ここでは高齢不妊治療で病院選びで失敗しないための超重要ポイント9つに絞って説明したいと思います。
対象者は35歳以上の高齢不妊の患者さんですけれども、不妊治療に行き詰まって転院を考えている方なども対象としています。
この内容はふだんうちの薬局に来られている患者さんの病院の関する不満や悩みを元に書いていますので、うなずける部分も多いと思います。
なぜ高齢不妊治療の患者さんの病院選びは大事なのか?
これは妊娠できるできないにとても大きく関わってくるからです。
今までうまくいかなかった不妊治療が病院を変えただけであれよあれよという間に妊娠したという患者さんもおられます。
特に卵巣機能が低下してきている、今まで体外受精をやってきてうまくいかなかったために転院を考えている方は特に重要になってくると思います。
高齢不妊治療で失敗しないための病院選び9つの重要ポイント
1病院の不妊治療の成功率(妊娠率)は重要だが、それと同じ位、病院との相性も重要
現在、人気があったり、有名であったりする病院は体外受精などの成功率(妊娠率)を公表していることが多いです。
その、実績というのは事実なのでとても重要なことです。
そしてそれは間違いなく病院選びの基準となるものですが、必ず病院には治療の方針というのが存在します。
そのため、自分の現在の身体のコンディション等と病院の治療方針が合うかどうか?というのも妊娠するためには重要なのです。
例えば、もともと他で体外受精をやっていて、受精卵を1個返しの時には妊娠せず、2個返しした時だけ妊娠する。
でも結局、流産ばかり繰り返すため、転院したが、その病院は体外受精で受精卵を1個返ししかしない病院だったとします。
そうすると、どんなにその病院の妊娠率が高かったとしても、その患者さんと転院先の病院の治療とでは相性が悪く、妊娠さえしない可能性も出てきます。
こういうことも含め慎重に病院を選ぶことが重要なのです。
2まずは自分の体の状態を知ることが重要、必ず不妊専門病院で詳細にチェックしてもらうこと
まずは自分の今の身体のコンディションを知ることが重要です。
特に不妊に関連する検査はできるだけ詳細に受けておくことをお勧めします。
その結果次第では、通い始めた病院であっても転院した方がいい場合があるのです。
一般的にはFSHが異常に高くなってきている場合は卵黄機能が著しく低下している証拠です。
そういう場合は自然周期を得意とする病院で治療受けられた方が良い結果がでることが多いのです。
しかし広島を例に挙げると、そういう自然周期を得意としている病院はないのが現実です。
つまり自分の身体の状況によっては、自分が選んだ不妊治療の病院では妊娠が難しいというケースもあるのです。
つまり、病院の再選択を迫られるケースがあるという事です。
3ご主人(男性)の不妊検査も後回しにしない!!最低でも一緒に検査を受けてもらう
早めにタイミング療法などの不妊治療を始めておられる方でもご主人の不妊検査は後回しにする方は多いです。
その理由は色々あると思いますけれども多くの場合は、ご主人が仕事でお忙しいということと、なんとなくご主人の気が進まないということを君に感じ取って無理強いしないということが多いのではないかと思います。
もちろん、それぞれの家庭の事情等、様々な理由があり、こうしなさいということは言えないのですけれども、
高齢不妊治療ということに限って言えば、できるだけご主人の不妊検査も早めに受けられた方が良いです。
なぜなら重度の男性不妊の場合は通常の不妊治療の病院では治療できないことがあるからです。
私の薬局にも過去にそういう方がおられました。
この方は広島県内の病院では治療することができず、広島県外の福岡にあるセントマザー病院で治療を受けられて妊娠されました。
どうも不妊治療において不妊の原因は女性側にあるという認識がいまだに強いように思いますが、
日本産婦人科学会では不妊の原因の約50%は男性側にあるという報告(日本産婦人科学会2009年不妊症)もあります。
治療途中で新たにご主人の不妊が判明してそれがその病院で治療が無理となると、またその病院探しから始めければならず、
その時間と手間がさらに追い打ちをかける結果になってしまいます。
そのためとにかく、最低でも本格的な治療が始まる前の奥さんの不妊検査と一緒に受けられることをお勧めします。
4不妊治療の病院の妊娠率は重要だがそれ以上に出産率が重要
どうしても病院の治療実績を見るときに妊娠率に目がいってしまいますけれども高齢不妊になってきた場合はむしろ妊娠率よりも出産率の方が大事です。
なぜかと言うと高齢になってくると流産率がびっくりするほど高くなってくるのです。
だから妊娠率はそこそこあっても最終的に出産まで至らないケースが非常に多いのです。
私の経験では流産する場合というのはだいたい10週までで流産される方が圧倒的に多いのです。
高齢不妊治療による流産率の違いというのはひとつにはこの8週~10週の週数のケアの部分も関係しているのではないかと個人的に思っています。
そのため、その10週まで病院が妊娠継続のケアを行っているかどうかというのも妊娠した場合の高齢不妊治療に関しては重要になってきます。
