もう10年くらい私の薬局にご相談に来られている患者さんがおられます。
もともと最初にご相談に来られたのは妊活(不妊治療)のためで、その当時はまだかなり若かったのですが、早く子供が欲しいということでご相談に来られたのです。
その後、不妊治療(妊活)は2年くらい続けれられたのですが、今は様々な理由から妊活(不妊治療)ではなく、身体の不調の治療を行っています。
この身体の不調の症状や軽重は、その時々によって異なりますが、全く症状が無いということは無いです。
この身体の不調を引き起こしたもともとの原因はストレスだと思われます。
ただ、このストレスの原因は簡単には取り除けるようなものではないのです。
そのことはご本人もうすうすはわかっておられるので、現在の治療はもっぱら、その時に出てくる症状を取り除くことをしています。
本来漢方は体質改善(東洋医学的には本治といいます)をしてゆくのを目的とするのですが、ご本人のご希望や状況によって対処療法(東洋医学的には標治といいます)を優先して行うこともあるのです。
もともと、この患者さんは不妊専門病院にはあまり行かなかったので、基礎体温と自覚症状から、この患者さんに合うと思われる漢方薬をチョイスしていたのですが、その当時の基礎体温は絶対妊娠しないような基礎体温ではないのですが、正常の基礎体温と比べるとちょっと高温期が低くて、ほんの少し短いくらいの体温でした。
具体的に言えば、高温期は的に36.7℃を超えているのですが時々36.6℃代に下がったりする、高温期の日数が11日くらいでたまに12日の時もある。
高温期の正常な日数は12日~14日なので、そんなに悪くはないけど・・・良いとまでは言えないという感じでした。
それが年齢と共にもう少し高温期が低く(36.7℃を超えない日が増えてきた)、高温期の日数がもう少し短くなってきた(高温期の日数が10日~11日くらいが多くなってきた)のです。
それでも良くはないけど絶対妊娠しないレベルではないのです。
また、この患者さんの場合は心が極端に乱れると時々生理不順(なかなか排卵せず生理が遅れる)になったりすることもあったのですが、ストレスに対する漢方薬を出しているためか、悪い状態は続くことがありませんでした。
またストレスの軽重によって基礎体温そのものの形(高温期の温度の高さや長さ)が変化したりすることはありませんでした。
ただ、印象としては徐々に徐々に基礎体温の形が悪くなってきていることから、加齢に伴う卵巣機能が衰えてきているのだろうと思っていました。
ところが・・・というか、最近、やっとこの患者さんの根本的な問題点(漢方的な原因)で自分が見落としていた部分があることに気づいたのです。
この気づきによって、以前に比べより深い(根本的)な漢方薬が出せれるようになりました。
それによって、今までよりも薬の効果の持続時間が伸びたり、自分が思ったよりも広範囲に症状が改善するようになりました。
この患者さんの調子も見違えるほど良くなってきました。
そしてこの患者さんから前より基礎体温が良くなってる気がすると言われたのです。
そこで実際確認してみると、確かに今までと比べて、基礎体温の高温期の温度の高さが高くなり、高温期の日数が伸びてきたのです。
25年以上基礎体温を基に不妊治療を行ってきましたが、こんな事があるのか、と驚かされました。
まだまだ分からないことはありますね。
ひとの身体って不思議です。
さらに
、