漢方薬局にわざわざ来る人のニキビというのは基本的には一筋縄ではいかない頑固なニキビであることのほうが多いのです。

これはどうしてなのだろう?

非常に簡単に言えば原因が複数合って、しかも絡み合っている場合が多いのだと思います。

それ以外にも、見落とされていて気を付けたほうがいい問題があります。

それはビタミン剤の摂りすぎです。

一般的によく使われるビタミン剤というのはビタミンCとビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸あたりだと思うのですが、これらは一般的には水溶性ビタミンというカテゴリーに含まれます。

水溶性ビタミンとはその名の通り水に溶けるビタミンです。

水に溶けるため、胃腸から吸収されて、体の中で必要量が使われて、使われなくなったものは、水に溶けて、水と一緒に排泄されるわけです。

ヒトの体の中で余分な水や水溶性のいらないものを排泄させるのは腎臓のはたらきですから、腎臓を通って膀胱を通って最終的にはおしっことして排泄されるわけです。

つまりいらないもの、余分だったものは身体からすみやかに排泄されるわけです。

そのため水溶性ビタミンは多少余分に摂っても全く問題ないというのが一般的な認識だと思います。

ことろが実際にうちの漢方薬局で患者さんをみてみると、どうも水溶性ビタミンが過剰なのではないの?という患者さんがちらほらおられます。

そして実際にその水溶性ビタミン製剤or水溶性ビタミンサプリメントをやめてもらうか、量を減らしてもらうと、にきびの症状が改善することがあるのです。

私の感覚としては食事がしっかりしているなら、もしサプリメントでそのような水溶性ビタミン類を摂取するのであれば、その製薬会社or健康食品メーカーかわかりませんが、そこが指定しているおおよその推奨量の半分程度でよいのではないかと思います。

そのくらいだと経験上悪さはしないような気がします。

ではなぜそのようなことが起こるのか?

おそらくですが、水溶性ビタミン類の多くに粘膜刺激があるからだと思うのです。

ちなみに今日の治療薬という本の中に書かれているビタミン製剤に関する副作用の記述は以下のようになっています。

さらに、ニキビ、吹き出物関連のブログを読みたい方は➡ニキビ、吹き出物関連ブログ

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漢方治療イメージ

水溶性ビタミン剤の副作用について

ビタミンB1・ビタミンB1誘導体

ノイビタ・・・嘔気、下痢、腹部膨など
アリナミン・・・過敏症、悪心、嘔吐
アリナミンF・・・悪心、嘔吐、頭痛、頻尿など
ベストン・・・食欲不振、胸焼け、嘔気など
ビオトーワ・・・胃不快感、食欲不振、悪心、下痢
ジセタミン・・・胃不快感、胸焼け、下痢、
プロフィット・・発疹、悪心、発汗など
ジアノイナミン・・・過敏症、悪心、嘔吐、口内不快感など
メタポリン・・・過敏症(発疹など)

ビタミンB2

ハイボン・・・悪心、下痢、食欲不振など

ニコチン酸

ナイクリン・・・発疹、ショック様症状、紅潮、熱感、発汗、肝障害、高尿酸血症、口渇、悪心、嘔吐、頭痛、心悸亢進

パントテン酸(B5)

デルパント・・・大量投与により、まれに腹痛、下痢
パントール・・・腹痛、下痢
パントシン・・・食欲不振、嘔吐、下痢

ビタミンB6

アデロキシン・・・<重大>横紋筋融解症、<その他>光線過敏症、手足のしびれ、知覚異常、肝機能異常

ピリドキサール・・・<重大>横紋筋融解症<その他>過敏症、悪心、嘔吐、食欲不振、肝機能異常

混合ビタミンB群

B1、B6、B12混合
ビタノイリン・・・過敏症、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢

B1、B2、B6、B12混合
ノイロビタン・・・腹部膨満、便秘、嘔気、下痢、めまい
ビタノイリン・・・過敏症、食欲不振、胃不快感、下痢、睡眠、頻尿

B2、B6混合
ビフロキシン・・・末しょう神経障害

B1、B2、c混合
サブビタン・・・発疹、掻痒感、悪心、嘔吐など

ビタミンc

ハイシー・ビタシミン・・・悪心、嘔吐、下痢
シナール・・・胃不快感、悪心・嘔吐、下痢

以上が主な水溶性ビタミン剤の副作用ということになります。

このくらい書いてみると水溶性ビタミン剤の副作用の共通項が見えてきますよね!!

基本的に胃腸障害が多いということなのです。

おそらくこれが胃腸に対する粘膜刺激の結果生じているのだと思うのです。

その刺激は胃腸だけでなく、皮膚にも影響を与えるのです。

もともと腫れているニキビの部分の腫れをさらに刺激している可能性があるのです。

蛇足ですが、こういう風に細かく調べてみて、安全と思っていた水溶性ビタミン剤に重大な副作用として横紋筋融解症があるのは恥ずかしながら知りませんでした。

調べてみるもんですね。改めて勉強になりました。