39歳の不妊症の患者さんが来られました。

この方は約2年前から本格的に不妊治療を始めたのです。

そして約2年前に人工授精を7回、その後に体外受精を行ったのですが、その時の体外受精は異常受精のため、中止になり、それ以降は FSHが高くなってしまい、カウフマン療法や マーベロンを内服してFSHが下がるのをずっと待っているのですが、ここ1年間下がることがありませんでした。

それもあって私の薬局に漢方相談に来られたのです。

この時にのまれていたサプリメントはメラトニン、ビタミンD 3、ビタミンE、ミトコンドリアサプリ、プレミンなど様々な物を飲んでおられました。

そこでまず、サプリメントの合う合わないをチェックして必要ないものはやめてもらうことにしました。

この中で実際に問題ないと思ったものは五つのサプリメントのうちの一つだけでした。

そのためそのひとつだけは継続してもらい後のものはやめてもらうことにしました。

漢方治療を行う前に不必要なものを服用しないことも大事な治療の一つなのです。

そして次にこの方に合う漢方薬を探すことにしました。

病院の治療薬

この方の場合はAMHが0.48で、なおかつFSHも25.8mlU/mlと検査上は閉経期に入っている値なのです。

そして先ほども言いましたけれども、カウフマン療法やマーベロン(低用量ピル)を服用してもFSHは一向に下がらなかったのです。

そのため、基本的には、漢方的に考えると、老化(腎虚)の問題が必ずあるはずなのです。

でも最初の段階で、糸練功によるチェックを行ってみて気になったのは、単純に生殖器機能全般の低下でした。

これは老化の時に使う用の漢方薬ではなく普通に黄体機能不全などの時に使う血虚タイプに使う漢方薬なのです。

ただし、この漢方薬は不育症の時にも使うことがあるのでその話は患者さんにしました。

この方はその段階では不育症の検査はされていなかったのです。

しばらくはこの系統の漢方薬が合っているようでした。

この系統の薬を服用されている際に再度カウフマン療法を行ったところ、この1年間一度も下がらなかったFSHの数値が一気に正常値まで下がったのです。

漢方薬イメージ

この時にはFSHを直接下げるような漢方薬を使っていなかったので最初ちょっと驚いたのですが、よくよく考えてみるとFSHが上がる時というのは当然、エストロゲンの分泌が低下している時なのです。

つまり卵胞の働きが悪い時なので、卵胞の状態を良くするような漢方薬を用いると卵胞が良くなる結果、エストロゲンの分泌量が増し、FSHは下がってくるということなのだと思います。その後、薬がまたずれてきて都度、修正を行っていたのですが、最近になって老化(腎虚)の問題も若干あることがわかりました。

そこで老化(腎虚)に対する漢方薬に切り替えたのです。

そして、 採卵した際も異常でない受精卵が初めてできてちゃんとした体外受精を始めて行うことができたのです。

そして卵を戻して約2週間後の今日相談に来られたのです。

それでどうでしたという話を聞いたら陽性反応が出たとのこと。

正直びっくりしました。

もう少し自分としては時間かかるんじゃないかと思っていたのです。

でもたくさんの妊娠体験談を読んでもらうと分かると思うのですが、大概、私が妊娠すると思っていなかった人が妊娠するんですよね・・・

でもこの方、今までで1番緊張しているように見えました。

妊娠して不安

今まで一度も妊娠したことがなかったから今後の事がとても不安なようです。

そのため今回は流産止めの漢方薬を出すことになりました。

実際にお出ししたのは当帰芍薬散系統の漢方薬で、お腹が痛くなって流産するようなタイプの方に使う漢方薬です。

こういうタイプの方の養生法で大事なのはゴロゴロする(動きすぎない)ことです。

しかし、この方の場合、仕事を持たれているのでなかなかそうもいかないようです。

でもできるだけ動きすぎないようにしていただきたいものです。

まだおそらく大丈夫と言える期間まではあと約2ヶ月あります。

患者さんにとっては気の遠くなるほど長い時間です。

この2週間、何事もなく、無事に過ごされるといいのですが・・・

広島の漢方薬局ハーブスのTEL082-507-3470