HPを見て患者さんが漢方相談に来られました。

相談内容は主に喉の詰まり、耳鳴り、不安感です。

いつ頃からこの症状が出たのかお伺いすると、だいたい8年前からということでした。

実際にはもう少し前に突発性難聴になって、それは病院での治療で良くなったそうですが、その治療をしているくらいの時期に喉の詰まりや不安感などがでてきたそうです。

その後耳鳴りが出てきて、耳鼻科に行きその症状は一旦治ったそうですが、約1年前に再び耳鳴りの症状が出てきたそうです。

そして、現在は喉の詰まりと耳鳴りと不安感の症状が出ているそうなのです。

それらの話を一通り聞いてから、この患者さんに合う漢方薬を探すため、漢方的な問診を行いました。

それと合わせて、この患者さんの性格的な特徴を漢方的にチェックしてみました。

というのも、精神・神経のトラブルの場合、患者さんの性格的な特徴が病気に関係してることが多いのです。

例えばですが、不安神経症は、もともとが心配性の方に起こりやすいですが、楽天的な性格の方はおこりにくいのです。

また、例えばですが、怒りっぽい人に用いる漢方薬と心配性の方に用いる漢方薬は異なるのです。

そのため、この患者さんの性格的な特徴を掴むことがとても大事なのです。

東洋医学

そこで、いろいろな問診をしてお話をお伺いしたところ、やはり、もともとが心配性であることがわかりました。

そして、体力は中程度であることなどもわかりました。(漢方の場合同じ症状であっても体力が異なると用いる漢方薬が異なることが多いのです)

それ以外にも色々なことをお伺いして、トータルとして、この患者さんの喉の詰まり、耳鳴り、不安感の3つの症状の漢方的な原因は同じではないか?という結論に至りました。

そのため、漢方的な一つの原因に対応する漢方薬をお出ししてみることにしました。

そこからは大体1週間間隔で来ていただきました。

そして、1週間間隔で来られる中で、最初の頃は、これらの3つは同時にすべてが良くなるわけではなく、耳鳴りが良ければ、不安感は少し増えたり、喉の詰まりは変わらず、不安感と喉の詰まりが改善しても、耳鳴りは少し強く出たりという感じ症状に波に波がありました。

しかし長いスパンでみた時には徐々に徐々に改善していきました。

また、相談の中でその時のコンディションによって、養生法(自分で行う生活上の注意点)などのアドバイスを行いました。

そして、漢方を服用されて3か月経過した辺りから、すべての症状が最初に来られた時よりも良い状態が続くようになっていきました。

症状改善イメージ

そして服用されて5か月経過した辺りから、随分コンディションが安定してきて、『調子はどうですか?』とお伺いすると、『元気です』という答えが多くなってきました。

ただ、まだこの状態というのは本当に良い状態ではなく、漢方薬を服用していることで、良いコンディションが保たれているのです。

実際この時期でもそれぞれの症状の好調・不調は多少あって、その都度、用いる漢方薬を変えたり、組み合わせを変えたりはしていました。

そして、漢方を服用され始めてから8か月経過した辺りから、症状は落ち着いてきて、その頃から減薬に入りました。

それでも、この患者さんは微妙に症状の増減があり、漢方薬の組み合わせや量の変更が必要でした。

こういう、メンタル的な症状で敏感なタイプの患者さんは薬が少な過ぎても、症状が抑えきれず症状が出るのですが、状態が改善してきた場合、薬の量が多くなりすぎても症状が出ることがあるので、その判断がとても難しいのです。

新しく出てきた症状が薬の量によるものなのか、本当に内側の問題なのか必ずチェックしないとうまくいかないのです

そのように、細かな点に配慮しながら、徐々に減薬を行い、全く漢方薬を飲まなくても症状が全く出ない状態に持っていくことができました。

気が付けば1年と1か月経過していました。

なかなか大変だったですが、8年間悩まれていた問題が約1年で改善し、無事卒業となったので、良かったです。

ホッとしました。