よくアトピー性皮膚炎の患者さんに訊かれるのが、「保湿はした方が良いですか?」という質問です。答えはケースバイケースです。
アトピーの患者さんで共通して言えるのは皮膚の再生能力が低いということとそれに伴って皮膚のバリア機能が低下しているということです。そのためちょっとした刺激に対してもすぐ炎症を起こしてしまうことが多々あるのです。
そこで大事なのはその部分を保護することです。つまり外からの刺激を入りにくくすることが重要なのです。
一方、保湿は皮膚の保水力が低下し、皮膚がカサカサした時にするべきものです。アトピーの患者さんでも皮膚がカサカサしている患者さんとジクジクしている患者さん。もっといえば、同じ患者さんでも皮膚がカサカサしている時とジクジクしている時期があったりします。
そのためカサカサいている時に保湿を行うと状態は安定しますが、ジクジクしている時にも同じように保湿するとジクジクをさらに悪化させてしまうのです。そのため保護は必要な場合が多いですが、保湿はケースバイケースということになるのです。
それによって皮膚に塗るものも異なってくるということです。保護なら馬油やスクアレン、オリーブオイルだけでもいいですが、保湿になると更に潤いを持たせるようなものを追加する必要が出てきたりするのです。