この間、にほんブログ村で「Reaching for your Dreams」早発閉経でも負けない!!のブログを書かれているうさこさんという方からメールがあり、
私が、この間書いたFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が46、AMHの値が0.04の39歳の早発閉経の患者さん、今回の採卵で受精卵二つ目を凍結!!順調です
の中に出てきた温経湯という漢方薬以外に、煎じ薬の方が効果が高い漢方薬はありますか?みたいな質問がありました。
そのメールの中にうさこさんが現在飲まれているお薬の内容が書かれていたので、その中でどれが煎じ薬にした方が効果が高くなるのか?
ということに対してお答えをしたのです。
けれども、 もっと原則的なことを知っておいてもらった方が皆さんに役立つのかな?と思って今日は漢方薬とその剤形について話をしたいと思います。
多分、剤形って普段聞かない言葉ですよね。
でも漢方薬の剤形のことがちょっとわかると、現在ご自身が飲まれている漢方薬がどういう形で飲むと一番効果的なのかわかるようになると思うので、もう少しガマンして読んでみてください。
基本的に漢方薬の語尾につく言葉が剤形を表す言葉なのです。
それでは、これから例を挙げて説明してゆきますね!!
例えばですけれども、すごく有名な不妊に使う漢方薬に当帰芍薬散という漢方薬があります。
この当帰芍薬散の最後の語尾の用語は散ですよね。
そうすると当帰芍薬散というものは本来散剤というものなのです。
散剤とはちょっと分からないかもしれませんけれども、有名なものだと太田胃散とか龍角散とかがありますよね。
この現物は見た人は最近では案外少ないかもしれませんが、生薬をそのまますりつぶしてパウダー状にしたものなのです。
この名前の由来からわかるように当帰芍薬散は散剤(生薬をそのまま粉砕して粉にしたもの)が一番効果が高いのです。
例えば病院で出される漢方薬でメジャーなものにツムラというメーカーのものがありますけれども、そこの当帰芍薬散はエキス顆粒です。
そうするとこの当帰芍薬散は生薬を煮だしたエキスに乳糖や澱粉を加え顆粒にしたものが入っているのです。
そうするとツムラ以外のメーカーでももエキス顆粒の方が効果は少し落ちます。
それ以外に不妊治療で使われる代表的な処方に桂枝茯苓丸というものがあります。
この桂枝茯苓丸の最後には丸と言う名前が入りますので丸剤が正式な 形なのです。
丸剤とは先ほどの散剤にはちみつを加えで練って丸くしたものです。
なぜ蜂蜜で練ってあるのかと言うと、漢方薬で丸剤になる漢方薬の多くは胃腸障害が出やすい生薬が入っているのです。
その胃腸障害という副作用が出ないようにするために胃腸の働きを良くする蜂蜜が一緒に入っているのです。
そのため、桂枝茯苓丸は丸剤の状態が一番効き目が良いわけです。
ただし桂枝茯苓丸も煎じで出す場合もあります。
自分が実際に患者さんに使った感覚としては煎じ薬と丸剤ではさほど効果が変わらないような気がします。
けれども 煎じ薬だと蜂蜜が入っていないため胃腸障害が出る可能性はあります。
そういう場合にはその煎じ薬に少しだけ蜂蜜を溶かして飲んだ方が良いわけです。
このような本来丸剤のものが 煎じ薬として作られた時には語尾に料という言葉がつきます。
この桂枝茯苓丸もツムラなどでは顆粒状の薬として出ていますけれどもその名称をよく読んでみると桂枝茯苓丸ではなく桂枝茯苓丸料となっていると思います。
それは桂枝茯苓丸を煮出して煎じ薬として作ったものを顆粒状にしたからこの名前になっているのです。
煎じ薬と丸剤では効果はさほど変わらないという話を書きましたけれども、その煎じ薬をエキス顆粒にした場合は効果が落ちるような気がします。
ただ不妊症の中でも瘀血という血流が悪い状態のときに桂枝茯苓丸は使うのですけれども、軽度の瘀血の改善にはエキス顆粒でも症状が改善したりします。
けれども子宮筋腫という重度の瘀血状態を治療する目的で桂枝茯苓丸を使う場合はエキス顆粒だと難しいと思います。
これは間違いなく煎じ薬か丸剤の方が良いと思います。
このように漢方薬の一番最後につく語尾の名称によって、本来どのような形の漢方薬が効くのかということが分かるのです。
また次回にはこの続きの話を書きたいと思います。