当薬局には、病院に通ってもなかなか変化が見られず、長年のお悩みを抱えてお越しになる方も多くいらっしゃいます。今回は、約3年にわたり高い耳鳴り(「ピー」という音)にお悩みだった50代の方との取り組みをご紹介します。

◆ ご相談までの経緯と東洋医学的な見立て

ご紹介でお越しいただいたこの方は、両耳で一日中響く高い耳鳴りにお困りで、過去に耳鼻科で処方されたお薬では変化を感じられなかったとのことでした。

詳しくお話を伺うと、耳鳴りが始まる前に強いめまいを経験されており、さらにその時期に大切にされていたペットとの悲しい別れ(強い精神的ショック)があったことがわかりました。 また、10年ほど前から血圧の管理をされており、職場でも日常的に強いストレスを感じていらっしゃる状況でした。

東洋医学では、強いストレスや情緒の負荷は「気(エネルギー)」の巡りを滞らせ、頭部や耳の周囲に負担をかけやすくなると考えます。そこでお体の状態や体質、性格的な傾向をお伺いした上で、まずは「ストレスによる気や熱の滞りを和らげ、巡りをスムーズにする漢方アプローチ」を2週間分ご提案し、経過を見ることにいたしました。

◆ 体調の波と、丁寧なアプローチの継続

  • 【初期〜数ヶ月】: 最初は大きな変化がありませんでしたが、同じ方向性で継続したところ、徐々に「音が鳴り続けている時間が減ってきた」「仕事に集中していると気にならない時間が出てきた」と、体感として辛さが10から6〜7程度へと和らぐ変化が見え始めました。

  • 【環境の変化による一時的な波】: その後、お仕事の出張が増えて疲労やストレスが重なると、一時的に音が気になりやすくなる時期もありました。しかし、ストレスが和らぐ時期にはご本人からも「だいぶ調子が良い」とお話が出るなど、体感の辛さが10から3〜4程度までスムーズに軽減していきました。

  • 漢方相談イメージ

◆ 減薬のタイミングと臨床での学び

気にならない時間が大半を占めるようになり、東洋医学的にお体のバランスも整ってきたため、一度漢方薬の量を減らしていく(減薬の)トライを行いました。

しかし、減薬して2週間ほど経った頃、お仕事の繁忙期(年末〜年度末の強いストレス期)と重なったこともあり、再び「耳鳴りの音が気になり始めた」とお伺いしました。

「少し減薬のタイミングが早かったかもしれない」と判断し、一度元の量に戻し、さらにお体の状態に合わせたサポートを追加しながら慎重に様子を見ることといたしました。お仕事が落ち着く4月〜ゴールデンウィーク明けにかけて根気強く整えていくことで、再び体調は非常に安定し、「意識を研ぎ澄ませないと音が気にならないレベル(ほぼ0に近い状態)」まで整えることができました。

今回の経験から、特に日常的に強いストレスがかかりやすい方の体質改善においては、減薬や卒業のタイミングを焦らず、十分にお時間の余裕を持って慎重に進めることが極めて重要であると、私自身にとっても非常に身に沁みる貴重な学びとなりました。

◆ じっくりとお体に寄り添い、無事に卒業へ

安定した状態を確認しながら、今回は約3ヶ月かけて段階的にゆっくりと量を減らし、最終的には漢方薬をお休みした状態で2週間過ごしていただきました。

その後のご来店時に「ストレスでほんの少し音が気になっても、すぐに収まるので大丈夫そうです」とお話しいただき、東洋医学的なチェックでもお体の滞りが綺麗に整っていることが確認できたため、約1年10ヶ月におよぶご相談を無事に終了(卒業)といたしました。

耳鳴りという同じお悩みであっても、その方の置かれている環境やストレスの度合い、体質によって必要な期間やアプローチは様々です。時間はかかりましたが、ご本人と一緒に根気強く向き合い、穏やかな日常を取り戻していただけたことに、心からホッとしております。

※漢方薬による体質改善の経過や期間には、体質や生活環境により個人差があります。

体質改善イメージ

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