抗がん剤の選択毒性について
皆さんは抗がん剤というとがんだけを殺す薬と思われるかもしれませんが、そうではありません。
一般的には抗がん剤には選択毒性(ガンだけ選択して殺す性質)があるといわれていますが、抗がん剤の働くしくみを理解すればここでいう選択毒性がどういうものかわかると思います。
抗がん剤の選択毒性とは細胞分裂を盛んに行っている細胞に取り込まれる性質を利用したものなのです。抗がん剤は細胞分裂に必要な成分に類似した形のものが多く、それを誤って取り入れさせ、細胞分裂を起こせないようにして最終的にガンを殺すものが多いのです。がん細胞というのは通常の細胞に比べ細胞分裂が非常に盛んであるため、抗がん剤がガン細胞に取り込まれ、ガンを殺す確率が高いということなのです。でも細胞分裂をする細胞れあれば、多かれ少なかれ抗がん剤が取り込まれその影響を受けるのです。つまりそれらの細胞も分裂に異常が生じて多くの細胞は分裂できなくなって死んでしまうのです。中でも免疫細胞や造血細胞、皮膚細胞、胃腸の表面の細胞などは細胞分裂が盛んなため、がん細胞と同じようにかなり影響を受けてしまうことになるのです。そのため抗がん剤を受けると白血球、血小板等が減少する、髪の毛が抜けてしまう。食欲が無くなるなどの症状が副作用として出てくるのです。
抗がん剤の発がん作用について
抗がん剤には発がん作用が必ずと言っていいほどあります。それはなぜかというと上記しましたように細胞分裂に影響を与えるからです。ガン細胞の一つの特徴は他の細胞からの指令を無視し延々と細胞分裂を続けるというところにあります。抗がん剤によってほとんどの細胞は死滅しますが、中には生き残るものも出てきます。それは抗がん剤を取り込んでいる遺伝情報を含んでいるため、遺伝情報が異常な状態になっています。その異常な状態というのがたまたま延々と細胞分裂を続けるという状態になったものがガン細胞ということになるのです。そのため一般の医薬品には発がん性の試験は必須となっていますが抗がん剤には発がん試験は課せられていません。最初から発がん性があるのが分かっているからです。抗がん剤は諸刃のだということです。