体外受精で卵が2個とれたくらいどーってことない。むしろ少ないんじゃない?と思われるかもしれませんが、この方にとっては、と~ってもうれしい出来ことだったのです。

この不妊治療の患者さんは地元の産婦人科で不妊治療をしていたのですが、やはり地元の不妊専門のクリニックに転院されたのです。

そこでAMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣年齢)を測定したら0.37とかなり少なくなっていて、なおかつ卵胞刺激ホルモン(FSH)が25と高くなってきていたのです。

この時にはまだ普通に排卵していたのですが、不妊治療のために卵胞刺激ホルモン(FSH)を下げるためにカウフマン療法をしようということになったそうです。

そこで2カ月間カウフマン療法をやって1か月間様子を見るというやり方をとって様子を見ていたのです。

しかし卵胞刺激ホルモン(FSH)の値は気持ち下がったかな?程度の下がり方しかしませんでした。

それでも、同じ感じでカウフマン療法を続けて行ったのです。そしてカウフマン療法を2か月続けて様子を見たのですが、前は微妙に下がってきたのですが、今回はほとんど下がらずでした。

それでももう少しやってみようということでさらにカウフマン療法を続けたのですが、卵胞刺激ホルモン(FSH)の値は微妙に上がってきたのです。

そこで病院の先生がやり方を変えてみようと言われて、カウフマン療法からピルの服用に切り替わったのです。

そこからです。ここで使われたのはマーベロンですが、それを飲み終わった後FSHを測定したら28まで上がっていました。

この28という数値は結構やばい数値なのです。

数値上だけで言えば卵胞刺激ホルモン(FSH)が26を超えると閉経状態と考えられているのです。この方は今年40歳なので年齢を考えると早発閉経です。

ここはとても大きな治療の分岐点です。このままこの病院を続けるかそれとも病院を変わるか・・・かなり重要な選択です。ここを間違えると本当に閉経しかねません。

そのためかなり迷われたみたいです。

でも結局、神戸にある不妊専門クリニックに転院することを決められたのです。

そしてその新しい病院に初めて行って血液検査を受けたら、FSHの値が49まで跳ね上がっていたのです。やばい状況ですが、まだ検査段階のためすぐに治療ません。

そしてまた数日後に再び神戸の病院にいって再度測定するとFSHはさらに65まで上がっていたのです。

卵胞刺激ホルモン(FSH)の値だけ見れば完全に閉経状態なのです。

このままだと早発閉経で妊娠なんて夢のまた夢状態になってしまったのです。

そんな状態から神戸の早発閉経などの治療を得意とする不妊専門のクリニックで治療を介しました。

治療開始して約1か月で卵は育つようになったのですが、1回目の採卵では空胞だったのです。この空胞という結果もかなりつらいのです。

それでもめげず広島から神戸に通い続け、2回目の採卵で念願の成熟卵がとれで、受精もして、凍結できたのです。

そして今回が3度目の正直で、今回も何とか成熟卵がとれて、受精もしたそうなのです。

一度は妊娠できないままで一生を終わるかもしれないという絶望的な状態から、2個目の卵が受精したというのはこの方にとっては言葉に尽くせない喜びなのです。

もちろん治療としてはまだまだ道半ばですが、今の状況はなにより明日に希望があるのです。

採卵できた卵の個数や卵の質だけが重要ではないのです。不妊治療にはそういうところがあります。