生理不順と早発閉経について
生理不順で来局される方の原因は様々です。
もともとが生理不順の方やストレスが原因で生理不順になったかた、スポーツしすぎて生理不順になった方、ホルモン剤の影響によって生理不順になった方、思い当たる原因もないまま生理不順になった方もおられます。
原因がある程度はっきりしている場合と比べはっきりわかっていない生理不順の治療の方が難しいです。
というのは生理不順に使う漢方薬は非常に多いのです。
それはなぜかというと、先ほど書いたように生理不順を起こす原因が沢山あるからです。
漢方薬は原因によって用いる漢方薬が異なります。
そのため原因が沢山あるということは、使う漢方薬の種類も多くなるということです。
そして漢方薬は合えば効きますが、合わなければ効きません。
いわばカギと鍵穴の関係の様なものなのです。
そのため煎じ薬にすれば効くとか、薬の量を増やせば効くとか、そういうことではないのです。
カギが合わないのにどんなに強く回してもドアは開きません。
そのため漢方で最も重要なのはその人の身体の状態をしっかり見極めるということなのです。
それを漢方では証をたてるとか、見立てるとかいいます。
その人のもともとの体質と現在の環境や食生活など様々な要因から、今の本当の状態を導き出して、それが例えば生理不順の原因なのかどうか吟味して、もしそれが原因であるならば、その原因に合う系統の漢方薬(例えば血流が悪いとするなら血流をよくする漢方薬を使いますが、それだけでもかなりの種類の漢方薬があるのです)を選ぶのです。
その原因が一つならまだ簡単ですが、それが2つ、3つあれば、さらに難しくなります。
そのため、生理不順の薬くださいとTELで言われても無理なのです。
絶対に問診しなければ難しいです。軽度の生理不順であれば基礎体温のチェックである程度、処方を絞ることができます。
しかしひどい生理不順になると基礎体温がずっとガタガタなので処方を絞り込むことはできません。
早発閉経の患者さんもそうです。生理不順の患者さんで漢方治療を受けられる前にぜひしていただきたいのは、女性ホルモンの血液検査です。
この値の中でもFSH(卵胞刺激ホルモン)は原因が更年期障害や早発閉経系統の問題なのか、ただの生理不順なのか分類するうえで非常に重要になります。
そしてこの違いは用いる漢方薬にも大きく影響するのです。
生理不順の中でも早発閉経による生理不順はできるだけ早く対処することが重要です。
そのためにも、生理不順になったら、一度は産婦人科で血液検査を受けられることをお勧めします。