黄体化未破裂卵胞(LUF)とは
黄体化未破裂卵胞(LUF)は黄体化非破裂卵胞症候群(LUFS)とも言います。
通常、卵胞は生理直後から発育を開始し始めて、おおよそ2週間かけてその直径が20ミリ前後になると排卵するのが一般的です。
この排卵の引き金となるのがLH(黄体形成ホルモン)の上昇(LHサージ)です。
これによって卵胞が破裂し排卵するわけです。
しかし例えば、高プロラクチン血症などがあればLH(黄体形成ホルモン)の分泌を抑制する結果として排卵を抑制してしまうことがあります。
また多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や子宮内膜症などで卵巣の表面の膜が厚くなることによって排卵を抑制することもあります。
このような状態を黄体化未破裂卵胞(LUF)と言いうのです。
この黄体化未破裂卵胞(LUF)の状態では不思議なことに基礎体温はちゃんと二層となります。
そしてホルモン検査をしても黄体ホルモンはちゃんと分泌されています。
そのため、黄体化未破裂卵胞(LUF)の状態になってるかどうかは排卵日予定直後に超音波検査を行ってみないと分かりません。
黄体化未破裂卵胞(LUF)と基礎体温
黄体化未破裂卵胞(LUF)の基礎体温の特徴は排卵していないのにも関わらず二層になることです。
そのため、基礎体温だけをチェックすると排卵していると誤って判断してしまうのです。
ただ基礎体温にはもう一つ特徴があり、高温期は来ますが、その高温期が通常より短いことが多い(10日以内)といわれています。
それがあれば、病院で一度排卵をしているかどうかをチェックしてもらっても良いと思います。
黄体化未破裂卵胞(LUF)の検査(確認方法)
黄体化未破裂卵胞(LUF)の確認方法は基礎体温で低温期から高温期に移行した後に超音波検査(エコー)を行ってみて、排卵しているかどうかで判断するわけです。
もし排卵予定日で付近で基礎体温が上昇して高温期に移行しているにもかかわらず、排卵していない卵胞を確認した場合、それが黄体化未破裂卵胞であるとわかるのです。
この黄体化未破裂卵胞になった場合は、高温期が通常よりも短く、およそ10日間ぐらいで生理が来ます。
この高温期の長さだけから黄体機能不全と誤って判断される場合もあるようです。
黄体機能不全 の場合はHCGや黄体ホルモンの補充などが行われるわけですけれども黄体化未破裂卵胞の場合は排卵をしていないわけですからホルモン補充しても妊娠には至りません。
この黄体化未破裂卵胞は全生理周期の約7%ぐらいに見られると言われています。
そのため約1年に1回ぐらいは 誰でも起こり得るものなのです。
黄体化未破裂卵胞(LUF)を起こす原因
先ほど挙げたような高プロラクチン血症や子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群以外にもクラミジア感染や何らかの手術の後の癒着などによっても黄体化未破裂卵胞が起こります。
それ以外にも排卵誘発剤としてのHCGを使用した場合にも生じることがあります。
また、排卵のために卵胞が破裂するためにはある種のタンパク質分解酵素が必要になるのですけれども、この分解酵素の働きが鎮痛剤によって阻害されてしまうことがあります。
そうすると卵胞破裂が起きないために黄体化未破裂卵胞が生じてしまうことがあります。
このように自然な状態で黄体化未破裂卵胞は全生理周期の約7%ぐらいに見られるますが、上記した原因を持っている場合はさらに高い確率で起こると考えられます。
黄体化未破裂卵胞(LUF)の何が問題なのか?
この黄体化非破裂卵胞(LUF)が生じる何が問題なのか?
それは残卵として残った未破裂卵胞はもう排卵することはありません。
そしてこの未破裂卵胞はホルモンを分泌し続け、次の新しい卵胞の発育に影響を及ぼして次の卵胞の排卵障害や不正出血なども引き起こす原因にもなるのです。
黄体化未破裂卵胞(LUF)に対する対処法
これは病院でしか行うことができません。
もっともスタンダードなやり方は経口避妊薬(ピル)を用いて一周期不妊治療をお休みしてから治療を再開するやり方です。
先ほども書きましたが未破裂卵胞はホルモンを分泌し新しい卵胞に影響を与えてしまうので、まずこの未破裂卵胞を縮小させる必要があるのです。
そのために経口避妊薬(ピル)を用いるわけです。
もし、この黄体化未破裂卵胞(LUF)を繰り返すようであれば、卵巣付近の癒着などの可能性も疑われます。
そのようなときには骨盤内の癒着を取り除くような手術をするケースもあるようです。
しかし、このやり方は再癒着のリスクもあるため、体外受精にステップアップを進められることもあります。