漢方薬局ハーブスには、様々な事情をお持ちの方が不妊治療のご相談に来局されています。
そこで、今回はさまざまなご相談の中で比較的多く、重要な漢方的な不妊の原因やその考え方、漢方による不妊治療にかかる費用の相場、また病院での高度不妊治療の費用相場等についてお話ししていきます。

 

不妊にはどんな原因が考えられる?「漢方目線」での原因を解説

近年価値観の多様化に伴って、女性が仕事に生き甲斐を感じ努力され、責任ある役職につかれる方も昔に比べれば増えてきました。一方、そのように仕事に没頭した結果、晩婚化するケースも増えてきています。また、仕事以外に自分の趣味など自分のやりたい事を優先し、結婚を後まわしにされる方も以前に比べれば増えてきていると思います。
この晩婚化に伴って不妊治療の開始年齢が遅くなり、それが漢方的にみても無視できない問題になってきています。
また、ストレスは今も昔もあるのですが、そのかかり方や、ストレスに対する個人の耐性レベルは変わってきているように感じます。その結果として、ストレスが心の病の原因となるケースは増えてきていると感じます。
ただ、ストレスが全く無いという人はいないと思いますし、ストレスによって人は頑張れるという側面もあります。なので、ストレス=悪者と考えるのではなく、ストレスとどのように付き合っていくのか?ということも重要なことのように思います。

それでは、不妊の原因で比較的多くなおかつ重要なものを、漢方ではどうアプローチしていくのかについてお話ししていきます。

原因1.身体の衰えに伴う卵巣機能の衰え

年齢による身体の衰え(卵巣機能の衰え)は、漢方では一般に「腎虚(じんきょ)≒老化」という状態と考えることが多いです。
ここでいう漢方の腎とは、西洋医学の腎臓と同じではありません。人間の生殖や成長、発育を担うエネルギー源「精:生命力」を貯めておく貯蔵庫のような役割を果たしている部分をさす言葉です。精が充実していればしているほど、若さを維持でき、不足すれば老化が進むと考えます。
そのため、この腎を補う治療というのが老化を遅らせることにつながるため、高齢の不妊症の方の治療を行う際に重要になってくるのです。

原因2.ストレス

先ほども書きましたが、ストレスは多かれ少なかれ誰にでもあるものです。問題はそれが身体に対して病的な影響を及ぼしているかどうかです。
不妊治療の場合、ストレスが不妊に影響を及ぼしているかどうかは基礎体温をチェックするとある程度わかります。
当薬局ではストレスが不妊に影響を及ぼしていると判断した時だけ、不妊治療としてストレスに対する漢方薬を用います。ただし、一口にストレスに対する漢方薬と言っても、色々な種類があります。
その選び方は患者さんのもともとの体質や性格的なもの、現在の症状やその種類、症状の度合いなどにより変わってきます。それらに応じて、お一人お一人に最適と思われる漢方薬をお出しするように心がけています。
またストレスを緩和する養生法も重要です。それは人それぞれの部分があるので、必要な場合、個々の患者さんに応じて養生法のアドバイスも行っています。

原因3.栄養不良

最近に限ったことではないのですが、太る事に対して極端に抵抗を感じる女性は一定数おられます。その結果としてそれほど太っていないにも関わらず食事制限をする方が一定数おられるのです。
そのような方は、傾向としてAMH(抗ミュラー菅ホルモン)が低い傾向があります。
このAMH(抗ミュラー菅ホルモン)は俗名を卵巣年齢といい、卵巣内に残っている卵の数の目安となるものです。この残卵数が少なければ少ないほど、不妊治療を行える期間が短くなりますし、高度な不妊治療(体外受精・顕微授精)を行った場合でも採卵できる卵の数が少なくなる傾向があります。
そして、残念ながら一度低くなったAMH(抗ミュラー菅ホルモン)は何をしようとも再び増えることはありません。つまり一度減った卵巣内の卵は回復しないということです。
そのため、身体の栄養バランスをとることと、摂取カロリーを極端に減らさないようにすることは、高齢不妊治療をされる方にとってはとても重要になります。
また、これ以外に赤血球やヘモグロビンの値が正常でもフェリチンといわれる貯蔵鉄が不足しているケースがあり、これが不妊の原因となりうることが最近注目されています。
これは漢方的には血虚(血(栄養)の不足した状態)の状態です。このような場合、食養生を含めた漢方的な対策が必要になることもあります。

漢方治療の費用は?

多くの方が気になるのが漢方治療の「費用」です。基本的にオーダーメイドのため一概にはいえませんが、ある程度の基準となる価格はあります。
ご相談される際の参考にしていただければ幸いです。

1ヶ月に換算すると15,000円~30,000円前後が相場

お身体の状態により異なりますが、漢方薬局ハーブスでは、1ヶ月で15,000円~20,000円前後が主流となっております。しかし、卵巣機能が衰え始める30代後半、40代となってくると、どうしても卵巣機能を維持するための漢方薬が必要になってきます。それらの漢方薬を用いる場合、どうしても費用が高くなる傾向があります。それに伴って1か月にかかる費用が20,000円~30,000円と上がってしまうことがあるのです。また、当薬局では漢方薬を服用されることが前提のご相談ですので、相談料はいただいておりません。純粋な漢方薬代のみのご請求となります。

漢方治療だけではなく、病院での不妊治療の「総合金額」で検討しましょう

不妊治療には基本検査からタイミング法、顕微受精等、多種多様です。そして高額かつ保険適用外になる体外受精の手段となると、その地域性や病院ごとの費用体系によっても異なりますが採卵(体外受精・顕微授精)から胚移植までの一連の高度不妊治療を一通り行った場合、60万~100万くらいは必要になります。
しかし、1回の治療で成功するという方は多くありません。当然、継続した治療が必要となります。
いったいいつまで不妊治療が続くのかは誰にもわかりません。そのため、不妊治療を続けるための資金的な話をご夫婦であらかじめしておくことも大事です。
そして、不妊治療は思った以上にお金と時間がかかることが多いです。そのため、その都度状況に応じてご夫婦で話し合っていくことが同様に大事だと思います。

【参考】高度不妊治療の費用相場

高度不妊治療には、人工授精・体外受精・顕微授精があります。これらを経験した方に限ると、平均費用は134万円になります。
さらに、体外受精・顕微授精の経験者だけに絞ると、その治療費平均は193万円まで上昇し、300万円以上かかった方も16%と、6人に1人が経験していることとなります。

不妊治療の途中、資金的な問題で不妊治療を断念してしまう事の無いよう、事前にご夫婦で話し合いを持たれることが大切です。
そして、繰り返しになりますが特に体外受精以上の高度な不妊治療は、自分が思っていた以上にお金がかかるため、予算的なものも含め、その都度ご夫婦で話し合われることが本当に大事です。

まとめ:不妊治療の費用を知って自分にあった治療方法を

ご紹介したように、不妊治療は段階性があり、それぞれ金額も異なります。不妊治療と聞くと病院での人工授精・体外受精のイメージが強いかもしれませんが、漢方による不妊治療があることも知っておいてください。
漢方治療は西洋医学とは異なる視点での治療ですが、またそれは西洋医学の不妊治療を補完するものとして用いることもできます。

漢方薬局ハーブスでは、一人一人の原因や体質に応じて、誠実に漢方薬から食養生まで一貫した治療および指導を行っています。不妊治療についてお悩みの方は、まずは一度ご相談ください。

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