80代の女性の方です。

娘さんと一緒にご相談にこられました。

相談内容は耳鳴りでした。

もう何年も前から耳鳴りに悩まされているそうです。

特に寝る前になると、耳鳴りが一層大きく聞こえ、眠れないということでした。

そこで病院に行って耳の働きと脳を調べてもらったそうですが、特に異常は見つからなかったそうです。

ただ時おり、目に光が溢れて見えるのは目の奥の血管がけいれんを起こしていると言われたそうです。

それ以外に下肢静脈瘤があるとのことでした。

それらを踏まえて、現在の耳鳴りの音の種類をお伺いしたところ、耳の中でフワーンという音と頭の中でジージーというセミの鳴くような音がするそうです。

フワーンという音は一般的には聞かない音の表現ですが、よく聞いてみると、高い音の耳鳴りでした。

恐らくストレスが関係しているだろうと思いました。

ストレスのイメージ

その一方で低い音のジージーというセミの鳴くような音は老化に伴う耳鳴りの音なので、これを改善するのは難しいだろうと思いました。

そのため、この患者さんにも、この耳鳴りすべてが消えることは難しいけれども、ある程度長く薬を服用されると、高い音は消えてきて生活上気にならない程度まで小さくなることもあるけれどやってみないとわかりません。

というお話をしました。

それでもやってみたいということだったので治療をすることになりました。

今までの、問診内容から、この耳鳴りを改善するために必要な漢方薬は老化防止のもの、ストレスを緩和するもの、血流をよくするものなどが考えられましたが、実際にチェックしてみると、自律神経を調整するもので比較的高齢の方に用いることが多いものが合っている気がしました。

そのため、その漢方薬をとりあえず1週間服用していただくことにしました。

そして、1週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・
全く変わらないそうです。

ただ、耳鳴りのツボの反応をチェックすると、漢方薬は合っている気がしたので、漢方薬はそのまま2週間服用していただくことにしました。

そして、また2週間後、来られた際に様子をお伺いすると・・・

高い耳鳴りの音は多少おさまっている気がするとのことでした。

そこで、また同じ漢方薬をさらに2週間服用していただくことにしました。

そして、2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

間違いなく、高い耳鳴りの音は減っているそうです。

しかし、ジージーというセミの鳴くような音は全く変わらないとのことでした。

この低いジージーというセミの鳴くような音は老化が原因なので治らない可能性のほうが高いというお話をしました。(最初に来られた際にもお話しています)

漢方治療イメージ

ただ、高い耳鳴りの音が気にならなくなってきているので、以前に比べ寝れないということは無くなってきているようでした。

そこで、この漢方薬のまま、しばらく様子をみていました。

その後、メインの漢方薬は変えず、組み合わせる漢方薬を多少変更しながら漢方薬を服用していただいていました。

漢方薬を服用されて数ヶ月たった段階で高い耳鳴りの音は消えたそうです。

でもやはり依然として、ジージーというセミの鳴くような音は変わりませんでした。

もう、この音は老化が原因だから消えないかもな・・・
と思っていました。

ただ、患者さんのお話をお伺いする限り、日常の生活に苦労しなくなってきていました。

そのため、あとは、どこまで続けるか?継続した方がいいのか?を考えていました。

そして、この間、患者さんが来られて、ジージーというセミの鳴くような音がある時から急に消えたそうなのです。

そして、その消えた状態が今もずっと続いているそうなのです。

その話を聞いて、にわかには信じられませんでした。

そこで、耳鳴りのツボの反応をチェックしてみると、確かに耳鳴りの反応が消えている気がしました。

そこで、今回は漢方薬をお出しせず、また3週間後に来ていただくことにしました。

これで問題無ければ、一旦治療を終了しようと思います。

通常、ジージーという音は小さくなっても消えることは少ないのですが、こんなこともあるんですね