基礎体温の高温期が短い時の4つ原因と改善策についてお話する前に、まずは基礎体温について少しだけご説明します。
基礎体温とは安静時の体温の事です。
そのため、基礎体温を測るのは最も安静にしている朝の寝ている時で起き上がる前なのです。
基礎体温を測ると何がわかるのかというと、排卵の時期(タイミングをとる時期)、排卵したかどうか、妊娠したかどうか?などが簡単にわかるのです。
それ以外にも基礎体温から妊娠しやすさや妊娠しにくい原因などもある程度わかるのです。
そのことをこれからお話ししたいと思います。
そもそも基礎体温の高温期が短いのは何日以下なの?
一般的に基礎体温の高温期の標準的な日数は12日~14日といわれています。
そのため、高温期が11日以下は短いと理解して読んでください。
基礎体温の高温期が短いことは何が問題なのか?
基礎体温の高温期の長さはかなり直接的に卵巣の機能特に黄体の働きが関係しています。
つまり高温期が短い場合は卵巣内の黄体の働きに問題がある場合が多いのです。
もっといえば黄体ホルモンの分泌や働きに問題があることが多いのです。
このホルモンは着床の準備や妊娠の維持に直接かかわるホルモンです。
そのため高温期が短いと黄体ホルモンの分泌が低下しいている可能性があるため、とても重要になるのです。
基礎体温の高温期が短い原因1 黄体機能不全
黄体が正常に働いている場合、高温期の長さは12日~14日と考えられています。
黄体機能不全の場合は高温期の日数は10日未満(書籍によっては12日未満と定義しているものもある)になります。
黄体機能不全とはその名の通り黄体の機能が不十分な状態です。
黄体とは卵胞から卵が排卵されたもので、ここから黄体ホルモンを分泌します。
この黄体ホルモンの分泌が不十分な状態が黄体機能不全なのです。
基礎体温的にもはっきりとした特徴のある黄体機能不全ですが、血液検査を行っても黄体ホルモン(プロゲステロン:P4)の値が正常な方がおられます。
このような方は黄体ホルモンに対する感受性が鈍いタイプと考えられます。
そのような方は漢方薬による治療で改善するケースが多いです。
これを生じる原因で一番みかけることが多いのは加齢の伴う卵巣機能の低下です。
これは産婦人科で血液検査で調べることができます。
黄体ホルモン(P4)の数値を調べることで推定できます。
これ以外にも合わせて、AMH(卵巣年齢)やFSH(卵胞刺激ホルモン)も調べておくとよいと思います。
より詳しく知りたい方は黄体機能不全
黄体機能不全の改善策
病院での治療
高温期に黄体ホルモン剤を補充する方法とゴナドトロピン製剤(HCG)を注射する方法、またはそれらを併用する方法などが一般的です。
こららの治療によって黄体機能不全が治るわけではないですが、それが原因で妊娠しない場合はこの治療で妊娠しやすくなります。
漢方薬による治療
黄体機能不全は漢方的に考えると気虚(エネルギー不足)、血虚(栄養状態、女性ホルモンの働きの低下)、腎虚(加齢に伴う機能低下)などのいづれかが原因となっています。
その原因は人それぞれことなります。
そのため、その方の原因に合わせた漢方薬を服用することで改善することが多いです。
基礎体温の高温期が短い原因2 黄体化未破裂卵胞(LUF)
黄体化未破裂卵胞(LUF)とは卵胞が成熟して成長したにもかかわらず排卵できず黄体化したものです。
この場合は排卵が起こりません。
しかし基礎体温は2層に分かれます。
しかし排卵していないため完全な黄体ではないため、黄体ホルモンの分泌が不十分となり黄体期を維持できず高温期が短くなってしまうのです。
この黄体化未破裂卵胞(LUF)を起こす原因としては多嚢胞性卵巣、子宮内膜症、卵巣嚢腫や過去に骨盤内で手術をして癒着の可能性がある場合などが考えられます。
黄体化未破裂卵胞(LUF)の改善策
黄体化未破裂卵胞になってしまった場合、その生理周期は妊娠することはできません。
