大阪の不妊治療の患者さんから電話がありました。

この患者さん、私の薬局で漢方相談をされてからおよそ半年ぐらいになりますけれども、それ以前の数年間大阪でも有名な不妊専門の病院などで高度な不妊治療だけを受けられていたのです。

しかし、不妊治療を継続しても後半の1年間は様々なやり方を試みてもらったみたいですが、全く卵が育つことがなく、不妊治療の限界を感じ、藁にもすがる思いで私の薬局に相談されたそうなのです。

最初の相談の際に、現在服用されているサプリメントや漢方薬についてチェックするのですが、多くの患者さんは不要なものを多く飲まれているケースが多いのです。

この患者さんの場合も明らかに必要のないサプリメントをいくつか飲まれていました。

そこで必要ないサプリメントはやめていただいて、うちの漢方薬メインにしてもらうようにお願いしました。

そして、この患者さんの体の状態を病院の血液検査などで見ると時折FSHが30(MIU/ml)を越えたりしています。
AMH卵巣年齢は 0.16だったそうです。

そのため検査値から考えても卵巣機能の低下は間違いなくあるように思います。
また漢方的な視点から不妊症ののツボの反応により不妊症の状態のチェックを行っても、明らかに腎虚(加齢に伴う老化の問題)
の状態があると感じました。

そこで、まず最初に不妊治療に用いる漢方薬を敢えて老化を防止する漢方薬、1種類のみに絞ってお出しして様子を見ることにしました。

この漢方薬を服用していただいて約1~2ヶ月で、ここ1年ずっと見えなかった卵胞が見えるようになったのです。

そして短期間の間に2個採卵できて、受精もして、分割も起こり、凍結することができたのです。

不妊治療イメージ

この期間はとても順調に行きました。

けれども、この患者さん、年齢としては40歳を超えて、国の補助を受けられない年齢になってきています。

この国の補助が受けられないということがどういう風に関係するのかというと、卵巣機能が極端に衰え始める年齢になってきているということなのです。

このぐらいの年齢になってこられると、漢方薬を服用したとしてもずっと卵巣の状態が良い状態を維持できるとは限りません。

そのため、できるだけ良い状態の時に少しでも多く採卵して、質の良い卵を採っておくことが重要なのです。

そして、その患者さんに合った漢方薬を服用していただくと、ずっと良い状態が続かなくても、また良い状態になることが多いのです。

この良い状態の時にまた採卵するということを繰り返してゆくしかないのです。

この方も2個目の採卵ができた後から また卵がしばらく見えない状況は続きました。

その間に2回ほど大きく漢方薬の組み合わせを変えました。
そして前回の採卵からおよそ3ヶ月ぶりに、再び卵胞が見えて、今回もうまく採卵、受精分割、することができたそうです。

そして今回は、初めて新生胚で卵を返したそうです。

結果は後日電話で連絡してもらうことになっています。

良い状態のうちに、できるだけ卵を採る、良い状態の時(漢方薬が合っている時)に卵をかえす。

それが、自分の経験上重要だと思っています。

ただ、実際に妊娠するかわかりません。

上手くいくことを願うばかりです。