不妊治療の患者さんが来られました。

この患者さんは高校生の頃から生理不順があり、その頃からピルやホルモン剤の注射などを受けていたそうです。
この生理不順、病院でも原因がはっきりわかっていないのです。

そのため排卵誘発剤や注射剤などを使って治療をされていたのですが、最初に相談に来られる半年ちょっと前に病院で4ヶ月連続ホルモン注射と排卵誘発剤の不妊治療を受けてから3ヶ月間生理が全く来なくなったそうなのです。

それまでは生理不順であっても45日周期ぐらいでは自力で生理が来ていたそうなのです。

そのため、なんとか自力で生理が起こるようにしたい、ということで漢方相談に来られたのです。
そこで、この患者さんに合う漢方薬を探してみることにしました。

まず、問診をしていてとても気になったのが、疲労感が非常に強いということです。

問診項目の中に疲れやすいですか?という質問があるのですが、多くの方は、疲れやすいという項目にマルをしていても、仕事から帰ってきて休むことなく、家事ができる方が多いのです。

しかし、この方は、休みを入れないと難しいという事と朝目が覚めて実際に起き上がるまでに30分以上かかること。そして起きてもなかなか身体が動かないそうです。

それ以外に、めまいやむくみの症状もあるということでした。

これらの症状から、間違いなく気虚(エネルギー不足) はあるだろうと推測できました。

それが、不妊や生理不順に関係してるかどうか?が重要なのですが、生理不順のツボと不妊症のツボでチェックしてみると、このすごく疲れやすいという症状は、これらの生理不順や不妊症と関係しているように感じました。

そこで、この患者さんの生理不順と不妊症と疲れやすさに合う漢方薬を探してみることにしました。

漢方治療イメージ

そうすると、高麗人参製剤があっているように思いました。

その漢方薬をとりあえず2週間服用してもらうことにしました。

そして、2週間後来られた時にはうまく排卵して高温期となっていました。

しかし、その後また排卵が起こらず、何度か漢方薬の変更を行いましたが、 それでもなかなか排卵しませんでした。

そして、何度も体の状態をチェックしているうちに、最初に出した漢方薬の量が足りないことに気がつきました。

そこで、漢方薬の増量をすることにしたのです。 そして、あともう一つ、この患者さんが飲んでいたビタミンDのサプリメントがどうも合ってないような気がしたのです。

そこでビタミンDのサプリメントを一時的に休んでいただくことにしました。そうすると、朝の目覚めが少し良くなり、疲労感も少し減ったのです。

そして、遅れていた生理が自力で来たのです。

そして、その次も少し時間はかかりましたが、自力で生理が来たのです。

自力がついてきたこの時期に、また再び、この患者さんは病院に通うようになりました。

そして、また、タイミングから治療を始めることにしたのです。

ただし、以前の病院で大量にホルモン剤を使ったことで生理が乱れたと、この患者さんは感じていたので、今回は漢方薬と排卵誘発剤1錠のみから始めるよう、お願いしたそうなのです。

その結果が今回の基礎体温に現れています。

今回は排卵誘発剤を併用していますが、今までに無かったと患者さんが言われるほど、きっちりと28日で生理が来ています。

なおかつ、基礎体温の高温期が随分改善しています。
高温期の改善は直接妊娠に大きく関わる部分です。 (基礎体温は37°を越えるまではできるだけ高いほうが良く、高温期の日数は14日を超えるまではできるだけ長い方が良いのです。)

このような基礎体温の改善も病院の薬だけでは過去になかったことだそうです。

その改善が見られた基礎体温がこれです。

生理不順の患者さんの基礎体温改善

 

この患者さんは、漢方治療をはじめてから約半年になりますが、不妊症がもともともっている体質に関係している場合、このように、時間をかけて少しずつ改善してくることもあるのです。