早発閉経になるかどうかは紙一重?!というケースに出会ったので書きます。

40代不妊治療の事例

最近うちの漢方薬局に来られている不妊治療の患者さんの話をしますね。

この方は40歳でついこの間まで、地元の不妊専門のクリニックに通われていたのです。

そこで不妊に関する血液検査やホルモン検査、卵管閉塞の検査などを受けられたのです。そうするとそこでまず見つかったのが左側の卵管閉塞でした。

もう一つ重大な問題が発見されました。それはAMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣年齢)の値が極端に低かったのです。およそ0.3でした。

この数値は低ければ低いほど卵巣年齢は高いということになります。AMHが0.3というのを年齢に換算すると、どんなにひいき目にみても45歳以上ということになります。

AMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣年齢)の数値が低かったら妊娠しない?

このAMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣年齢)というのは卵巣の劣化を表す指標ではありません。

卵巣の中にある残卵数を間接的にみる指標なのです。

そのためこの数値が低いから妊娠しないというわけではありません。この値と妊娠率とは相関がないと言われているのです。

FSH卵胞刺激ホルモン)の数値も要注目

AMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣年齢)の値以外に、FSH(卵胞刺激ホルモン)の数値も重要です。FSHは卵胞刺激ホルモンの略称です。このFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が卵巣の実際の老化を間接的にしめす指標なのです。

FSH(卵胞刺激ホルモン)の値がだいたい26(MIU/ml)以上であれば卵巣機能が極端に衰えてきている状態。つまり閉経状態と考えられるのです。そしてこの方はこの時28(MIU/ml)だったのです。

そのため、この方はこの時点ではまだ自然に排卵していましたが状態としては閉経状態ということだったのです。そこでこの状態を改善するべく、この不妊専門のクリニックではカウフマン療法を行ったのです。

まず2か月連続で行って、そのご自然に排卵するのを待つようなやり方でした。これによって若干は数値が下がったのです。

FSH(卵胞刺激ホルモン)が20(MIU/ml)を切って15くらいになった。

しかし、不妊治療で良いコンディションで治療を行うためには10以下が望ましいということで、さらにカウフマン療法を続けてみることになったのです。

また前回と同様で2か月連続でカウフマン療法を行って1か月様子を見るという形です。

ところ今回も同じように続けたのですが、前ほどはカウフマン療法で下がりませんでした。FSH(卵胞刺激ホルモン)が17~18(MIU/ml)くらいだったのです。

そこで、不妊専門クリニックの先生は今回は違う方法で治療することにしたのです。

病院選びを誤れば本当に早発閉経になるかも?

カウフマン療法で思ったようにFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が下がらなくなっきたたために、ピルで卵巣を一時的に休ませることで卵巣機能を回復させようと思われたのだと思います。

使ったのはマーベロンというお薬です。これは低用量ピルです。

それでしばらく様子を見ることにしたのです。

そしてピルを服用後、再びこの不妊専門クリニックで見てもらったところ、卵巣の腫れは収まっていました。

そしてマーベロンを飲み終わって数日後にせいりが来て再び不妊専門クリニックで、血液検査を受けたところ、FSHが28MIU/mlまで跳ね上がっていたのです。

FSH(卵胞刺激ホルモン)の値は低温期や排卵期のFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が高くなる時期でも15MIU/mlは超えないのが普通です。

それで、この患者さんはかなりびっくりしてしまって、このままこのクリニックで治療を続けるか、新しい不妊専門の病院に変わるかずいぶん悩まれたようです。

そして悩んだ末、神戸の早発閉経の治療に強いクリニックにいくことに決めたのです。

そこで最初に血液検査を受けるのですが、その受けた結果はFSH(卵胞刺激ホルモン)が49MIU/mlとさらに上昇していたのです。

この値について神戸のそのクリニックではマーベロンを服用するとFSH(卵胞刺激ホルモン)が上がる人と下がる人の二通りのパターンがあると言われたそうなのです。

恐らくこの患者さんはマーベロンでFSH(卵胞刺激ホルモン)が上がってしまう。つまり卵巣機能を低下する方向に向かってしまうということなのだと思います。

ここから新たに神戸のクリニックでの治療が始まりました。

治療をはじめた直後の頃にはFSHが65MIU/mlまでさらに上がっていました。この数値は数値だけ見れば完全に閉経状態です。

しかし、この新しく通い始めたクリニックの治療が合っていたのだと思います。

治療初めて1か月でFSH(卵胞刺激ホルモン)は30代まで下がり、E2が300近くまで上がってきました。

こういう時には卵が育っている時なのです。実際このクリニックでも卵が育っているということで、急きょ採卵することになったのです。

そして採卵してみると・・・残念ながら空砲でした。

卵巣の状態がまだよくない時に空胞は出やすいのです。

それでもFSH(卵胞刺激ホルモン)が下がってきたのと、卵胞が育ったことで、この患者さんは希望が見えたらしく。さらに頑張って神戸まで通い続けたのです。

そして約1か月後に再び卵胞が育って採卵してみると・・・今度は成熟卵で、見事受精し、初期胚ですが、うまく凍結することができたのです。

本当に良かったです!!

まとめ

ここで私が言いたいのはこの方は病院選びを誤れば本当に早発閉経になっていたかもしれないということです。

早発閉経の定義は40歳(43歳と書いているものもある)未満で閉経となったものです。閉経とは1年以上生理が来ない状態です。この患者さんは前のクリニックで治療を続けていたら、生理が1年以上来なくなった可能性は高いのです。

実際カウフマン療法を何回かやっていて、後半は排卵していなかったみたいないので、その治療を病院・クリニックのいわれるまま続けていたらもっと悪くなっていた可能性があるのです。

いろいろなところで病院選びの重要性は書いていると思いますが、本当に大事です。

早発閉経の漢方療法についてはこちら