この場合、大事なのは黄体化未破裂卵胞を次の周期に持ち越さないことです。
これに関しては病院で薬を使って生理をおこさせ、リセットさせるのが一般的なやり方です。
基礎体温の高温期が短い3 高プロラクチン血症
高プロラクチン血症は通常よりもプロラクチンの値が高くなる病気です。
プロラクチンは別名、乳汁分泌ホルモンといい、脳下垂体という場所から分泌されるホルモンです。
このホルモンは妊娠してから分泌が高まり、母乳をあげている間はずっと高い値を維持します。
このプロラクチンは黄体形成ホルモンの分泌を制限することで排卵も抑制します。
つまり、お乳を上げている間は排卵を抑制して次の妊娠をしないようにしているのです。
恐らく今育てている赤ちゃんを育てることに専念するためだと思います。
これはこれでよいのだと思いますが、このプロラクチンが妊娠していない状態や授乳が終わって断乳しても高い状態の方がおられます。
このような方は、軽度であれば排卵が遅れたり、症状がひどければ無排卵となって不妊症の原因となってしまうのです。
この高プロラクチン血症をおこす原因としてはプロラクチン産生腫瘍細胞の影響、産後の母乳をあげていた影響が残っている場合、
それ以外にもピルや抗うつ剤、胃腸薬の一部、またストレスも関係すると言われています。
さらに詳しく知りたい方は高プロラクチン血症
高プロラクチン血症の改善策
病院での対策
カバサールやパーロデルなどのプロラクチンの分泌を抑える薬を用いることで即効的に改善します。
ただし、副作用で吐き気やめまいを起こす方が多いです。
そのため服用するのを止めたり、量を減らして服用している方も多くおられます。
漢方での対策
病院の薬と比べると即効性には欠けますが、めまいや吐き気などを起こさないため、ゆっくりとした改善を目指す方も多くおられます。
基礎体温の高温期が短い原因4 甲状腺機能低下症(橋本病)
甲状腺機能低下症はその名の通り甲状腺の機能が低下した病気です。
多くの場合は自己免疫疾患の一つである橋本病が原因となって甲状腺ホルモンの分泌が低下したためこのような状態になってい事が多いのです。
この疾患になると、基礎代謝が低下し、基礎体温全般が低下します。
そして2次的に高プロラクチン血症同様の状態になり、高温期が短くなるのです。
さらに詳しく知りたい方は甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症(橋本病)の原因
自己免疫疾患です。
甲状腺機能低下症(橋本病)の改善策
病院での改善策
自己免疫の治療は行わず、甲状腺ホルモンの補充を行うことで対処療法的な治療を行います。
薬を服用している間は不妊症の状態は改善されます。
漢方薬による改善策
時間はかかりますが甲状腺の機能が回復することがあります。
まとめ
基礎体温の高温期が短い時の4つ原因と改善策について書いてきました。
基本的に基礎体温に関しては低温期に比べ高温期の長さの問題は妊娠に影響しやすい重要な問題を含んでいることが多いです。
そして高温期が短い場合、正常の12日~14日の方と比べて妊娠しずらい傾向はあります。
そして多くの問題に西洋医学的な病気の原因が基礎にあることが多いです。
そのため、不妊治療の専門病院で一通りの検査を受けてみることが重要です。
もし、病気が見つかった場合、病院での治療でうまくいくことも多いですし、その内容によっては漢方薬の方が向いてるものもあります。
それらのことも含め、ご相談いただければと思います。
この他にも、基礎体温の高温期と低温期のそれぞれの長さによって、考えられる原因と改善策は異なります。下記の記事も合わせてお読みください。
1.基礎体温の低温期が短い時の4つの原因と改善策とは?
2.基礎体温の低温期が長いときに考えられる4つの原因とその対策とは?
3.基礎体温の高温期が長い時の5つの原因と改善策とは?