不妊治療の患者さんが来られました。

この患者さんまだ20代後半と若いのですけれども、およそ3年前から不妊治療を始められて、 タイミング療法、人工授精を経て体外受精も一度されています。

しかし、思うような結果が出ないこともあって漢方相談に来られたのです。

実際には漢方薬は他の漢方薬局で服用されていたのですけれども、なかなかうまくいかないことと、私の薬局で妊娠された40代の高齢不妊の患者さんの紹介もあってご相談に来られたのです。

そこで、この患者さんの現在の状況を、問診からチェックしていくことにしました。
そうすると、問診上は大きな問題はなさそうです。

次に舌の状態を見ても、特に大きな問題ありません。

そのため、さらに西洋医学的な視点からチェックして行くことにしました。

まず血液検査のデータをチェックします。

もらった血液検査のデータには女性ホルモンの数値は載っていないのですが、特に問題がないということでした。
ただ他の病院で行なった不育症の検査で引っかかっている部分がありました。

どうも自己免疫疾患があるようでした。

そして、初めて行った体外受精の結果についてお伺いすると、採卵は10個できたのですけれども、そのうち受精できたのは5つで、 最終的に移植できたのは2つで、それも新生胚の移植だったそうです。

そして結果としては、その移植もうまくいかなかったため、病院を変えることにされたそうです。

その転院する病院は治療レベルは高いのですけれども、県外にある病院でした。

以上ことを踏まえて、当初は、不妊症と不育症と原因が二つあると推測しました。

漢方治療イメージ

そこで、今度は、不妊症と不育症のツボの反応をチェックすると、最初の段階では不妊症の方が少し問題として大きいのではないかと思いました。

そこで、まず最初に、不妊症の治療を行ってことにしました。

最初に出した不妊症に用いる漢方薬は、卵の育ちが良くないタイプで、基礎体温に大きな特徴のない方に用いるものでした。

それをとりあえず2週間、さらに2週間と、同じ漢方薬で様子を見ていていただいたのですが、基礎体温チェックすると、とても合っているようには思えなかったので、ここで漢方薬を変更することにしました。

そこで、大きく方向性を変えて、不育症の治療をしてみる事にしました。

そこで不育症に用いる漢方薬の中からこの患者さんに最も合うと思えるものを服用していただくことにしました。

それから2週間ごとに漢方相談に来られて、体の状態などをチェックしてみました。

正直、基礎体温は改善したとは言い難かったのですけれども、前回出した漢方薬よりは少し良いということと、不育症のツボの反応も悪くないということ、血液検査のデータから明らかに不育症はあるということから、この漢方薬を継続していました。

そして、この間、新しい病院で体外受精の治療を受けた結果が出たので教えいただきました。

採卵できた数は前の病院と一緒で10個だったのですけれども、前回は受精して、返すことができた卵が新生胚の2個だったのに対して、今回は、さらに分割の進んだ桑実胚で6個凍結できたそうです。

転院した病院のレベルも高いということもあるのですけれども漢方薬も合っていたのではないかと思います。
とりあえず、前回に比べて3倍受精卵が確保できたので、ほっとしています。