比較的若い男性の方がご紹介で漢方相談に来られました。

症状は円形脱毛症です。

今まで、過去に円形脱毛症になったことは無いそうですが、突然円形脱毛症になったそうです。

しかもかなり、その円形脱毛症の領域が広がってきていて、不安になって相談に来られたそうなのです。。

ただ・・・ぱっと見たところでは、そんな大きな円形脱毛症があるようには見えないのですが・・・

そこで、実際に患部を見せてもらうと・・・

確かに私が思っていた以上に大きかったです。

この円形脱毛症の形が楕円形で縦の大きさは3cmくらいでさほどではないのですが、横の大きさが長く(大きくて)7cmくらいあるのです。

正直良く隠せているなと感心する頬どでした。

男の人の中でもやや長髪な方だと思うのですが、それでうまく隠せているのだと思います。

患者さんの話では急激に症状が進んだそうです。

その原因についてお伺いすると・・・

会社でのストレスだそうです。

特に最近職場の同僚とトラブルになり、それ以降、髪が抜けるようなったという事でした。

その抜け方が非常に早くてあっという間に楕円形の脱毛ができたという事でした。

最初は病院の皮膚科に行って飲み薬と塗り薬が出たそうですが、何となくピンと来なくて漢方薬を飲んでみようと思われたようです。

そこで改めて、患部の状態や東洋医学的な体質を見極めるための質問、東洋医学的なチェック、職場の今の状況、同僚と問題点の改善の展望などをお伺いしました。

そうすると、職場や同僚との関係性は改善されたという事でした。

それなのに、円形脱毛は止まらないのだそうです。

環境的な原因は無くなったのにも関わらず、症状は進行しているというのは厄介な話ですが、今回の円形脱毛症を引き起こした直接の原因とも思える問題が現時点で無いのは良い事だと思いました。

円形脱毛症を起こす原因には諸説ありますが、私はストレス(主に精神的な)が原因だと思っています。

そのため、ストレスの原因が残ったままの状況で治療を始めるとバケツに穴が開いたままそこに水をそそぐような治療になり、治療に時間がかかるのです。

漢方治療イメージ

それよりもバケツの穴が塞がった状態から水をそそぐ方が水がたまりやすいのと同様、改善スピードが速くなるのです。

ということで改めて、この患者さんの円形脱毛症に合う漢方薬を探してみると・・・

心配性の人に使うような漢方薬が合っている気がしました。

この漢方薬を2週間間隔で服用していただくことにしました。

円形脱毛症の場合、細胞のターンオーバーが関係していると思われるのですが、漢方薬が仮にバッチリ合っていたとしても、大体2か月

は変化がありません、2か月以降に皮膚の状態が変化し、毛髮が生えてき始めます。

ところがこの患者さんは1か月過ぎた辺りから髪が生え始めました。

これも環境的なストレス要因が少なかったからではないか?と思います。

あとは通常、症状に対して漢方薬を最初に組んでも、漢方薬がその人の体質から少しずつずれて来たり、円形脱毛症を起こした原因が複数あったりするので、多い人なら1年間の間に数十回、少ない人でも5~6回、漢方薬の修正(変更)を行います。

ところがこの患者さんは最初にお出しした漢方薬を1回も変更しませんでした。

つまり、原因が一つとシンプルだったのもあると思いますが、通常治療に約1年(12か月)必要なのですが、8ヶ月で髪が完全に生えてきて治療が終了になりました。

最初は思った以上に円形脱毛の部位が広かったので心配しましたが、思った以上に早く終わってホッとしました。

この症状に関してさらに詳しく知りたい方は→円形脱毛症のページ