念の紹介で患者さんが来られました。
相談内容は多汗症、ホットフラッシュ、過敏性腸症候群、自律神経が良くないなどです。
20代の頃からめまいや動悸などは出やすかったそうなのですが、40代から多汗症、ホットフラ
ッシュが出るようになったそうです。
そして4~5年前から、さらに症状が悪化したそうですが、それでも何とか耐えていたそうです。
ところが、ここ1か月で今までとは比べ物にならないくらい一気に首から上の汗(ホットフラッシュ)が悪化したそうです。
そこで、以前から紹介されていた私の薬局に思い切ってこられたということでした。
この患者さんのお話を伺って、まず感じたのが症状の多さです。
それと、症状を発症してからの時間経過が長いということです。
ハッキリと悪化したのは4~5年前の更年期からですが、30年近く前から自律神経失調症?か不安神経症(パニック障害)の症状が出ていたと考えるべきだと思います。
症状の多さは、漢方的にみると原因が一つである場合もあり、そういう時は思った以上に早く改善することもあるのです。
しかし、病気(症状)が発症してから時間が経過している場合は、その年数に比例して時間がかかることが多いのです。
今回はそうかもしれないと何となく思いました。
どちらにしろ、まずは、ご自身が気になっている主訴をとることが大事です。
そこで改めて、最初に挙げられた症状のうちで優先順位をつけてもらうと、首から上の汗とホットフラッシュをまずは治療してほしいとのことでした。
そこで、ここからさらに東洋医学的な問診やそれ以外の東洋医学的なチェックを行い、この患者さんに合うと思われる漢方薬を出してみることにしました。
それら大体2週間間隔でご相談に来られたのですが、最初の1か月は全く自覚症状は変わりませんでした。
そのため、来られるたびに漢方薬を変更したのですが、あまりうまくいきませんでした。
そして、漢方薬を服用すると胃にさわると言われるのです。
この胃に影響しないようにしながら、首から上の汗とホットフラッシュを改善させるのに苦労しました。
症状が多少落ち着いてきたのは漢方薬を服用され始めてから約2か月後です。
しかし、なかなかベースとなる漢方薬は固定できず、1か月1回くらいは漢方薬を変えるような状態を余儀なくされました。
そして、胃と首から上の汗とホットフラッシュの症状が落ち着いてきたあたりから、今度は足の冷えが気になるようになってきたと言われるのです。
この系統の疾患を患われた方にはこういう傾向があるのですが、症状が次々を移り変わってゆくのです。
そして足の冷え、胃の不調、首から上の汗とホットフラッシュなどに注意しながら漢方薬をほぼ固定できたのが約半年後、当初の症状が全く気にならない状況までもっていくのに約1年かかりました。
当初から時間はかかるだろうとは思っていましたが、思った以上に時間がかかりました。
そしてやっと次の症状に移ることができました。
それが過敏性腸症候群です。
具体的な症状としてはガスが溜まる、お腹が張る、お腹が鳴るのが気になるということでした。
これらの漢方治療に関しては比較的スムースに治療ができました。
今まで1年間でこの患者さんの性格を含めた漢方的な体質が理解できたからだと思います。
この患者さんには、身体も心も敏感なタイプの方に用いる漢方薬を用いて治療を行いました。
やはり2週間間隔でご相談に来られましたが、ベースとなる漢方薬はずっと固定でてきました。
※ベースとなる漢方薬を変更しない方が体質改善はスムースに起こりやすいです
そして、その時々に応じて組み合わせる漢方薬に多少の修正を加えていきました。
そして、この患者さんにとって転機となったのは、住んでいる場所の役員になられたことでした。
その役員の中でも一番上の役職になられたことでした。
これは持ち回りでボランティアでみなさんやられる仕事で何もメリットはないもので、この患者さんが担当された時にたまたまその地域で結構大変なトラブルに巻き込まれたのです。
最初はそれが原因で精神的な不調がまた次々と出てきたのですが、途中からこの患者さんの意識が変わっていわゆる『腹がすわった』のです。
自分ひとりの力ではどうにもならないこともあり、『なるようになれ!!』という気持ちが芽生えたみたいな話はお伺いしたと思うのですが、それ以降、一気に症状が安定しました。
改めて心と体ってやっぱり繋がっているなあ~と思いました。
そして、最終的にはもう漢方薬が必要ないレベルにまで到達したので、徐々に漢方薬の減薬を行い、最終的に漢方薬が必要ないレベルにまで到達したのです。
漢方治療を始めてから約2年かかりましたが、症状が悪化してから4~5年、20代からの症状を考えれば30年近くあった症状がすべて消えたので良かったのではないか?と思います。
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