不妊治療の患者さんが来られました。

この方は結婚して10年弱だっているのですけれども、不妊治療を始められたのはまだそれほど長くはありません。

ただタイミング人工授精体外受精とステップアップされて治療を受けられたんですけれども、思うような結果が出ず、 ウチの漢方薬局に来られたのです。

そしてこの方は案外色々な不妊の原因を抱えています。

その様々な問題の中で特に不妊治療上問題となるのは、FSH(卵胞刺激ホルモン)の値が上昇してきているということと、AMH(卵巣年齢) が0.5ぐらいまで下がってきているということです。

そしてAMH(卵巣年齢)が約0.5まで下がってきているということは残卵数が少なくなってきているということで、普通の人よりも閉経に早く至ってしまう可能性が高いということです。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は以前は単純に残卵数を指し示すもので、卵の質そのものはAMHでは分からないからさほど重要な指標ではないとする産婦人科医の先生方が多数でした。

現在では基本的な考えが大きく変わるわった訳ではないですが、ホルモン補充療法による体外受精の採卵数と相関はあります。

そのため体外受精が効率よく行えるかどうかの指標として、重要視する不妊治療専門病院は増えてきています。

中にはこの値を基準に40代の高齢不妊の患者さんを受け入れるかどうかの指標としているところもあります。

このようにFSH(卵胞刺激ホルモン)とAMH(抗ミュラー管ホルモン)はそれぞれ重要なものなのです。

さて話を戻しますけれども、 この方は体外受精まで治療を行ったのですけれども 体外受精の際に一つの卵子の中に精子が多数入ってしまう 異常受精を 異常受精を起こしてしまって治療が中止になったのです
そのようなこともあって 漢方相談に来られたのです

これ以外にもいくつかの問題があったのですけれども、まずは漢方的な視点から見て、どこに問題があるのか?ということを中心にまず考えてみることにしました。

不妊治療の場合、漢方薬局では基礎体温を重視するところは多いと思います。

うちの漢方薬局でも基礎体温は重視します。

高度な不妊治療を行っている産婦人科の先生の中には基礎体温は大した意味がないと言われることもあります。

確かに基礎体温は完全なものではないですけれども体の内側の状態をかなり正確に投影するものだと思います。

実際に基礎体温ずっと読んでいくと、その方の卵巣の働きの状態やその方に出した漢方薬があってるかどうか、もっと言えば病院で行われている不妊治療がその人に合っているのかどうかもある程度は予測がつきます

そしてうちの薬局に来られる前に 測っておられた基礎体温 はこれらの三つの形です。

12月基礎体温

1月基礎体温

この2つの基礎体温の形で重要なのは高温期の時に体温が大きく下がっているということです。

この状態は西洋医学的には黄体機能不全、つまり卵巣機能の低下が著しい時に現れるものです

漢方的に言えば血虚です。

そこで問診、糸練功などを行い、最終的にこの方に合うのではないか?と思われるものを出しました。

そして1か月ちょっと服用していただいてからの基礎体温がこれです。

3がつ基礎体温

高温期に基礎体温が下がらなくなってきていることがわかりますよね。

今回のケースは比較的早く結果が出たケースです。

この基礎体温の変化は1年間くらいかけてゆっくりと改善する方もおられます。

そのため、誰でも治療を始めてるとすぐにこうなりますよ!!とは言えないのですが、

正しい治療を行うと漢方薬でも、比較的早めに結果が出ることがあるということです。

この方は補血の漢方薬を2種類併用してこのようになりました。

まだ、ここから妊娠しなければいけないのですが、まずは体に合うものを服用するということが何より重要なのです。

この方もそうですが、最初の基礎体温時(12月、1月)には沢山のサプリメント(ミトコンドリアサプリやメラトニン、ビタミンDなど)を飲んでいて、あのようなひどい基礎体温だったのです。

サプリメントを沢山飲めば身体がよくなるわけではないのです。

その方にとって合うものを服用すれば身体がよくなるのです。

その判断が重要なのです。

この方のサプリメントはチェックして1つを除いてほとんど止めてもらいました。

実際にミトコンドリアを活性化させるといわれているサプリメントを含めほとんどが合わなかったのです。

その合わないものを抜いて、漢方薬を服用していただいたのです。

治療は足し算ではないのです。

サプリや薬を飲めば飲むほど良くなるわけではないのです。

その方に合った漢方薬やサプリメントを適量服用することで身体は良くなるわけです。

そこのところは重要ですのでよく理解してください。

そしてこの方の基礎体温がきれいになった漢方薬というのは、不育症(習慣性流産:流産を繰り返す体質)の方に用いることの多い漢方薬なのです。

そうすると逆算的ですが、この方は不育症があるかもしれないという可能性が出てくるのです。

ここの最終的な確定診断は病院で調べてもらう必要があります。

不育症に関しては広島には専門医がいないので、可能であれば、岡山大学附属病院で検査してもらうようにこの方にお願いしました。

不育症無い方が良いのですが、もあるかもしれない・・・です。

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