患者さんがご相談に来られました。

この方、現在ご主人が漢方相談に来られているのですが、今回はご自身のご相談ということで来られたのです。

そこで症状についてお伺いすると、左耳の音が塞がったようで、聞き取りずらい、特に周囲でいろんな音が鳴っていると、さらに聞き取り辛くなり、逆に耳の中で音が響いて聞こえたり、耳の中で別の音が鳴り始めたりするそうなのです。

これがとても仕事に影響するということで、ご相談に来られたのです。

そこで、東洋医学的な問診や舌診、その他の東洋医学的なチェックを行いました。

そうすると、耳の異常の出るツボの反応とストレスの表れるツボの反応が一致しているように感じたたため、ストレスに対応できる手助けするような漢方薬をだしてみることにしました。

それから約2週間後にご相談に来られたのですが、お話をお伺いすると、耳の異常な響きは少し減ったそうなのですが、耳鳴りをはじめその他の症状は相変わらずということでした。

そこで次に、耳管閉塞症や耳管開放症に用いるような漢方薬を使ってみたりもしたのですが、これも思ったほどの効果はありませんでした。

漢方治療イメージ

つぎは加齢に伴う血流障害に用いる漢方薬を出してみましたが、やはり思ったほどの改善は見られませんでした。

そこで、もう一度最初から、身体の状態をチェックしてみることにしました。

そうすると・・・耳の不調が出てくるツボの反応と更年期障害の出てくるツボの反応が一致していることにやっと気づきました。

つまり更年期障害が原因の難聴、耳鳴りの可能性が高いということです。

そこで、更年期障害に用いる漢方薬の中から、この患者さんに合いそうな漢方薬を服用していただくことにしました。

そこから、2~3週間おきにご相談に来られたのですが、そのときどきでめまいや動悸、不安感、イライラなどがでてくることもありました。

そういう時には若干漢方薬の組み合わせを変更し対応しました。

それから、約5か月位は基本同じ漢方薬を服用していただきました。

症状は一進一退を繰り返しながら、徐々には改善してきました。

しかし、全部の症状が残っており、すっきりする感じでないようでした。

このような状況をみて何か他に漢方的に別の大きな原因があるのではないか?と思うようになりました。

そこで、また一から身体の状態をチェックして大きな問題が無いかチェックしてみました。

そうすると、自律神経やストレスが原因の時に現れるツボに反応が出ている事に気づきました。

そこで、ストレスを緩和して自律神経を整えるような漢方薬に変更しました。

そこからは、目に見えて症状が改善していきました。

そして、この漢方薬を服用してから約7か月で大体の症状は消えました。

そこからさらに約1か月間服用していただいて、自覚症状も東洋医学的な反応も消えたため、治療終了としました。

結局、この患者さんのこの耳鳴り、難聴には少なくとも3つ以上の原因が複合していたのだと思います。

そのため、結果としては1年以上治療にかかってしまいましたが、症状が完治して本当に良かったです。