排卵チェッカーで陽性が続くのに無排卵である原因と対策について書いています。

この記事は、排卵チェッカーで陽性が続くのに無排卵の方や排卵チェッカーに関する疑問をお持ちの方に読んでいただきたい内容です。

長年不妊治療に携わってきた漢方薬剤師としての経験に基づくものですので、ぜひご覧ください。

排卵チェッカーの仕組みとLHサージについて

この原因にはいくつかの可能性があります。

この原因を知るためには排卵チェッカーの簡単な仕組みを知っておく必要があります。

そのため、少しだけ排卵チェッカーについて説明をさせていただきます。

排卵チェッカーは直接、排卵をチェックできるものではないです。

おそらく排卵しただろうということを予測するものなのです。

もう少し詳しく書くと、排卵チェッカーはLH(黄体形成ホルモン)の濃度をチェックしているのです。

このLH(黄体形成ホルモン)は排卵を促す作用があるのです。

そしてこのホルモンは排卵する前に高濃度に分泌されます。

これが排卵前に高濃度に分泌された状態をLHサージと呼びます。

LHとは黄体形成ホルモンの事でしたよね。そしてサージはうねりとか大波という意味なのです。

つまりLHサージとは黄体形成ホルモンが大波のように高濃度に押し寄せてきた状態を表す言葉なのです。

この黄体形成ホルモンが大量に出ることによって卵胞は刺激されて排卵を起こすのです。

実際に卵胞はこのLHサージが起きてからおよそ36時間以内に排卵すると言われています。

そして排卵チェッカーはこのLH(黄体形成ホルモン)がある一定以上の濃度になると線が出るように作られているのです。

通常このLH黄体形成ホルモンの濃度がある一定以上になる時というのはLHサージの時なわけです。

つまり排卵チェッカーは通常LHサージをチェックしているわけです。

そして排卵チェッカーはLHサージが起きたからきっとあと36時間以内に排卵するだろうという予測をしているだけなのです。

その根拠はLH(黄体形成ホルモン)の濃度が高いからということなのです。

結局、排卵チェッカーはLH(黄体形成ホルモン)の濃度が濃いか、濃くないか?を見ているものなので、ホルモンの濃度が濃ければ排卵していなくても反応してしまうわけです。

排卵チェッカーの偽陽性を減らすためにできること

病気でなく排卵チェッカーで陽性が出続ける原因として考えられるのが排卵チェッカーの検査する時間帯です。

排卵チェッカーを朝一番で測定すると偽陽性が出ることがあります

これは朝の尿というのは濃縮されているためLH(黄体形成ホルモン)の濃度も高まっていることがあるためです。

そのため排卵チェッカーの使用は朝一は避けた方が良いわけです。

できれば一定の時間に測定することが良いですし、ホルモンというのは夜に高濃度に分泌されることが多いので夜の決まった時間に測定するのが良いと思います。

LHサージと排卵にずれがある時に考えられる4つの原因と対策についての記事はこちら

では次に排卵チェッカーで陽性反応が出続けているのに排卵していない病的な原因の可能性についてお話ししたいと思います。

排卵チェッカーで陽性が続くのに無排卵の原因

この原因として最も可能性が高いのは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)です。

この多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は排卵障害の代表的な疾患の一つです。

そしてこの多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の病気には特徴があります。

一つはネックレスサインと言って、超音波検査エコーで卵巣を見た時に排卵できていない卵胞が数珠状に連なっている画像が確認できるのです。

あともう一つは血液検査でホルモンの検査を行うとLH(黄体形成ホルモン)が高い値を示すというのがこの多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の特徴なのです。

つまり多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)であると常にLH(黄体形成ホルモン)は高い値を維持しているのです。

そのため排卵チェッカーは黄体形成ホルモンの濃度をチェックしているわけですから黄体形成ホルモンの濃度が高くなる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)であれば常に陽性反応が出てしまうのです。

多嚢胞性卵巣症候群に関連する記事一覧はこちら

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因の場合の対策

病院で排卵チェックを行う

面倒だから排卵チェッカーで済ませたいわけですが、このような状況であれば面倒でも病院で排卵チェックを行うのが一番確実なやり方です。

これはホルモンの濃度で間接的にチェックするのではなく超音波検査(エコー)による画像診断なので、確率は非常に高いです。

 

基礎体温をつける

これも多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合には排卵チェッカーよりも確率の高いやり方です。

基礎体温は原則排卵すると二層に分かれますから排卵の確認ができるわけです。

ただし、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合、たまに黄体化未破裂卵胞(LUF)を引き起こすことがあり、これは排卵していないのに2層に分かれてしまうため注意が必要になります。

二層に分かれていても高温期が10日未満の場合は黄体化未破裂卵胞(LUF)である可能性が高いのです。

 

過去の周期からおおよそ推測してタイミングをとる

いきなりでは難しいですが、過去病院に通うか基礎体温をつけて入れば、自分の排卵の時期はおおよそ予測がつくようになります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でも排卵をする方であれば、排卵が早いときと遅いときの誤差は10日程度の方が多いです。

そのため、早く排卵する時期から3日おきに4~5回タイミングをとっていけば、大きくは外さないと思います。

(これはご夫婦共に体力的にけっこう大変ですが、このやり方の方が妊娠する確率は高いと思います)

感度の低い排卵検査薬を使う

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)というのはLH(黄体形成ホルモン)は通常よりは高い状態ですけれどもLHサージのピークほどの値を維持しているわけではありません。

そのため感度の高い排卵検査薬だと多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の状態のLH(黄体形成ホルモン)を拾ってしまう可能性はありますが、感度の低い排卵検査薬であると多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のLH(黄体形成ホルモン)を拾わなくなる可能性は高いです。

ただし実際のLHサージも拾いにくくなってしまうため排卵の反応が出にくくなるというデメリットがあります。

まとめ

排卵チェッカーで陽性が続くのに無排卵の原因と対策について書いてきました。

排卵チェッカーで陽性が出るのに無排卵の直接的な原因として最も可能性が高いのは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)だという事です。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は排卵障害を起こしやすいため、排卵チェッカーを使ってタイミングをとるのはなかなか難しいです。

そのため、面倒でも病院に通ってタイミングを診てもらうのが一番確立の高いやり方です。

個人的には、排卵しそうな期間3日おきにタイミングを取ってゆくやり方が最も妊娠の確率は高いと思いますが、これは生活上の負担はあると思います。

あとは、年齢や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の病状、経済的な問題にもよりますが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に影響を受けない体外受精にステップアップするのも一つのやり方だと思います。

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