膝関節が悪く、骨粗鬆症を伴う場合は牛乳はお勧めしません。皆さんは疫学的調査というのをご存知でしょうか?例えば、ある地域にこんな病気が少ないとか多いとかの関係と、その地域で多く食べられているとか特に食べていないというものの関係を調べて相関関係の有無と病気の関係をしらべる調査のことです。これによってある特定の食べ物とある特定の疾患の関係が明らかになることがあります。例えば東北地方全般は、保存食を食べる機会が多く、保存食は多くの場合、塩づけであったため、塩分摂取量が多くなり、高血圧の患者さんが多かった訳です。

でも青森は他県に比べて高血圧の人が少なかった。それはなぜか?ということで疫学的調査を行ったわけです。そうすると青森は他県に比べりんごの摂取量が多かった。そこから高血圧にリンゴがいいということが分かったのです。実際にはリンゴが高血圧に良いというわけではなく、リンゴの中に多く含まれているカリウムがナトリウム(塩分)の排出を助けた結果、血圧が下がるわけで、リンゴに限らず、カリウムを多く含む食品を大量にコンスタントに摂取すればよいわけです。同様に骨粗鬆症の多い国・地域で疫学的調査を行ったところ、びっくりするような結果が出てきたのです。それは牛乳を多く摂取している地域ほど骨粗鬆症が多いということなのです。にわかには信じがたいかもしれませんが、ちゃんと訳があるのです。身体の中でカルシウムの濃度は血糖値などと同様ホルモンによって一定に保たれているのです。そのため急激にカルシウムの濃度が上がるとカルシウムを排泄して一定に保とうとするのです。

この結果むしろ血中のカルシウム濃度は一時的に下がってしまう。そうするとこの低カルシウムを修正するためにホルモンが分泌され、骨のカルシウムを溶かして血中カルシウムを一定にしようとするのです。その結果牛乳の摂取は骨粗鬆症を招くと言われているのです。そのためアメリカなど乳製品の摂取量の多い国が骨粗しょう症が多いというようなことが起こってくるのです。実際のところ上記したなぜ牛乳を摂取すると骨粗鬆症にになるのか?に関してはもっと違う理論の方が正しかったということが出てくるかもしれません。しかし言えることは、日本人よりもアメリカ人の方が牛乳の摂取量も多いし、カルシウムの摂取量も多いのです。しかし日本人に比べアメリカ人の方が骨粗しょう症の発生率は約2倍なのです。そこが何より重要です。

そこから最低限いえることは単純にカルシウムを多くとればいいというわけではないということと、牛乳が骨粗しょう症に有効ではないということです。そこだけは理解しておいてください。