少し前まで漢方相談に来られていた患者さんから、再びみてほしいと連絡がありました。

この方は最初、更年期障害のご相談で来られた方なのです。

最初の症状はさみしくなって不安になる、ホットフラッシュと胃がものすごく痛い、首の痛み、肩こり、便秘等でかなりつらい様子でした。

中でも不安感は夜になるとひどくなり、じっとしていられなくなるそうでした。

そこで、さらに漢方的な質問を行い、東洋医学的なチェックを行いました。

それと並行して、今まで服用されていた、サプリ及び漢方薬などをチェックしましたが合っていなかったため、止めていただくようお願いしました。

しすて、この患者さんに合うと思われる漢方薬を出しました。

そして、2~3週間間隔でご相談に来られました。

最初の服用2週間でホットフラッシュと首の痛みの軽減を実感されたそうです。

さみしさと不安感は微妙に良いという感じみたいでした。

胃痛は変わらないとのことでした。。

次に、来られた際にはホットフラッシュは一度も出なくなったそうです。肩こり、首の痛みも楽になったそうです。

でもさみしさは横ばいで胃痛は変わらないとのことでした。

ただ、漢方薬を東洋医学的にチェックすると、この患者さんにはまだ合っていると思われたので、漢方薬は変更せずにそのままで様子をみることにしました。

そして漢方薬の服用から約2か月で肩こり、首の痛み、胃痛、ホットフラッシュなどはすべて出なくなったそうです。

その代わりというか・・・眠気、だるさが出てくるようになったそうです。

ストレス改善イメージ

この症状は緊張がとれてくる過程で起こる現象のこともあり、一概には悪いとは言えないのです。

そのため、この患者さんにさみしさや不安感にについて改めてお伺いしたところ、不安感とさみしさは最初程ひどくないですが、残っているようでした。

そのため、完全に漢方薬が合わなくなって出てきている症状とは異なると思いました。

そこで、漢方薬の組み合わせを修正して漢方薬をお出ししました。

その後はご家族のことで、心配事が増えると症状が増し、それが落ち着けば症状が治まる。

何もなければ症状は気にならないという感じまで安定してきました。

ところが突然、ものすごく大きながストレスが加わり、再び症状が悪化したのです。

そこから、また漢方薬を何度か修正して多少落ち着いてきた頃にピタっと漢方相談に来られなくなったのです。

そして、それから半年以上経過して再びご相談の連絡があったのです。

症状をお伺いすると声枯れ(嗄声)で困っているとのことでした。

電話予約の際、ものすごく声が聞き取り辛いと思ったら、そういう事だったんですね・・・

漢方相談に来られる約3ヶ月前に急に喉が痛くなったそうです。

そこで病院に検査に行ったそうですが、コロナなインフルエンザなどは一切なかったそうです。

漢方の治療イメージ

それから1か月後に声が出なくなったそうです。

声を無理に出しても声枯れの状態でまともに話せなかったそうです。

感覚としては喉に痰が張り付いている感じなのだそうですが、耳鼻科に行って診てもらったそうですが、特に何も問題は無いということでした。

その後、他の病院に行ったみたいですが、大きな所見も無く、症状も改善されえないため、再びご相談に来られたのです。

通常、声枯れ(嗄声)というのは、漢方的には陰虚(身体の水分不足)で起こることが多いのですが、この患者さんの今までの経緯と今回の症状の出し方から、これはメンタル的な原因で生じしているのではないか?と思いました。

漢方用語の一つに梅核気(ばいかくき)という言葉があるのですが、この言葉は『喉の奥に梅干しの種が詰まったような感じがする』という患者さんの訴え(症状)を一言で表したもので、この症状は気滞(きたい:気のとどこおり)の特徴的な症状なのです。

気滞を今の近い言葉で表せば、ストレスで自律神経や精神が乱れている状態なのです。

これが行き過ぎて痛みとして感じたり、声枯れとなったのではないか?と考えたのです。

そこで、実際にチェックしてみると、患者さんの症状と東洋医学でストレスや自律神経が乱された際に現れるツボに反応が出ていたのです。

そのため、この喉の詰まりを改善させる可能性のある漢方薬の中から、この患者さんに合いそうな漢方薬を組み合わせ飲んでいただくことにしました。

その漢方薬は1年弱前に来られていた時に服用されていた漢方薬とほぼ一緒でした。

そこで、この漢方薬をお出しして、また2~3週間間隔で来ていただくことにしました。

それから3週間後に来られた際には自覚症状が少し改善していました。

それからは薬を服用することで徐々に良くなり、

この症状の治療し始めて3ヶ月を経過した頃には喉の痛みも声枯れもほぼ消えてきました。

ただ、まだストレスは生活の中にあり、そのストレスとの綱引きの状態なので、まだ漢方薬は止めることはできないのです。

ストレスを感じてもこの症状が出なくなるまで漢方薬の服用は必要なので、もう半年~1年は漢方薬の服用をする必要があると思うのですが、とりあえず治療のめどはついたので良かったです。