以前生理痛でご相談に来られていた患者さんが再びご相談に来られました。

相談内容はかなり多岐にわたりました。

夏に注意していたにも関わらず熱中症になってしまい、その後その事がトラウマみたいになってパニックっぽくなってしまったそうです。

それから、午前中動けない、クラクラするめまいが出る、過呼吸っぽくなる(パニック)、身体に力が入らない等々・・・これらの症状はずっと立っていたりすると悪化しやすいそうです。

また、買い物に行く際にも(歩いても)悪化しやすいそうで、不安感がより出てしまうとの事でした。

それと同じタイミングくらいに以前県外の病院で、耳管開放症の手術をして、耳の中に耳管ピンというものが入っていたそうですが、広島の耳鼻科に受診した際にどういう理由かは分かりませんがその耳管ピンを抜かれてしまったそうなのです。

その後、当然、鼓膜に穴が開いた状態が続いていて、そっち側の耳で耳鳴りがする、そして自分の呼吸音が響く、自分の話す声が響くなど、日常生活がかなり苦痛になったということでした。

これらの症状の中には不安感からくる心因性の問題も幾分かは含まれているように思いました。

そこで、耳管開放症に用いる漢方薬の中から、心因性にも使う漢方薬で今のこの患者さんに合いそうなものを選んでとりあえず1週間分服用していただくことにしました。

そして1週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

漢方治療イメージ

左耳の響く感じは変わらいそうです。ただ、午前中の身体が動かない感じは前より良いそうです。

でも頭がクラっと繰る感じは変わらずあり、あと外がまぶしく感じるそうです。

また左を下にして寝ると回る感じがするそうです。

パニック、過呼吸っぽい感じも少しあるそうです。

足に力が入らない、自転車で買い物に行くのもどきどきするとの事。

全体的には変わっていない?くらいでしたが、ご本人曰く微妙に良い気がするということで、もう1週間同じ漢方薬で継続してみることにしました。

そして1週間後、患者さんにお話をお伺いすると・・・

左耳の響きは変わらない

クラクラのめまいは多少良いようです。

歩いてスーパーには行けるとの事でした。

あと右を下にして寝て回る感じも減っているとの事

まぶしいは変わらない

体質改善イメージ

ただ、動悸はしやすくなり、気持ち悪くなる、あと胃が熱くなり、逆流する感じがあるそうです。

そして頭全体が熱っぽくなるそうです。

どうも耳の問題から症状が全体に移行しているように感じました。

つまり、耳管開放症そのものというより、心因性の問題が大きくなっているように感じました。

そこで、耳管開放症に用いる漢方薬から、メンタルに用いるような漢方薬に変更することにしました。

そして1週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

朝起きるのがしんどい・・・、動いているとフラフラする。夕食の支度をしているとしんどい、頭全体が熱っぽい、胃が変、気持ち悪い、こめかみ付近が締め付けられる。よく眠れた方が調子が悪い、などの症状を言われました。

「朝起きるのがしんどい・・・、動いているとフラフラする」は耳管開放症の漢方薬を使っていた時には減っていたので、耳管開放症に関連する症状なのかもしれません。そのため、この症状が出てきたのは仕方がない気がしました。

少し良かったのは外出できることと、右を下にして寝ても回る症状が出なくなったことです。

そこで再度、漢方薬をチェックしなおして、今の漢方薬にさらに漢方薬を追加してみることにしました。

また1週間後に来られた際に様子をお伺いすると・・・

養生法イメージ

頭がスースーする。不安が強くなったりするとスースー感が強くなる。

歩こうとするとくらくらする。

こめかみの締め付けはまだあるが前より良い、朝のしんどさはまだあるが前より動けるそうです。

外に出ると緊張する⇒そのため、ご主人に連れてきてもらっています。

動悸、不安感、クラクラはセットある。それほど変わらない。

頭全体が熱っぽくなる、左を下にして寝ると左の耳の奥がずきッとするそうです。

これらの症状をどう評価するか?結構悩みました。

また、一緒に来られていたご主人から奥様がこのようになった原因は何だと思われますか?というご質問がありました。

ご本人は熱中症からのパニックが原因と思われているようでしたが、私は耳管ピンを抜かれて耳管開放症が再発したことによる、今後の事も含めた不安が大きく関係していると思うというお話をしました。そのため、耳管ピンを再度入れる手術のできる場所を探して再度手術されることが、今の状態を改善させる近道になるのではないか?とお話しました。

