ネットを見て漢方相談の方が来られました。
この方、耳鳴りと頭鳴りに悩んでいるそうです。
もう少し症状を詳しくお伺いすると、右の耳鳴りと側頭及び頭頂部の頭鳴りに悩んでいるそうです。
耳鳴り・頭鳴りの音はキーンという高い音とジージーという低めの音だそうです。
いつからこの症状が出てきたのかお伺いすると、症状が出てきたのははっきりしていて、今年の2月に入ってからだそうです。
この症状が出てきた原因について心当たりがないか?さらにお尋ねすると、今年の2月に目がぼやけてきたため、眼科で遠近両用のものを目に入れる手術を行ったのだそうです。
それから数日して目の調子がおかしくなり、その後から眼精疲労が起こり、その後くらいから頭痛と頭鳴り、耳鳴り、めまいが出てきたそうです。
そのため、脳に何か問題があるのではないかと思って、脳外科に行ったそうですが、特に問題はなかったそうです。
そこで今度は、心療内科に行って診てもらったところ、向精神薬を出されたそうです。
しかし、その薬を飲んだところ、むしろ頭痛がひどくなり、途中でやめたそうです。
その後、今度は耳鼻科に行って治療を受けたところ、めまいは改善したそうなのですが、最終的に耳鳴りと頭鳴りが残ったそうです。
それから徐々に、症状は少なくなっていったそうなんですが、美容院でシャンプーしてもらっている最中にまた再び悪化して耳鳴りと頭鳴りの音が大きくなったそうです。
そこでわらにもすがる思いでうちの漢方薬局に来られたそうなのです。
そこで、今までお伺いした話を時系列に整理して、さらに漢方的な問診を加えてこの患者さんに合いそうな漢方薬を探してみることにしました。
そうすると耳鳴りの音の質が2種類あり、音の質そのものや耳鳴りが起こるようになった経緯などを総合的に考えると、少なくとも漢方的に考えると、二つの原因が存在するように思えました。
一つは気滞、もう一つは腎虚です。
気滞とはストレスや感情的な問題が原因となるもので、腎虚とは加齢(老化)に伴って生じる問題です。
この患者さんの場合この二つの原因が複合しているように感じました。
この二つの漢方薬を同時に出そうか迷ったのですけれども、現時点でこの患者さんが気になっていたのはキーンという高い音の耳鳴り・頭鳴りでした。
そのため、キーンという音を生じさせている主な原因と考えられる気滞の問題を先ずは治療してみることにしました。
この期待に合うと思われるものをとりあえず一週間飲んで頂いたのですけれども、一週間後に来られた際にむしろ音が酷くなったと言われるのです。
こう言われるのは正直予測していたので、どうしてそのようになるのか患者さんにお話ししました。
そして、むしろ音がひどくなったという同じお薬をさらに一週間飲んでいただくことにしました。
そうすると、今度は以前よりも耳鳴り・頭鳴りの音が小さくなったのです。
ただし、この時点で最初に出した漢方薬はもう合わなくなっていましたので、ここで変更する必要が出てきました。
そこで、次にお出ししたのは、腎虚にも気滞にも両方使うことのある漢方薬でした。
そしてまた一週間後来られた際に症状をお伺いすると、漢方を飲み始めて、また音が大きくなったと言われるのです。
そこで耳鳴りのツボの反応チェックしてみると・・・これは私が誤っていたみたいです。
そこですぐに、また漢方薬を変更しました。
今回は気滞に用いる漢方薬です。
これを服用されて一週間後来られた際に様子を伺いすると・・・今度は少し音が小さくなっているそうです。
しかし、漢方薬を再度チェックすると思うこの漢方薬はこの患者さんには合わなくなっていました。
そこでまた漢方薬を変更することにしました。
次の漢方薬は更年期障害に用いるような漢方薬でした。
これを服用して頂いて一週間後にまた来ていただくことにしました。
そして一週間後に来られた際にまた様子をうかがいすると最初は良かったけれども途中で合わなくなったような気がするという風に言われました。
実際にチェックしてみると、確かにそのような感じでした。
そこでまた漢方薬を変更してみることにしました。
次には出した漢方薬は更年期障害に用いる漢方薬に、気滞に対する漢方薬を併用してもらうことにしました。
この漢方薬を服用していて、また一週間後に来ていただくことにしました。
そして一週間来られた際に、症状をお伺いすると、この薬も途中までよかったそうですが、途中でまた合わなくなった気がすると言われました。
このように完全には飲みきれないけれども服用を続けていただいた結果、およそ1ヶ月ちょっとでキーンという高い音はほとんど気にならなくなったそうです。
現在はジージーという耳鳴り・頭鳴りに対する治療を行っています。