HPを見て患者さんが来られました。ご相談内容は妊活(不妊治療)です。

年齢は30代後半で、ご結婚されてから10年以上経過し、妊活を始めてから5年以上経過しているということでした。

病院での治療に関してはタイミング、人工授精、体外受精とステップアップしていて現在に至るということでした。

病院の検査結果の中で気になったのはAMHの値で、この患者さんの年齢としては低めなことでした。ご相談に来られる1年前の段階でAMH(抗ミュラー菅ホルモン)が0.2ということですので、現在は0.1以下になっている可能性もあります。

また、FSH(卵胞刺激ホルモン)の値はバラつきがあるけれども高い事が多いということでした。実際検査結果を見せてもらうと、FSH(卵胞刺激ホルモン)の値は40~100ng/dlで通常、考えれば閉経している状態の数値でした。

ただ、この患者さんの場合、生理は比較的順調に来ることと、体外受精を行うと卵胞が全く育たないということはないので完全に閉経しているとは言えない感じなのです。しかし、体外受精の際、卵胞の育ちが悪いそうで、数回に1回くらいしかちゃんと育たないということでした。

漢方治療イメージ

そういったこともあってご相談に来られたみたいでした。

そこでさらに西洋医学的な問題をお伺いすると、子宮筋腫があるということでした。

そして、現在服用されているサプリメントを確認してみると、複数のサプリメントを服用されていましたが、この中の2つ合わないものがあったので、それは止めてもらうようお願いしました。

そして次に東洋医学的(漢方的)な身体の体質をチェックしてみることにしました。

これらと西洋医学的な検査結果を基にこの患者さんに合うと思われる漢方薬を出してみることにしました。

そうすると、血虚(女性ホルモン不足or女性ホルモンの働き不足)~腎虚(老化)位の卵巣機能が衰えてきている方に用いるような漢方薬が合っているように思われたので、この漢方薬を出してみることにしました。

そしてだいたいお2週間間隔でご相談に来られました。

体質改善イメージ

漢方薬を丁度飲み始めた頃に採卵を行ったようですが、その際は2個採卵できたそうですが、受精はしなかったということです。その時の残っていた卵胞が遺残卵胞となって不妊治療の障害となるため、ここからピルを使って一旦リセットすることになりました。しかし、1回のリセットでは上手くゆかず、さらにもう一回リセットを行いました。

実際に治療を始めてみると。全くどうにもならないという訳ではないですが、通常の妊活(不妊治療)患者さんと比べるとパッと採卵や移植に移行できない。やはり、大変だなということを実感しました。

そして漢方を始めて約3か月で久しぶりに採卵→受精→凍結(初期胚)できました。

少しホッとしました。

そしてこの卵胞を次の周期で移植することになりました。

しかし結果は陰性で、また採卵から始めることになりました。=体外受精イメージ

そして体外受精をやろうと思っても遺残卵胞が邪魔をする。

それでもまた3か月後に採卵→受精→凍結(初期胚)に至りました。

そしてまた直後は遺残卵胞でごたごたして2か月後には採卵→受精→凍結(初期胚)に至りました。

その次の月も遺残卵胞でゴタゴタして、その次の月もそれを引きずりましたが結局3か月後にはまた採卵→受精→凍結(初期胚)できました。

この間はずっと同じ漢方薬でした。

そこから、患者さんの体調が崩れたことと、漢方的にも体質の変化が見られました。

そのため、漢方薬は今までとは全く異なるものになりました。

そこからしばらくは同じ漢方薬でしたが、なかなか体外受精を行なっても胚の凍結までには至りませんでした。

この時期に再びFSH(卵胞刺激ホルモン)の値は100ng/dlを超えてきました。

また、依然として遺残卵胞に苦しめられていました。

やっと採卵→受精→凍結に至ったのは5か月後で、でもその際は本当に久しぶりに胚盤胞まで育ちました。

それからしばらく不妊治療をお休みされた時期がありました。

再び治療を開始されたのは1年以上経ってからでした。

その頃になって年齢的な問題と、採卵凍結はできても、移植周期で妊娠に至らない状態が続いて、このままこの病院で治療を継続すべきか真剣に悩まれていました。

この患者さんの卵巣機能だと、県外の自然周期や低刺激法を得意としている不妊専門の病院の方が向いている気もしましたので、患者さんにお話ししてみましたが、患者さんも迷っておられるようでした。

この件に関してはしばらく保留のまま、現在通われている病院で不妊治療を継続されていたのですが、その後、ご主人と話し合われて、一度県外の病院に話を聞きに行くことにしたそうなのです。

それから、現在の病院の凍結胚をそのままにして県外の病院で体外受精を行なおうと考えられたのですが、保険治療の関係上それは難しいということになったそうです。

そのため、現在の病院で残っている卵を全部移植してダメだったら、その県外の病院に通うことに決めたそうです。

残りの凍結胚は4個で、どう戻そうか悩んでおられるようでした。

そして1回目の移植は残念ながらダメでした。

2回目の移植は初期胚2個戻しか1個戻しで悩んでおられましたが、1個戻しにされました。

そして、もし駄目だった時にはご主人に一時的に関西に転勤してもらって、向こうで不妊治療をするというかなり具体的な話になっていました。ご自身も2ヵ月仕事を休んで体調を整えておられました。

そして、結果は・・・見事、陽性が出たのです。

いや~良かった~!!

なかなか長い旅でした。

気が付けば、この患者さんが来られてから3年の月日が流れていました。

30代だった患者さんも40代になられていました。

ギリギリセーフ、何とか間に合って本当によかったです。

ホッとしました。

 

さらに早発閉経に興味のある方はこちら

様々なケースの妊娠症例に興味のある方はこちら

不妊治療・妊活の知識やそれ以外の症例などは公式instagram(妊活・不妊治療専門アカウント)をご覧ください