東洋医学には様々な独自の用語が出てきます。どれも東洋医学や漢方において欠かせないものばかりですが、よく目にするものとして「証」と「四診」があげられます。
この2つは漢方の選定には必須であり、また漢方における「基本用語」とも呼べるものです。しかし、実際にどのようなことを指すのか、具体的にご存知のない方も多いように見受けられます。
そこで、今回は漢方における「証」と「四診」について詳しくご紹介いたします。また末尾には、当薬局における漢方相談についても解説していますので、ぜひ最後までご一読下さい。

「四診」で「証」を見極める?!「証」とは?

「証(しょう)」とは、漢方独特の考え方で、西洋医学の病名(診断名)に該当するものです。「東洋医学における病名」と考えると、何となくご理解いただくのが早くなるかもしれません。
ただし、実際の「病名」と「証」は、似ているようで大きな違いがあります。
まず、漢方における証は、2つの側面を持っています。

1.患者様がもともと持っている体質を表す場合
2.患者様現在の体の状態を表す場合

例えば、以下のような症状が患者様に出ていると仮定します。
※ここ最近疲れやすさを感じるようになった
※食欲がない
※内臓下垂の傾向がある

この場合は四診を行った上で証を決め、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)という漢方薬を出す可能性が高いです。補中益気湯は、疲れやすく、胃腸の働きが衰えている方にお出しすることで、胃腸の消化や吸収機能を整え、疲労を改善していくものです。
これを長く飲んでいただき、調子が良くなった場合の証は「補中益気湯証」となります。
しかし、もしこの患者様がインフルエンザにかかっていた場合はどうなるでしょうか?インフルエンザはウィルスによる急性疾患です。そのため、「麻黄湯(まおうとう)」という漢方薬が体に合う場合があります。そうすると、上記の「補中益気湯証」ではない、という判断になります。
つまり、1だった場合は「補中益気湯」、2だった場合は「麻黄湯」というように、患者様の体の状態によって大きく変わってくるのです。
このように、証はあくまでも患者様のその時の体の状態を表すもので「証=西洋医学の病名」ではありません。体の全体の状態をつかみ、漢方薬の種類を決めるために使用するものです。

漢方で使われる「四診」とは?詳しく解説!

上記の「証」を確定させるために必要なのが「四診(ししん)」と呼ばれる方法です。四診は、文字通り4つの方法で患者様の体の状態を確認し、証の確定に使用します。
四診は、どのような方法に分かれているのでしょうか。この項目では、漢方で使われる四診の内容について、詳しくご紹介いたします。

望診(ぼうしん)…視覚を使った情報収集

「望」は「目で見る」ことを指す言葉で、その名の通り視覚を使って患者様の状態を観察します。体型や顔色、肌つや、歩き方、皮膚や爪、唇なども観察します。その中でも舌を見る「舌診」は舌の色や形、舌苔を観察することで様々なことがわかります。非常に重要視している項目の1つです。

聞診(ぶんしん)…聴覚・嗅覚を使った情報収集

患者様の声の調子や呼吸、口臭といった、嗅覚と聴覚を駆使して患者様の状態を確認します。西洋医学の「聴診」にも該当する項目です。上記の他にも発語の明瞭さや応答のスムーズさ、咳、呼吸音も聞診の対象となります。

問診(もんしん)…症状や経過を聞く

西洋医学でも同じ項目があるので馴染みのある方も多いのではないでしょうか。西洋医学の問診と同じく、既往歴(きおうれき)過去の病歴、現病歴(げんびょうれき)現在の病気の有無、薬歴(やくれき)現在の薬、およびサプリメント・健康食品の服用の有無、主訴(現在最も気になっていること)などを確認します。そして、ここからが最も重要で、主訴が起きた現任をお伺いすると同時に、漢方的な問診(疲れやすい、血行の良し悪し、天候や季節に影響を受けるか等)を行い、個々の患者さんの漢方的な体質を見極めてゆきます。

切診(せつしん)…直接触れて状態を判断する

患者様の体に直接触れて確認するものを指します。脈拍数や脈の深さなどを診る「脈診(みゃくしん)」や腹部に触れる「腹診(ふくしん)」などがありますが、医師法の関係上できないこともあり、当薬局では切診を除いた上記の3つを主に行っています。

当薬局では、患者様お一人お一人に最適な漢方をお出ししています

漢方薬局ハーブスでは、患者様お一人お一人と誠実に向き合い、東洋医学の観点から患者様の不調がどのようなものか見極めます。
そのため、当薬局は「完全予約制」となっております。初回は1時間、2回目以降は30分が目安です。
患者様にとって最適な漢方薬をお渡しすることに対して、しっかりとしたこだわりを持つために必要な時間とお考え下さい。
また、四診の他にも糸練功(医療気功の一種)などで現在の体の状況を総合的に判断し、証を確定した後、最適と思える漢方薬をご提案いたします。さらに、東洋医学的な判断に基づき、必要に応じて食事や生活上のアドバイスもお伝えいたします。
なかなか改善しない不調が改善したという喜びのお声も多く聞かせていただいております。

体の不調や漢方のことならぜひ、漢方薬局ハーブスにご相談下さい。