以前、膝と腰の痛みで漢方治療に来られていた患者さんが今度は別件でご相談に来られました。

今回の症状をお伺いすると、今回は胃もたれと胸やけということでした。

この胸やけと胃もたれに関してですが、食事を食べた後20分~30分すると胃が重くなるそうです。そしてこの症状は約3年前から出ていたそうですが、胃薬を飲んでいたら楽になっていたそうですが、だんだん抑えきれなくなってきたみたいです。

この症状がいつから始まったのか?をお伺いしてみたところ、胃もたれに関してははっきりしないみたいですが、胸やけについてはハッキリと覚えておられていて、新型コロナが始まってからだそうです。それ以前は書状は全く無かったそうです。

ということで再び東洋医学的な問診とそれ以外の東洋医学的なチェックを行い、この患者さんに合うと思われる漢方薬をとりあえず約1週間出してみることにしました。

そして1週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

胸やけは前半は出なかったそうですが、ここ3日間は出てきたそうです。

胃もたれに関しては、今回は胃薬を飲まなくても大丈夫だったということでした。

そこで再度身体の状態を東洋医学的にチェックしなおし、漢方薬を変えてみることにしました。

そして1週間後に来られた際に様子をお伺いすると・・・

胸やけはちょっと出たけれども、胃はまずまずということでした。

そして、また東洋医学的にチェックしなおし、若干漢方薬の組み合わせを変更して、また1週間様子をみていただくことにしました。

また、1週間後に来られた際にチェックしなおすと、この時には漢方薬が全く合わなくなっている気がしました。

そこで、全く異なる漢方薬に変えてまた1週間分で様子をみることにしました。

そして1週間後に来られた際に様子をお伺いすると・・・今回はどうも合っていない感じがすると言われました。

そこで改めて胸やけや胃痛が起きたきっかけや原因、もっと遡って昔、胃の調子が悪くなった時の話などをお伺いすると・・・

恐らくですが今回の胸やけと胃痛の原因はストレスであろうということが分かりました。

そして、そのストレスの原因は家庭内にあって、なかなか難しい問題のように思いました。

基本的に足りないのは気分の発散なのですが、なかなか家庭の事情を考えるとその発散も難しいように思われました。

そのため、漢方的に発散作用のある漢方薬を中心にお出しして最初の1ヵ月くらいは効いていたのですが、そこから徐々に効かなくなり、漢方薬をまた大幅に変更しなければなりませんでした。

そして大幅に漢方薬を変更して1~2週間間隔でご相談に来られ約4か月間はある程度胃の症状は安定していたのですが再び悪化してきました。

今まではストレスが主な原因で治療していたのですが、ストレスの反応が現れる東洋医学のポイントに今回は反応が出ていないのに、胃の不調の現れるポイントに確かに胃腸の問題が出ているのです。

漢方治療イメージ

実際患者さんも胃もたれも胸やけも酷くなっていると言われるのです。

そこで改めて身体の状態を一から見直し、患者さんに再度問診を行いました。

一番気になったのは、最近サプリメントなどを始めていないか?ということでした。

サプリメントが原因となって胃腸の不調を引き起こすことがあるのです。

しかし、この患者さんにお伺いしたところ、新たにサプリメントなどは服用されていないとのことでした。

以前もチェックして、現在服用されているサプリメントは持参していただいて再度チェックしましたが、やはり特には問題がありませんでした。

でも、この症状が出た経緯を考えるとストレスが原因としか考えられないのに、ストレスに対しての身体の状態は改善しているのに、胃だけ再び調子が悪くなるのは、なんかおかしいのです。

そこで、食事の中で健康のために食べているようなものの中に身体に合わないものが無いかチェックしてみることにしました。

意外に大きな影響を与えることがあるのがヨーグルトなどの乳酸菌系の食べ物です。

それ以外に影響があるのは、コーヒーやお茶などの飲料、ただしこの場合はだいたいご本人に自覚がある場合が多いです。

そのため、確率は低いと思いました。

体質改善イメージ

それ以外に影響を与えるものとしては生姜やニンニクです。これらはどちらも漢方薬の構成生薬になるものですし、最近の健康ブームで生姜などは乾燥したものを冷え症予防として服用されていたりする方もおられますし、ニンニクはご自身で黒ニンニクを作って摂取している方もおられます。

そこでそのようなことをされていないか?とお尋ねしたところ、ビンゴでした。

黒ニンニクを作られているということでした。

この黒ニンニク経験的には男性は合っている方が多く、女性の場合は合っていない方が多いのです。

そこで、この患者さんに合っているかどうかをチェックすると・・・合っていない感じです。そして胃にも負担がかかっているようでした。

今回は漢方薬を出さず、この黒ニンニクを止めて2週間くらい止めて様子をみてもらうことにしました。

そして、2週間後来ていただいた時には、以前より良くなっていて、患者さんも今回は良いとまでは言わないけれども、極端に大きく胃腸の調子が崩れることは無かったというお話でした。

そこから、また漢方薬を出し始めて、約2ヵ月でほぼ体調が安定しました。

この状態であれば、よっぽど変なことしなければ悪化することはないと思いました。

このタイミングで患者さんの希望もあり、ここで治療を終了することにしました。

気が付けば1年経過していました。

食養生イメージ

途中でこの先どうなるんだろう?と先が見通せなくなったこともありましたが、黒ニンニクを止めてもらったことが大きかったと思います。

良かったです。

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