胸郭出口症候群の患者さんが来られました。

この患者さん、この間、初めて漢方相談に来られたけれども、特に治療する必要がないと思ったので、お薬を出さなかった方からの紹介で来られた方です。

この方、約3年前、左の胸郭出口症候群と診断され、病院で手術まで受けたそうなのですが、全く改善しなかったそうです。

「もうこの病気と一生付き合っていかなければならない」と諦めていたそうなんですけれど、もとにかく一度言ってみろ、といわれ、半信半疑で来られたようです。

症状としては痺れを伴った痛みです。

その痛みの度合いというのが、ものすごくひどいそうです。

特に、朝がひどいらしく、目が覚めたら、手が3倍ぐらいの大きさになったらいの腫れ(グローブをはめているぐらいの大きさになった感じだとしきりに言われていました)に感じるそうです。

そして、痛みの感じは、痺れを通り越した痛みで、耳元でシンバルを大きく鳴らしたくらい強烈な痛みで、毎朝涙が出るくらい痛いそうです。

昼間は、そこまでではないそうですが、左の首の辺りから左手の先までずっと痺れている状態だそうです。

漢方治療イメージ

そこで、手と腕と首の痺れの原因をチェックしてみると、原因はすべて同じもののような気がしました。

以前、私が整体をやっていた時、胸郭出口症候群の治療は得意だったのですが、治療としては関節の可動性を高めれば良くなるのです。

それを整体でやるのか漢方薬でやるのかの違いなのです。

ただ案外、整体の先生でも、この治療のやり方を知らない先生は多かったです。

漢方薬で胸郭出口症候群の治療することは可能なのですが、効果が出るまでに少し時間がかかります。

例えば腰痛などであれば、一週間の漢方薬の服用で、効果を実感される方が圧倒的に多いです。

しかし、胸郭出口症候群の場合は、もっともっと時間かかります。

この患者さんにもあらかじめその話はしておきました。

そこでまず、この患者さんの胸郭出口症候群に合う漢方薬をお出しして、一週間様子を見ることにしました。

そして、一週間後に来ていただいて、様子を伺いすると症状は全く変わっていないとのことでした。

予想はしていたのですが、漢方薬を確認すると、薬は間違いなく合っているのです。

薬が合ってるのを確認したので、今度は2週間後に来ていただくことにしました。

漢方相談イメージ

そして、2週間後に来られた際に、また症状の変化についてお伺いすると・・・その時にもまだ変わっていないとのことでした。

そこで、再度漢方薬を確認してみたのですけれども、やはり漢方薬は合っていました。

そのため、薬は変更せず、また2週間後に来ていただくことにしました。

また2週間後に来られた際に、再度症状の変化についてお伺いすると・・・やはり何も変わらないとのことでした。

ただ、、この時点でツボでチェックしてみると、症状は明らかに改善しているように感じますし、患者さんの痛みに対する説明のニュアンスが若干和らいでいるように感じました。

そして、薬を確認してもやっぱり合っているように感じました。

そのため、漢方薬は変更せずにまた2週間後に来ていただくことにしました。

そして、また2週間後に来られた際に症状をお伺いすると・・

症状が少し和らいできている気がするとのことでした。

実際にツボの反応でチェックしても改善していますし、相変わらず漢方薬も合っていると感じました。

そのため、今回も漢方薬は変えずにさらに2週間後に来ていただくことにしました。

そして、2週間後にまた来ていただいて様子を伺いすると・・・間違いなく症状は改善しているとのことでした。

もう、今までのように朝起きた時に、手が3倍ぐらいの大きさになっていると感じることもないし、シンバルで叩かれているような激しい痛みではないとのことでした。

ただ日中の痺れはまだ残っているとのことでした。

実に、はっきりとした症状の改善が出てくるまでに2ヶ月かかりました。

それでも、病院でわざわざ胸郭出口症候群の手術をしたにもかかわらず全く症状が変わらなかったことがあるので、この患者さんは大変喜んでおられました。

あとは、こんなに症状に変化が見られないのに、よく辛抱強く漢方薬を飲み忘れなく続けてくれたと思います。

途中で心が折れて飲んだり飲まなかったりしたら、漢方薬の効きが不十分になるため、きっと改善は見られなかったと思います。

私も痛みの治療に関して、症状の改善が出てくるのにこんなに時間かかったのは初めてだったので、途中不安になることもありましたが、症状が改善されてきて本当によかったです。

本当にホッとしました。