私、昔、予備校で受験生物を教えていたことがあるのです。
つまり高校生物です。
この高校生物が薬学部に行った時にも東洋医学を勉強する際にも意外と役に立っているのです。
明日も勉強会で、基本的な生物学を東洋医学と絡めてお話しする予定です。
今日はその中のちょっとしたさわりをお話しします。
口の中には唾液が分泌されていますが、この唾液は漢方的には脾の唾液と腎の唾液の2種類があると考えられています。
漢方(東洋医学)でいう脾とは今の生理学(生物学)に置き換えると消化器のことです。
脾の唾液とはつまり消化にかかわる唾液、消化酵素アミラーゼを含む唾液のことを指しているのです。
実際に生理学的に唾液には2種類あり、食事をとるときに出てくる唾液はこの消化酵素アミラーゼを含んでいるのです。
一方漢方(東洋医学)でいう腎とはホルモンを司り、老化にかかわる全般の機能を表しています。
通常何も食べていない時に出てくる唾液が基本的にこれに相当します。歳を取ると唾液の出が悪くなってい行きます。
これは腎(生命力)が弱ってきて老化したためと考えられるのです。つまり腎が虚するからその司っている液も出が悪くなるのです。
ものをよく噛んで食べると、当然脾の液(消化酵素の唾液アミラーゼ)がたくさん分泌され、物理的に咀嚼されるため、食べ物が細かく分解され、消化されやすくなり、それによって脾の働きを高めることになるのです。
そして、東洋医学には五行理論というのがあり、脾と関連する味(五味)は甘味です。
ご飯をよく噛んで食べるとどうなるでしょう?
コメの中のでんぷんが唾液アミラーゼによって分解されマルトースになるのですが、マルトースとは何か?
それは麦芽糖です。
麦芽糖は甘さ控えめの糖質です。
身近なもので麦芽糖を豊富に含んでいるのが強い子のミロです。
あの甘さが麦芽糖なのです。
五味とはその臓器の働きを高める味です。
ここでいう甘味とは作用の甘さではありません。まさに麦芽糖の甘さなのです。
つまりでんぷん質のものを甘くなるまでよく噛んで食べると脾(消化器)の働きが良くなりますよ!!と東洋医学では言っているのです。
とても理にかなっていて面白いと思いませんか?
僕は結構こういうことが面白く感じるのです。