遠方の患者さんで以前、私の薬局で不妊治療を受けられて、妊娠・出産を経験し、育児が少し落ち着いたので二人目をということで再びご相談の連絡がありました。

そこで、再度お話をお伺いし、基礎体温をチェックして、再度気になるポイントを確認し、東洋医学的にこの患者さんに合うと思われる漢方薬を出してみることにしました。

この患者さんの一人目不妊の治療の際には、漢方的には疲れやすさが治療のポイントでした。

疲れやすいというのを漢方的体質に当てはめると気虚(ききょ)ということになります。

気虚(ききょ)とはエネルギー不足、ガス欠状態を指す言葉で、エネルギーを作り出せなかったり、エネルギーが出ていくのを止める力がなくてエネルギーが漏れ出てしまうことでエネルギー不足になるのです。

エネルギー不足になると、卵巣や子宮に十分なエネルギーが供給されず、卵胞が十分育たなかったり、子宮内膜が十分厚くならなかったりするのです。

そのエネルギー不足を起こす原因の違いによって用いる漢方薬が異なるのですが、この患者さんはエネルギーを作り出すことができないタイプの方でした。こういうタイプの方には体を元気にしてエネルギーを作り出せれるようにするような漢方薬になるのですが、その中心的な役割を果たすものが高麗人参なのです。

この患者さんはこの高麗人参をメインにした漢方薬を服用するとで、疲れやすさなどが改善され、一人目を無事妊娠出産されたのです。

二人目不妊の方でも、3割以上の方で一人目不妊の際の漢方的な不妊の原因が同じである場合が多いのです。

そのため、この患者さんにも再び現在の体調などをお伺いしました。

そうすると、また疲れやさは出てきているようでした。

そして胃腸の調子も悪いということでした。

漢方治療イメージ

漢方の気虚体質はまだ持っているように思われました。

そのため、一人目不妊の漢方治療の際に用いた漢方薬を再び東洋医学的にチェックしてみましたが、その漢方薬は今の状態には合っていないようでした。

そうすると、それ以外で可能性が高いのは高プロラクチン血症or加齢に伴う問題(高齢不妊)です。

高プロラクチン血症の中のプロラクチンとは乳汁分泌ホルモンのことで、妊娠して赤ちゃんを母乳で育てる際に、母乳を出すのを促すホルモンなのです。このホルモンは女性ホルモンの働きを抑制するのです。

母乳で育てている間はほとんどの人が生理が来なくて断乳したら生理が来るようになるのは母乳で育てている間はこのホルモンの分泌量が高く、断乳したら、このホルモンの分泌が低下するからなのです。

ところが断乳したのにも関わらず、この高プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)の分泌が高いままの方が結構おられるのです。そうると、女性ホルモンの働きが抑制されるので妊娠しづらくなるのです。

加齢に伴う問題(高齢不妊)は言うまでもなくですが、加齢に伴って、卵巣や子宮などの生殖器機能が低下することによって生じる不妊です。この患者さんも40代の方なのでこの加齢に伴う問題(高齢)が問題で不妊となることも多いのです。

このいずれかの問題の可能性が高いと思われました。

豆乳画像

そこで、問診やその他の東洋医学的チェックを行い、最終的に加齢に伴う問題(高齢不妊)が現在の問題であるという結論に至りました。

そして、それを改善すると思われる漢方薬を服用してただくようにしました。

それから、1か月ごとにご相談しながら漢方薬を修正していきました。

そうすると、今まで卵胞の育ちが悪かったものが順調に育つことが多くなってきました。

ところが3か月前くらいに突然、卵胞が育たなくなったのです。

基礎体温もチェックしましたが今までよりも基礎体温が乱れてギザギザしており、高温期をうまくキープできないいない感じでした。

この原因として考えられるのは、卵巣機能がさらに低下して、今までの漢方薬が合わなくなってきている可能性でした。

ところが東洋医学的にチェックしてみると漢方薬はまだ合っている感じでした。そこでそれ以外に考えられるのは患者さんが良かれと思って始めたことが患者さんに合っていなくて卵巣や子宮にストレスを与えている場合なのです。

そこで患者さんに新しく始めたことが無いかお伺いすると・・・

約4か月前から卵巣のために豆乳を毎日飲むようにしたそうなのです。

それだと思いました。

そこで、どうしてだめなのか理由を説明して豆乳を止めてもらうことにしました。

それから1か月後はまた順調に卵胞が育ち、基礎体温もきれいな形に戻りました。

こういうことって結構多いんですよ。

お気を付けください。

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