紹介で患者さんが来られました。

症状は首の痛みです。

この患者さんに関しては事前に紹介していただいた方から簡単にお話をお伺いしていました。

私の薬局には以前から広響の方がご紹介でちょこちょこ来られるのですが、その方たちの紹介で、県外の方や日本人の方で普段海外におられる方が帰省のついでに来られることもたまにあるのです。

今回のそのような形でのご紹介でした。

県外の楽団に所属されているバイオリニストの方が、首が痛くて演奏に支障がでるくらいになっているということで、紹介の方から話を聞いて相談したいというご連絡をいただきました。

実際に来ていただいて、直接お話をお伺いしてみると、首の痛み以外にも不調があるということでした。

実際には首~背中の痛み、左人差し指の痛み、左腕のしびれなどがあって困っているとのことでした。

どのくらい前から症状があるのかお伺いすると、約10年前くらいからだそうです。

原因やきっかけについて一応お伺いすると、当たり前にヴァイオリンの演奏だといわれていました。

まあ・・・そうですよね・・・

さらにどういう時に症状が出るのか?についてお伺いすると、長時間、長期間続けてバイオリンを弾いた時に出るとのことでした。

また、この方は複数バイオリンをお持ちだということでしたが、その中でも特定のバイオリンを弾くと通常よりも短い時間弾いても症状が出るということでした。

過去、どんな治療を受けられたのかお伺いすると・・・整形外科で頚椎症の診断を受け、リハビリなども行ったそうですが、良くならなかったそうです。

そこで、まず持参していただくようにお願いしておいたヴァイオリンを実際に出してもらって、実際に持ってもらって弾く動作をしてもらいました。

そうすると、私は過去に整体もやっていたので、身体のどこにどのような歪みが生じるのか一目でわかるのです。

実際、この患者さんに触ってもらうと、バイオリンを持ってストレスのかかる部位にほぼ痛みを出していることが分かりました。

これに対する対処法はいくつかあるのですが、遠方の方ですし、ご自身でケアできるようになったほうが良いので、この部位が痛くならないように日ごろや長く引いた後にどの部位をのど位マッサージすればいいのか?を実際にご自身に確認してもらいながらやっていきました。

ご自身でケアする際の最大のポイントは刺激部位と刺激量と刺激時間です。

どこを刺激するかに関しては。プロとして演奏している方は勘が良いので、一発で場所はわかるようになります。しかしほとんどの方が刺激量や刺激時間は多すぎる方が多いのです。

自分自身の自然治癒力がありますし、毎日のようにケアする場合はやりすぎになってしまうのです。

そこで、それらのポイントを含めてケアの方法をお伝えしました。

ただ、首に関してはちょっと難しく、触ると逆に悪化するリスクがあったので、ここは漢方薬オンリーで治療することにしました。

漢方治療イメージ

背中の痛みは首が原因で首が改善すれば自ずと背中も改善するように思われました。

そこで、この方の首の痛みを起こしている首の関節の問題を改善すると思われる漢方薬を出して様子を見ていただくことにしました。

そして、漢方薬を服用されて2週間後には手首や腕のしびれはかなり軽減したそうです。

首の痛みは少し減ったくらいということでした。

この患者さんの一番の問題は首なので、それとなく時間はかかるというお話は最初に来られた段階でしました。

ここからはおおよそ2週間間隔で遠方相談の形でご相談を受けました。

手や腕に関しては1か月後の段階でかなり良い感じでしたが、予想通り、少しずつの改善でした。

しかも、この方の場合は演奏会のスケジュールが過密になると、練習量もアップするのでそれに伴って、首の症状や指や腕の症状も悪化するのです。

それをご自身のケアと漢方薬で治療していくので、3歩進んで2歩さがるみたいな感じでした。

漢方薬を飲み進めてゆくと、首の状態も改善してきます。

改善してくると今までの漢方薬が合わなくなったり、それほどの量が必要なくなったりします。

それをその都度、修正しながら治療を継続していただきました。

そして、また機会を見つけて患者さんが直接薬局に来られました。

その時は、以前とは異なるヴァイオリンを持ってこられました。

このヴァイオリンを弾き始めてから体の状態が一気に悪くなったそうです。

実際に弾いてもらって納得しました。

基本的にはこの患者さんの身体には合っていないのです。

これは音楽家の方あるあるなのですが、楽器の音に魅せられてしまって、弾くのが難しいと知っていながらどうしても欲しくなって購入して身体を壊す方が結構おられるのです。

症状改善イメージ

特にそれはヴァイオリンに多いと思います。

これはヴァイオリンを弾く姿勢にそもそも無理があるからだと思います。

とは言え、それを何とかするのが仕事なので、この楽器を弾くときに出てくる身体の歪みのポイントとケア方法をこの患者さんにお伝えしました。

しかし、どんなに気を付けてもこの楽器は長時間弾くのには向かないというお話もしました。

そして、また漢方薬を修正して服用していただくことにしました。

でも、もうそろそろ治りそうな予感もしてきました。

ところがやはり、演奏会が過密になって再び悪化してきて、漢方薬を大幅に変えることになりました。

やっぱり思ったよりも時間がかかるのかな?と思いましたが、途中からご本人の自然治癒力なのか?急激に良くなってきました。

そして、治療を開始してから約9か月で治療しなくてもよいところまで来ました。

長かったといえば長かったですが、10年患っていたものを演奏を休まずに1年弱で治療できたのは良かったのではないか?と思います。