紹介で患者さんが来られました。

ご相談内容は全身の皮膚湿疹、痒み、乾燥、手荒れです。

生まれた時からのアトピー性皮膚炎で良かったり悪かったりを繰り返しているという事ですが、約8年前から顔の肌荒れ、痒みが悪化し、それから3年経過したくらいに、皮膚の痒み、肌荒れなどが全身に広がってそれ以降はずっとつらい状態が続いているということでした。

皮膚科には通っていてステロイドの塗り薬は出ているそうですが、確かに塗れば一時治まりますが、止めたとたんすぐに痒くなるため、ご相談に来られたのです。

この症状が悪化した原因に心当たりがあるか?をお伺いすると・・・食生活の実出れ、生活の不摂生、ストレス、精神的な問題、日常の疲れなどを言われていました。

そして、皮膚のかゆみが出やすいのは、汗をかいたとき、寝ている時、朝起きた時ということでした。

次に痒い部位を具体的にご自身で書いていただいて確認してみると、身体の前側は

顔の瞼の部分、頬っぺた、耳、両腕上腕内側、左右の鎖骨を結んだあたり、ヘソ下周辺、足両太もも内側、足の両すね付近、

身体の後ろ部分は首、背中の広い領域、中でも左右の肩甲骨およびその周辺と腰周辺が特に痒いという事でした。

そこから、さらに、四季と皮膚の関係について質問すると、

春は顔に症状が出やすいということでした。このことから黄砂が影響している可能性を考えました。

梅雨は手荒れが酷くなるそうです。

夏は汗で痒くなるそうです。

秋から冬は乾燥で悪化するそうです。

季節の変わり目は特別悪化しないそうです。

このことから、自律神経の乱れはさほどは影響していないように思いました。

また、食べ物によって悪化したり、しなかったりもしないという事でした。

そこで、最後に実際に患部を見せてもらいました。

そうすると・・・自分が思っていた感じとは異なっていました。

アトピーの皮膚全体をかき壊したような感じではなく、本当に部分で気にポツポツと赤い点状のものがいくつもあって、それが痒いみたいでした。

この見た目の感じには記憶があって、何かに感染したことが原因で起こる皮膚の状態に似ている気がしました。

漢方治療イメージ

それらの事から、この患者さんの今の痒みは何かの感染が原因なのではないか?と思いました。

そうすると、ステロイドで良くならない理由もつじつまが合います。

そこで、皮膚を改めて細かくみると、場所ごとに微妙に皮膚の状態が異なっています。

漢方では皮膚の状態が異なると漢方的な原因も異なるので用いる漢方薬も異なるのです。

そこで、今回は、肩甲骨付近の痒みに効きそう漢方薬の中からこの患者さんに合うと思われる漢方薬をとりあえず1週間分出してみることにしました。

そして1週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

あまり、痒みの変化を実感されていないみたいでした。

おかしいな・・・

見た目としては少し良くなっている気がするのですが・・・

そこで、患者さんに確認すると・・・そういわれてみれば・・・という感じでした。

普段患者さんは痒みをパーツパーツで意識せず、痒いか痒くないか?で判断されているみたいで、この部分は痒くないでしょ?と言っても、全身が痒ければ部分的に痒みが減っても気づかないのです。

養生法イメージ

しかも漢方薬の飲み忘れが多く、これじゃ効くものも効かない感じだったので、もうちょっとしっかりお薬を飲むようにお願いしました。

そこで、次は背骨の真ん中付近と上腕部の痒みに効きそうな漢方薬を出してみます。という話をして1週間分出してみることにしました。

そして、1週間後、今回はうっすらその変化が分かったみたいでした。

そこで次はお腹の痒みの部分を狙ってお薬を出してみることにしました。

そして1週間後来られた際には・・・ハッキリその違いが分かったみたいでした。

3週間で確実に痒い範囲が減ってきたからだと思います。

あと残っているのは下腹部、大腿部、両すね付近、鎖骨付近、陰部(ご本人が最初言い忘れた部分)、瞼付近

これらの部位を1週間ごとに狙って漢方薬を出してゆきました。

そして3週間で大体痒みが取れました。

通常のアトピーであればこんなに簡単には改善せず、1か所の改善に数か月~1年かかるのが通常です。

体質改善イメージ

全身のアトピーを改善するためにはどんなにうまくいっても通常数年はかかるものです。

ところがこんなに早く症状が改善したのはやはり、原因がアレルギーでなく、感染だったからではないか?と思います。

結局、この患者さんの漢方治療は約1か月半で終了となりました。

良かったです。

 

さらに

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