たまには患者さんの話を書きたいと思います。
今、ウチのの漢方薬局に来られている患者さんについてです。
この方はウチで妊娠された患者さんの紹介で来られたのです。
ウチの薬局からは約50キロ離れた県外から通われてきています。
この方はうちの漢方薬局に来られる前は他の漢方薬局で漢方薬を飲まれていました。
その以前服用されていた漢方薬を見せてもらうと割と漢方では有名な会員組織のある研究会の漢方薬局でその商品も私はよく知っているものでした。
そしてその薬局での1ヶ月の薬代は5万円近だったそうです。
それをしばらく続けていたのですけれども、とても採卵に至るレベルまで行かず、結局その薬局を辞めてうちの薬局に来られたのです。
その方はFSHの数値46ということから明らかに早発閉経だったのですが、それ以外にも高プロラクチン血症や胆石も持っていたのです。
けれども、それらすべての治療を漢方でやるにはお金も手間もかかるため、それらは病院の治療でやってもらうことにしてうちでは早発閉経の治療に専念することにしました。
うちの薬局では過去にFSH80ぐらいの人まで出産に至っているのでFSHが50切っている程度ならさほど驚きはしないのですけれども、恐らくカウフマン療法では対応できないレベルなのではないかと思いました。
そこで広島では比較的早発閉経に強いであろうという病院をその方に紹介しておいて、もう少し体が出来上がったらその病院に行ってみたらいいんじゃないかという話を最初にしておきました。
そしていざ漢方的な治療を始めることになったのですが、この方の基礎体温は予想通りと言うかかなりひどい状態でした。
基本的には放っておけば生理はほとんど来ず、ごくたまに思い出したように生理くるような状況です。
その自然に生理が来た時の基礎体温でも低温期は36°を切り、高温期も36.7°にはとても及ばず、そして高温期の期間もとても12日もなく、10日を切っているような状況でした。
いわゆる低体温症で黄体機能が弱っている状態でした。
まあ早発閉経なので当たり前といえば当たり前なのですけれども前途多難な状況でした。
そこで最初は低体温症と黄体機能を高めるような漢方薬の組み合わせを出していきました。
その薬で最初の数か月はうまくいったのですけれども、途中でその薬がどうも合わなくなりました
そこで途中で薬を何回か変えてみました。
しかしなかなか思ったように基礎体温改善しませんでした。
そこで色々考えたり体の状態をチェックして再度薬を組み立て直しました。
その漢方薬は私は非常に自信があったのですけれども実際に患者さんに飲んでいただいてもほとんど基礎体温も自覚症状も改善しませんでした。
でも感覚としては合ってる手応えがあったので、1ヶ月、2か月と服用していただきました。
しかし結果として基礎体温を自覚症状もやはり変わりませんでした。
このベースとなる処方は温経湯という漢方薬で粉薬でした。
それにを別の漢方薬を組み合わせるという形で治療を行っていたのですけれども思い切って温経湯を煎じ薬に変えて飲んでいただくことにしました。

 

まとめ

そうすると、その服用後2週間ぐらいから明らかに基礎体温や自覚症状が変わってきました。
漢方薬の中には 煎じ薬と粉薬でそれほど作用の差は出ないものと煎じ薬の方が明らかに効果が高いものがあるのです。
温経湯とはまさにその煎じの方が効きが増す代表的な漢方薬の一つなのです。
この処方に変えて患者さんの体の調子も良くなってきたことから、再び病院に行って体外受精をすることになったのです。
そして先月ずいぶん久しぶりに体外受精の採卵を行ってみたのですけれどもこの人は39歳にして初めて受精卵を凍結することができました。
そして今月も体外受精の採卵を行ったのですけれども、今月もちゃんと一個ですけれども受精卵を凍結することができました。
この方はこの間、病院で再び検査をしたらAMH(卵巣年齢)が0.03まで下がっていたそうです。
今までの事を思えばこの位の数値で2回連続で卵て凍結できたのは上出来なのではないかと思います。
このように漢方薬の治療と病院の治療がうまく噛み合うと早発閉経であっても治療がスムーズに行くことがあります。
必ずではないですけどね・・・

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