私の住んでいる広島県下の病院では主に妊娠してから8週まで病院でケアを受けることが多いのですけれども、広島県外で卵巣機能が著しく低下している方に対する治療を主に行なっているような病院ではだいたい10週ぐらいまでケアしているところが多いように思います。
その違いが流産率に影響与えてるのではないかと思っています。
そのため、過去に流産歴のある高齢不妊治療の患者さんはそういう病院に通えるのであれば通われた方が良いように思います。
この何週まで治療を継続するかに関しては病院のHPにも書いていないことが多いです。
そのため、その病院に通われている患者さんのブログをチェックしてみるとか、口コミサイトで質問してみるのも一つの手だと思います。
あまりにも細かい事ばかり最初に訊いてしまうと、嫌がられて治療を断られる可能性もないとは言えないので・・・
5自分で選んだ病院に断られることもあることを知っておいてください
自分自身でいろいろ調べて、妊娠率の高い不妊治療専門の病院に決めて、いざ来院してみたら結局病院で不妊治療を断られたという患者さんが実際おられます。
それはなぜかと言うと高齢であるという理由からです。
どうしてどのようなことが起こるのかというと、妊娠率の高い病院は妊娠しにくい患者さんを断るから妊娠率が高いという側面もあるのです。
もちろん治療技術が伴っていることの方が多いですよ・・・
結局、妊娠率が低い患者さんを受け入れても、劇的に妊娠率が上がることはないのです。
そうなると、クレームや病院の評価は下がってしまうことになるのです。
そして患者さんにとってもある意味はっきり言ってもらうことで、時間やお金を無駄にしなくても済むという側面もあります。
別な側面から見ればそういった病院は誠実で正直だということなのです。
でもどうしても欲しいと思っている方にはつらい宣告です。
でも、ここでそういわれても妊娠している患者さんもおられます。
41歳でAMH(卵巣年齢)が0.48でしたが妊娠しました!!
6後から気づいた時には遅いのです!!通常行わない不育症検査も必ず受けておいてください
高齢になってくると妊娠できるのはもう1チャンスかもしれません。
不育症というのは3回以上流産した場合に付けられる病名ですけれども四十歳以上超えた高齢不妊の患者さんの場合は3回も流産する可能性は非常に低いです。
なぜなら3回流産するためには3回妊娠しないといけないわけです。
それそのものが非常に高いハードルなのです。
そのためワンチャンスをものにする必要があります。
過去にうちの漢方薬局に来られていた患者さんの例を挙げると、40歳ぐらいから毎年、年に一回のように妊娠される不妊症患者さんおられました。
病院では2回流産した段階で、不育症の検査を私は勧めたのですが、その病院では必要ないということで不育症(習慣性流産)の検査を行いませんでした。
そして43歳になった時3回目の妊娠をしてその後、3回目の流産をされたのです。
その時になってやっとその病院で初めて不育症(習慣性流産)の検査を行い、実際に不育症(習慣性流産)であることが判明したのです。
その方はその後一度も妊娠しませんでした。
とても切ない話です。
ただ・・・ここで重要な事は病院の医師は全く間違ったことはしていないのです。
不育症の検査というのは、3回以上流産した場合に行うというのが基本的なルールなのです。
でも実際問題40歳以上超えて3回以上妊娠できるという方は非常に少ないのです。
そのため自分自身の妊娠の可能性は自分自身でしか守れないことがあるということを理解してください。
もしこのように不育症の検査をマニュアル通りにしか受けさせない病院に通い始めてしまったのであれば、不育症の検査だけは別の病院で受ければいいのです。
そして不育症が陽性であった場合は、不育症に強い病院に相談しておいて、妊娠後からその病院に通院すればよいケースが多いと思います。
7有名な病院に行くのはいいが事前の下調べが重要!!なぜその病院が有名なのか?評判なのか?まで必ず調べておく
有名な病院に通うことはいいのですが、なぜその病院が有名なのか?評判なのか?まで下調べしておくことが重要です。
あまり調べもせずに有名というだけで不妊治療の病院を選んだ方が自分の不妊のタイプとは合わず、治療を行っても妊娠せず、結局病院を変えたら妊娠したということがあります。
この方はまだ30代の前半の方でそれほど不妊症がひどいというほどではなかったのです。
けれども少しでも早く妊娠したいということで、うちの漢方薬を飲みながら県外のセントマザー産婦人科医院という福岡県にある不妊治療の病院に行き始めたのでした。
私は一番最初の段階でその病院に行く意味あまりないよっていう話はしたのです。
けれどもとにかく有名な病院に行って早く妊娠したいという気持ちが強かったみたいです。
セントマザー産婦人科医院は不妊治療に関しては九州では最も有名な病院です。
大きな病院ですので不妊治療全般行っていますし、どの分野でもそれなりにレベルも高いのですけれども最ものレベルの高いものは男性不妊なのです。
