紹介で患者さんが来られました。
ご相談内容は頻尿、高血圧、腰痛です。
高血圧は20年前からだそうで、病院でお薬を服用されていて、血圧自体は現在130/80と安定しているそうです。
腰痛が右側で臀部まで痛みが広がっている感じでした。
いずれも原因に心当たりはないそうです。
それよりも問題なのは頻尿だと思いました。
前から多少はあったそうですが、極端に酷くなったのはここ数か月だそうです。
日中のトイレに行く間隔は2時間おきだそうですが、夜間の頻尿は1時間~1時間半に1回は起きてトイレに行くということでした。
つまり一晩に4~5回は行くということでした。
この原因についてお伺いしましたが特に心当たりはないそうです。
今までにも夜間頻尿の患者さんはみてきましたが、この患者さんはとびぬけて多いと思いました。
この3つの主訴の中で、とりあえず、高血圧は緊急性も無いですし、病院のお薬でコントロールされていますので、この治療はとりあえずせず、腰痛および夜間頻尿をメインに漢方治療をするというお話を患者さんにしました。
さて、では頻尿と腰痛の治療に関して通常であれば優先順位をつけて治療を行ってい行くのですが、この患者さんの場合はひょっとしたら夜間頻尿と腰痛の原因が一緒なのではないか?と思ったのです。
その理由は・・・年齢です。この患者さん70代の男性なのです。
可能性としては前立腺肥大がありますし、漢方的には高齢になってくると腎虚(老化)が原因で発生する頻尿があるのです。
この加齢に伴う頻尿は原因が冷えなので、若い頃には無かった冷え症が年をとってから出てくることがあるのです。
そこで、患者さんに冷え症の有無をお伺いすると・・・ここ5年から10年の間に徐々に冷え症になってきたと言われるのです。
これらの事から老化による冷え症が原因で頻尿になっている可能性があるのです。
そしてこの老化が原因で冷え症になっている場合、腰痛も発症しやすいのです。
この腰痛は通常、激痛ではなく鈍痛なのです。
この患者さんにこれに関して確認したところ、激痛ではないということでした。
そこでさらに、東洋医学的な問診およびそのほかのチェックを行ったところ、はやり予測した通り、加齢に伴う頻尿や腰痛である可能性が高く、その状態に用いる漢方薬が合っているように思われました、
そのため、この患者さんにその漢方薬を2週間出して様子をみてもらうことにしました。
そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・
腰痛も頻尿も微妙に良いそうです。
今まで一晩に4~5回行っていたのが一晩に4回程度になったそうです。
腰痛も前より少し気にならなくなったそうです。
少しホッとしました。
そして患者さんの希望もあり、今回の原因は老化が大きな原因なので、大きく漢方薬が変わることが無いので1ヵ月間隔でご相談に来られました。
そして次の1か月後には夜間頻尿が一晩に3~4回に減り、腰痛もさらに軽減し、さらに1か月後に来られた際には、夜間頻尿が3回程度に減り、腰痛はさらに改善し、さらに1か月後には夜間頻尿の回数は2~3回に減り、腰痛は大分気にならなくなってきました。
さらに1か月後には夜間頻尿の回数が2回程度に減り、腰痛はもうなくなりました。
そしてさらに数か月後には夜間頻尿の回数が1回にまで減りました。
しかし、ここから夜間頻尿が0回になることはありませんでした。
そしてしばらくすると、夜間頻尿の回数が2回に再び増えました。
ちょうど秋になってきた時期でもありますし、それと同じ時期に足が冷えるということを言われるようになりました。
この冷えは最初の頃の冷えとは言われる場所も患者さんの説明も最初とは異なる感じでした。
どうも原因が老化(腎虚)では無くなり、血流の問題(瘀血:おけつ→血流障害)に変わったように思われました。
そこでここから再び漢方薬を変更してまた様子をみていただくことにしました。
そうすると、また再び、1か月ごとに玉ねぎの皮を剥くように少しずつ夜間頻尿が改善してきました。
そしてこの漢方薬を結果として約半年間続けましたが、やっぱり夜間頻尿が1回までしか減りませんでした。
しかし、夜間頻尿に関しては改めて東洋医学的に再度チェックしなおしましたが、東洋医学的には治療すべき問題はすべて治療し終えた気がしました。
そのため、これで治療を一旦終了して、もしまた症状が出るようであれば再度ご相談いただくことにしました。
治療期間としては1年半くらい通っていただきましたが、最初の夜中1~1時間半起きにトイレに行っていたことを思えば随分良くなったと思います。
とりあえずは良かったです。
さらに
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