一般のアトピー性皮膚炎のサイト(特にアフィリエイト系)を見て思うのことなのですが、嘘が多いなということです。それは言えば仕方のないことかもしれません。何せ直接患者さんを診てその商品を薦めているわけではないし、またその商品を使ってその方がどうなったかその都度チェックしているわけではないのですから・・・
それでも中には良心的なサイトもあります。ご自身の体験やご家族(特にお子さん)のアトピー性皮膚炎の体験を通して学んだことを通して様々な問題の提議や、経験によるノウハウの共有をしようとするものもあります。
それでもやはり目立つのは商品の宣伝中心のサイトです。
僕もすべての商品をチェックしたわけではないので、あまり、知ったかぶりはできないのですが、それでも、患者さんが今使っているスキンケアのものは、最初に来局された際にチェックするようにはしています。
それで、今回アトピー性皮膚炎の一般サイトで気になったのが、商品のなかで無添加だからいいとか安全という表現です。
では無添加っていったい何なのでしょう?
一般に無添加と考えられているのは石油由来のもの、たとえば界面活性剤などを使わないことや、タール色素(コールタールを原料に作られる色素。ちなみにコールタールとは石炭からコークスを作る際に得られる副生成物です)などの人工着色料を使わないこと、人工香料などを使わないことなどを指します。
ただし、無添加化粧品と書いていても実際には石油由来や石炭由来のものを一切使っていないという化粧品は稀なのです。
多くはその成分の中で、皮膚にトラブルを起こしたといわれているような主な化学成分を、天然由来のものに置き換えてほとんどは変えないというもののほうが多いのです。そしてその天然由来の成分の安全性については十分な確認がなされているかどうかはわからないケースもあるのです。
どうしてこのようなことが起こるのかといえば、それは厚生省の薬事法規に関係があるのです。
この薬事法規の中に化粧品の定義というのはあるのですが、無添加化粧品の定義はないのです。そのため無添加化粧品という言葉には国で定められた定義がないため、当然定められた基準もないのです。そのため結果として、その化粧品を作る会社のモラルにゆだねられているのです。そういうことで会社によっては本当に天然由来のものにこだわって作っている会社もあれば、見せかけだけの目立つ成分だけ置き換えるようなところもあるのです。
ただ、私は必ずしも石油由来の製品が悪いとは思っていません。(いいと言っているわけではないので誤解のないように!!)
そういう大部の化粧品や外用剤が全く悪い影響を与えないケースは多々あるのです。
天然品至上主義の方たちのサイトを見ると、通常の石油由来成分を含む化粧品を使っている方は皮膚の黒ずみが目立つが、無添加化粧品なら皮膚の黒づみはおこらないようなことを書かれているものもありますが、そんなことはないと思います。
皮膚の黒ずみが起こるのは皮膚を掻き壊してしまうのが原因なのです。その傷跡が黒ずみとして残るのです。そのため使ってかゆみが出なければ、その部分は黒ずみになりません。実際白色ワセリンを使っても全く悪化しない人がたくさんおられるのです。ちなみに白色ワセリンは石油から得た炭化水素類を混合して脱色したものです。
大事なことはその成分がその人によって刺激になるかならないかだけなのです。
もし白色ワセリンを塗って皮膚がかゆくならず、もしくはその保護作用で皮膚が落ち着いて来れば、色素沈着である黒ずみは消える方向に向かいますし、白色ワセリンがその人にとって肌の刺激(ストレス)になるようであれば、それを塗れば皮膚がかゆくなり、掻き壊し、それを修復する過程で、皮膚の色素沈着がおこり、結果として皮膚が黒ずむというだけの話なのです。
で私が今までに患者さんをみてきた正直な感想からいえば、白色ワセリンで皮膚を悪化させる例はそれほどには多くないということです。たぶん思っていたのと違う結論だと思うのですが、これが正直な感想です。