特に無精子症のレベルの男性不妊の治療を得意としている病院で、中国、四国、九州、関西を含めてみたとしても、その分野に関してはセントマザー以上の病院はないと思います。
つまりセントマザーは男性不妊に特に強い病院なのです。
ちなみにご主人はどうかと言うと、多少精子の量が少ないとか運動率が少し悪いとかありますけれども、私が見る限りにおいて自然妊娠できるレベルの状態でした。
実際いざ治療始めてみるとどうもこのセントマザーの不妊治療と患者さんとの治療の相性が良くないみたいであまり結果が思わしくありませんでした。
採卵して移植というのを3回4回しましたけれど全く妊娠する気配がなく、その病院をあきらめて、その、神戸の夢クリニックという病院に変わったのです。
この時にはその神戸の夢クリニックに通っていた友人が妊娠してその病院を勧められたというのもあると思います。
その病院に関しては私も合っていると思いました。
実際不妊治療で、夢クリニックに通われて2回目の体外受精で妊娠され出産まで至ったのです。
おそらくですが、この患者さんの場合はメンタル的なものも不妊に影響したのではないかと思います。
セントマザーは大きな病院過ぎて、この患者さんに対してのメンタル的なケアまでは十分いき届いてない感じがあったと思います。
それに比べて神戸の夢クリニックの方は ケアが丁寧だったように思います。
もちろん治療技術にもよかったのかもしれませんけれども、このときのこの患者さんは情緒的にはかなり安定してきていたと思います。
当初この患者さんはこの頭の病院のことは知らなかったのです。
有名な病院というのはある程度、治療実績が上がっていて治療技術も高い病院であることが多いのですが、自分の不妊の原因に応じた病院選びをした方がいいと思います。
8不妊治療を長く続けるには病院の先生やスタッフの人柄は重要、口コミサイト、ブログでチェックしておきましょう
高齢不妊治療はただでさえストレスフルなもの、そして高齢であればあるほど、妊娠するまでの期間は長くなる傾向があります。
そのため高齢不妊治療の病院選びの中で病院の先生の人柄や病院スタッフとの相性もとても重要になります。
なのでできるだけ、病院のブログや口コミサイトの書き込みはチェックしておきましょう!!
9通院を決めてもすぐに治療が始められないことがあります。思い立ったらすぐ行動を!!
いざ不妊治療を始めようと思っても病院の都合ですぐに始めれることができないことがあります。
仮に病院を変えようとした時に人気がある病院であれば、予約待ちというのがあって通院するまでに時間がかかってしまったりします。
そして体外受精などを受けようとするためには当然前提となる不妊症の検査を受けなければなりません。
体外受精のできる病院から体外受精のできる病院へ変わる場合は多くの場合、同じ地区であれば紹介状をもらうというのは無理なことが多いと思います。
そうすると一から不妊症の検査を受けなければなりません。
そしてその後、体外受精の説明会などを受けなければ体外受精を受けられないという病院もあります。
体外受精の説明会待ちというのも広島の病院ではあります。
そうすると、結局病院を変わって新たに体外受精を受けるまでに半年ほど時間がかかってしまうということさえあるのです。
これは40代になった高齢不妊症の患者さんにとってはかなりの大きな時間のロスになります。
とにかく不妊治療で人気の病院に行く場合などは迷っていたとしても、早めに病院の予約だけはしておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
高齢不妊治療特に40歳を超えてくると不妊治療を行える時間が限られてくるため、焦りもでてきます。
そのために、早めに結果を出そうと有名な病院や、不妊治療の成功率の高い病院に通おうと思うのはごくごく普通の事です。
しかし、どうしてその病院が有名なのか?どうして不妊治療の成功率が高いのか?についても調べておかないと後悔することがあるのです。
なぜならどんなに有名でどんなに成功率が高くてもあなたの身体にその治療法が合っていなければうまくゆかないからです。
そこを見極めることが何より重要なのです。
不妊治療はあなたが思っている以上に時間がかかることが多いですが、高齢の不妊治療は通常よりも妊娠率が低いため、高齢になればなるほど治療期間が長くなる傾向があります。
しかし長く続けることで結果につながることも多いのです。
そのために長く付き合える病院選びはとても重要なことなのです。
そして高齢不妊症の方は、年齢的な問題でいつ不妊治療ができなくなるかは全くわかりません。
そのため、少しでも長く不妊治療の時間を確保することが重要です。
病院を何度も変えてゆくと、一から不妊検査を行わなければいけないケースも多く、これが一番の時間的なロスになります。
そのため、高齢不妊治療の場合は、できるだけ一発で自分に合った病院選びが重要になってくるのです。
こういう自分に合うという視点で書かれている人は少ないように思いましたので、書いてみました。
ぜひ後悔のない病院選びをしてください。