ここでは甲状腺についての一般的な説明と、甲状腺がんについての一般的な説明(原因や症状、検査値の目安など)について書いてみたいと思います。
甲状腺とは
首の咽喉仏のちょうどした付近にあり、蝶々が羽を広げたような形をした器官です。この器官は甲状腺ホルモンという新陳代謝を促進するホルモン分泌する働きをしています。
甲状腺ホルモンについて
甲状腺ホルモンはチロキシン、サイロキシンと呼ばれ血液検査などの表記ではT3とかT4とか表記されています。ただしT3やT4は身体の中にある甲状腺ホルモン結合蛋白と結合しているため、ほとんど作用しないのです。そのため実際に身体に影響するのはFT3とかFT4と書かれているもの(FTのFはフリーの略称)が実質的に身体の中で作用しているホルモンになります。甲状腺ホルモンはヨウ素を原料に作られます。ヨウ素を含む代表的な食べ物は海藻です。甲状腺ホルモンの働きはグリコーゲンの分解などによる糖の代謝促進、タンパク質の合成促進、酸素消費促進などです。
甲状腺と疾患
甲状腺が異常をきたして生じる代表的なものに甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症があります。このいずれも身体のなかの免疫細胞が何らかの原因で甲状腺を攻撃して生じる自己免疫疾患がおおいです。甲状腺機能低下症を生じる自己免疫疾患として有名なものが橋本病です。そして甲状腺機能亢進症を生じる代表的な疾患がバセドウ病です。
甲状腺がんとは
甲状腺に生じる腫瘍のことを甲状腺腫瘍と言いますが、これは大きく2つに分かれます。良性腫瘍である甲状腺腫と甲状腺がんです。甲状腺腫瘍の中でおよそ90%は良性の甲状腺腫です。甲状腺がんは甲状腺腫瘍の中の10%以下です。甲状腺がんの発生頻度は1000人に一人くらいの頻度でがんの中でも多いほうではありません。しかし甲状腺腫瘍はその10倍くらいいるので甲状腺腫瘍は100人に一人くらいの頻度でいるので割合多いといえます。甲状腺がんは30代~50代に圧倒的に多い疾患です。そして女性に圧倒的に多い疾患です。頻度としては女性は男性の約5倍発生頻度が高いと言われています。
甲状腺がんの種類
甲状腺がんには次の4つに分類されます。
-分化ガン(乳頭がん、濾胞ガン)
-髄様ガン
-未分化ガン
乳頭がん
乳頭がんは甲状腺がんの中で最も多いがんです。甲状腺がんの中で最も多いがんで甲状腺がんの約9割がこのガンと言われています。
このガンはとてもゆっくり進行し、転移することが少ないのが特徴です。ただし頸部リンパ節に転移することがあります。また治療後の予後も良好な場合が多いです。
濾胞ガン
髄様ガン
未分化ガン