明の症状でびくびくしていてさらに症状が悪化していたものが、原因がストレスでどういう時にストレスを感じるか自覚したことで、恐れが無くなり、それほど悪化しなくなったのです。

そのように漢方相談を繰り返していくことで、徐々に多岐にわたっていた身体症状は徐々に出なくなってきました。

そこで、その都度出てくる、身体症状以外の西洋医学的な病気の治療も希望されたので、多くの疾患の中からとりあえず糖尿病の治療を行ってみることにしました。

この方、病院の糖尿病の薬を服用されても、空腹時血糖の値が170~180(正常は100前後)㎎/dlと高くヘモグロビンA1Cが8~9(正常値おおよそ6.0未満)と異常に高いのです。
※ヘモグロビンA1Cは検査機関によって異なります。

体重も身長から考えるとかなりありました。

これらの前提+東洋医学的な体質を合わせて、この患者さんに合いそうな漢方薬をお出ししてみました。

その後服用されて調子は悪くなさそうでしたし、病院での検査も最近受けられていないということで、漢方薬がどの程度効いているのか?確認はできませんでした。

それから数か月後、患者さんが血相を変えてご相談に来られました。

ヘモグロビンA1Cが今までの中で過去最高に高く10を超えて病院の先生にかなり厳しく言われたようでした。

しかし・・・漢方薬は合っている気がします。

食養生イメージ

そこで、普段のお食事について聞いてみたら、病院でも漢方でも糖尿病のお薬を出されていることで、かなり安心していたようで、甘いもの(特に果物)を結構摂られていたのです。

糖尿病の怖さをあまり実感されておらず、食事に対する認識もかなり甘いことが分かりました。

そこで、糖尿病の食養生の基本的なお話をしてとりあえず、甘いものを控えるようにお願いしました。

次に改めて漢方薬が合っているか?合っていないか?チェックしてみたところ、やっぱり合っていたので、可能な範囲で増量してみることにしました。それから3か月後病院で再びヘモグロビンA1Cを測定したところ、その数値が一気に10.4→7.6まで下がっていたそうです。

病院で治療を始めてからこんな数値になったのは初めてだそうで、担当のお医者さんも、こんなに急激にヘモグロビンA1Cが改善したことに驚かれていたそうです。

やはりご本人の意識の変化は大きかったと思います。

糖尿病は西洋医学的には生活習慣病ですから、生活習慣を変えると良くなる病気なわけです。

また東洋医学的には医(漢方薬)が三分(3割)、養生(日常生活)が七分(7割)という考え方があってまさにその通りだなと思いました。

そして漢方薬も合っていたのだと思います。

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