ご主人も納得されてその方向で話を進めていくということになりました。

そして、漢方薬は併用していた漢方薬を一旦抜いて、1種類だけに戻してまた1週間後に来ていただくことにしました。

そして1週間後来られた際に様子()bいすると・・・

心療内科にも行かれてお薬が出たそうです。

現在の症状としては

朝がダルい吐き気がひどい

気分の落ち込みが酷い、特に昼から夕方がひどくなる。

こめかみの締め付け感は軽減

メンタル改善イメージ

あと病院のお薬を飲み始めて頭全体の熱っぽさはスッと引いたそうです。

でも朝はしんどく、外出するのが緊張する、動悸がするのは変わらないそうです。

また、左を下にして寝ると頭の奥がズキッとするのも変わらず続いているそうです。

症状とは別ですが、現在耳管開放症の手術できる場所を探しているそうです。

そして、今回は今まで使っていた漢方薬に前々回用いた漢方薬とは異なる漢方薬を併用してみることにしました。

そして1週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

すべての症状が全体的に改善しているというこちでした。

ご本人曰く前より少し動きやすくなった。外出しやすくなった。

ご主人も前回よりも表情が良くなっているという事でした。

私がみても明らかにご本人の状態は良くなっているように思われたので、今回は同じ漢方薬で2週間様子をみることにしました。

 

そして2週間後、外出するのに不安は無くなってきた。自分で買い物にも出れるようになった。

朝は前より動きやすくなったがまだだるさはある。

こめかみ痛は無くなったそうです。

動悸もしないそうです。

ただ、まだ緊張はするそうです。

それ以外の症状もほぼ気にならなくなっているという事でした。

リラックスイメージ

あと症状ではないですが、耳管開放症の手術を引き受けてくれる病院が見つかり、CTを受けたそうです。そしてその結果を次回聞きに行くそうです。

このことが患者さんにかなり精神的に良い影響を与えているように思われました。

そして漢方薬もバッチリ合っている気がしたので、同じ漢方薬で今回は3週間分お出ししました。

そして、3週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

全体的にだいぶ良くなったそうです。

そして、今まではスーパーとか近場しか行っていませんでしたが、今回はかなり遠くまで一人で行っても大丈夫だったという事でした。

私から見ても見違えるほど良くなっていました。

そして、耳管開放症の手術日が決まったそうです。

それもあってかもしれませんね。

そこで改めて漢方薬が合ているか?を東洋医学的にチェックすると・・・

なんか・・・漢方薬が必要無い気がします・・・

何回かチェックしてみましたが、たぶんそうだと思いました。

そこで、その話をご夫婦にして、とりあえず1週間漢方薬を抜いてみて大丈夫なら漢方薬を卒業という話をしました。

そして、漢方薬を服用せず1週間後、来られた際に様子をお伺いすると・・・

症状は特に出なかったそうです。

そこで、改めて漢方薬が必要かどうか?を東洋医学的にチェックしてみてもやっぱり必要ない気がしたので、これで卒業という事にしました。

通常メンタルの問題は年単位で、昔からの体質の方は複数年になることも多々あるのですが、この患者さんの場合は体質的ではなく、耳管ピンを抜かれたことによって生じた不安がメインだったため、再手術の目途がたった段階で自力(自然治癒力)が出てきたのだと思います。

メンタルの治療としては短めの4か月弱での卒業、良かったです。

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