がん細胞はどうして生まれるのか

ここでは基本的な生理学を踏まえて、どうしてがん細胞が発生するのかについて書いてみます。

がん細胞の発生原因

がん細胞とは遺伝子のエラーによって生じるものと考えてください。
※遺伝子とは何か?
簡単に言えば人体を作り出すたのめ設計図です。一つの細胞には人体のどの組織にでもなれるようすべての設計図が入っているのです。
つまりがん細胞とはおかしくなった設計図をもとに作られた正常でない細胞です。

遺伝子という設計図にどのようなことが書かれているのか?

これは簡単にいえばたんぱく質の設計図なのです。人のからだは水分を除けばその多くはたんぱく質(例えば筋肉)からなっているのです。また人が生きていくためのあらゆる生命現象に直接関わっているのは酵素なのですが、酵素はすべてたんぱく質なのです。

遺伝子(DNA)を傷つけるもの

活性酸素、 発癌物質(アフラトキシン・ニトロソアミン)、放射線、紫外線、癌ウイルス HTLV(ヒトT細胞白血病ウイルス)肝炎ウイルス、EBウイルス、パピローマウイルス、抗がん剤、タバコ、ストレス(活性酸素)、農薬などをはじめとする化学物質など

遺伝子(DNA)を傷つける代表の活性酸素を除去するシステムが人のからだには備わっている。

人の体にはSOD(スーパー・オキシム・ディスファターゼ)と言われる酵素が存在しています。この酵素の役割は活性酸素を除去するものです。これによって人は活性酸素から身を守っているのですが、この酵素の活性が年齢とともに衰えてゆくのです。詳しくは免疫と活性酸素を参照してください。これは年齢とともにこの機能は低下してきます。

なぜ遺伝子(DNA)は傷つくのか?

上記したものはDNA上の塩基配列を変えたり、別の結合等を起こし、もとの設計図とは異なったアミノ酸配列を作り出すのです。そのアミノ酸配列によって異なるたんぱく質が作り出されるのです。

DNAを修復するシステムが存在する

上記のような原因がすべてすぐにDNAがすぐに傷つく訳ではありません。からだの中にはDNA修復酵素というものが存在し、極力エラーが起こらないようにしてるのです。しかしこの修復酵素の活性も年齢とともに低下してゆくのです。

異なるたんぱく質でできた細胞がすべてがん化するわけではない

遺伝子上の設計図と異なるたんぱく質ができてもそれがすべてがん化する訳ではありません。むしろがん化しないものの方が多いのです。それらのタンパクの多くが出来損ないで、細胞を維持する機能を有していない場合がほとんどなのです。そのためできた段階でその細胞は死んでしまうのです。ヒトのDNAのエラーは一日に10万とも20万とも言われていますが、実際にがん化しているのは数千と考えられていますそれ以外にポリープになるようなものもたくさん存在するのです。

がん化した細胞はNK細胞によって次々破壊される

がん免疫の基本となるのがNK細胞ですが、できたがん細胞はNK細胞によって次々と破壊されています。

がんは上記のような様々な要因が複合して発生するものである

つまり発生速度が発生を予防する速度を上回ったときがん細胞は発生するのです