HPを見て患者さんが来られました。
この方、気づいた時からずっとアトピー性皮膚炎なのだそうです。
つまり、乳児アトピー、小児アトピー、成人アトピーとずっと継続してなっているわけです。
結果としてアトピー性皮膚炎になって50年以上だと言われていました。
こういう方の場合、完全な体質改善を目指して治療するのは正直無理があると思います。
というのも漢方の治療の常識から考えて、その病気(症状)になってからの期間と体質改善にかかる治療期間はある程度相関するのです。
そのため、この方の場合すでにアトピー歴が50年であるため、根本的な体質改善をするのにはちょっと無理があるように思われるのです。
では、アトピーが一生治らないのか?といわれると、やりようはあると思うのです。
ただ、それが全部が全部100%治せるか?というとそうとは言い切れないのですが・・・
この患者さんの場合、このアトピーで年中、痒いそうなのですが、話をよくよく伺うと、四季の季節によってその痒みの度合いや、痒みを起こしていると思われる原因が多少異なるのです。
秋の後半~冬・・・乾燥が原因(特に冬が悪化する)
春・・・赤くなる+乾燥
夏~秋の初旬・・・比較的落ち着くがあせもはでる
この患者さんのメインは乾燥、サブは赤さ(熱)です。
そのため、まずはメジャーな原因である乾燥を問題を改善させると全体として落ち着いてくるのです。
よってまずは症状を抑えていくことが重要です。
そして、症状が落ち着いてきた際に気持ちが緩んで、漢方薬を飲んだり、飲まなかったりすると体質改善までには至りません。
対処療法的な治療になってしまいます。
実際の所、漢方で体質改善が起こるのはむしろ、症状が消えてからなのです。
そのため、症状が消えてからしばらく服用続ける必要があるのです。
そうすることで、服用しなくても痒くなくなるという体質改善が起こってくるのです。
今回の患者さんに関して言えば、メジャーな原因である乾燥を問題を改善させる漢方治療をまず行います。
それがうまくいった場合、それを継続すれば肌が乾燥することで生じる皮膚トラブルが徐々に起こりにくくなります。
そうすると、まず秋から冬のコンディションが良くなり、もともと夏から秋は調子が良かったわけですから、
1年のスパンで考えると春だけ不安定な状態になるのです。
その春も、半分くらいの要因が乾燥なので前ほどにはひどくならなくなっていくのです。
このように乾燥の要因が改善してから春先の赤み(熱)の治療を行っても遅くはないですし、ある意味部分的な体質改善が起こるのです。
このように、症状のすべてを同時に治療しなくても体質改善は起こってくるのです。
しかし、とにかく同時にすべて治したいとかになると、すべての原因にばっちり合う漢方薬が必要になりますが、これがなかなか難しいのです。
合わない漢方薬を服用すると、それが原因で痒みや赤味などの症状を引き起こすことがあるのです。
そのため、全部を同時に治療しない方が案外症状全体が改善してくることもあるのです。
話をこの患者さんに戻しますが、この患者さんは乾燥と赤味が原因でしたから、冷やしながら潤すような漢方薬を出しました。
それから2週間後に来られ、少し良い気がするということで、さらに2週間分お出ししました。
その後しばらく来られなかったのですが、やっぱり飲んでいた方が調子がよく、服用しないと痒みが酷くなるということで、再び漢方相談に来られるようになりました。
実際には漢方薬の種類にもよるのですが、この患者さんの服用されている漢方薬は症状が改善しても継続されると体質改善が起こる薬です。
症状が良くなると止めて、悪化すると再開するではいつまでたっても体質改善は起こらないのです。
漢方治療とはそういうものだということをぜひ知っておいてください。
ただし、この話は食べ物アレルギーが無い方の話で、もし食べ物アレルギーがあるともっと話は複雑になります。
また、その話は改めてしたいと思います。