病院で不妊の原因がないのに妊娠しない時の漢方的原因

うちの薬局でも、病院で不妊の検査を受けたけれども特にどこもおかしくなかったという方は結構来られます。そういう方でも多くの方は東洋医学的に見ればだいたいどこかがおかしい場合があるのです。比較的多いのが瘀血、冷え、気虚or血虚(黄体機能の低下)です。これらの問題を改善することで妊娠に至るケースはかなりあります。病院で問題がないといわれたが基礎体温が標準に比べおかしい気がするときには漢方的には間違いなく原因があります。一度ご相談いただければと思います。

瘀血

瘀血とは血行が悪い状態です。その症状の特徴としては足先が冷えたり、足先が冷えるのに顔が上せるなどの症状があるときです。こういうケースの場合はかなりの確率で瘀血があります。こればまだ病気ではありませんが未病(病気になる手前)の状態です。こういうケースの場合はもちろんそれに対応する漢方薬もありますが、養生法(自己ケア)も同様に大事です。一番手軽なもので効果的なのはウォーキングです。これを継続してゆくと少しずつですが瘀血は改善してゆきます。

冷え

厳密なことを言えば、冷えを起こす原因も様々なのですが、ここでは基礎代謝が悪い状態というような意味で書きたいと思います。冷えを起こす原因は瘀血や血虚(貧血、栄養状態が悪い)などの場合もありますし腎虚(加齢に伴う基礎代謝の低下)などでも起こる場合もあります。それ以外に注意していただきたいのが、お風呂に入るということです。シャワーではありません。湯船につかるのです。これはとても大事なことです。冷え性があるのに湯船につからない人は漢方薬を飲んでも改善がものすごく遅くなります。お風呂につかることで全身の血流が一気に良くなって飲んだ漢方薬が全身の隅々の細胞まで行きわたるからです。逆にお風呂につからないとせっかく飲んだ漢方薬が隅々まで行きわたりにくく、なおかつ身体の中で良くない部分はだいたいにして血行が良くない部分であったりしやすいのです。そのため改善が遅れる可能性が高いのです。これと同様に大事なのが冷やさないということです。これは内側からも外側からもです。内側の問題は冷たいものを飲まないということです。そして外側の問題は薄着をしないということです。些細なことですが継続してゆくことで身体は非常に徐々にですがかわってゆきます。

気虚or血虚(黄体機能の低下)

比較的多いのがこのパターンです。女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)の値や黄体ホルモン(プロゲステロン)の値は正常であるにも関わらず、基礎体温の高温期が正常の基礎体温に比べ、短かったり、低かったり、途中で中落ちするパターンです。こういう場合はホルモンは出ているけれどもそのホルモンの指令に対して子宮周辺の細胞がちゃんと反応できていない状態なのです。その原因を漢方的にいえばその周辺の細胞の気虚(エネルギー不足、ガス欠状態)、血虚(貧血、栄養状態の低下、ホルモン不足、もしくはホルモンに対する反応する力が低下した状態)であったりするのです。この場合には正直どうしても漢方薬が必要になります。その人に合う漢方薬をうまく見つけることができれば少しずつ基礎体温も変化してゆき完全に絵にかいたような形にはなりませんが、その人なりに少し高温期が長くなったり、高くなったり、中落ちにずらくなったりします。