患者さんが来られました。
この方、以前私の薬局で不妊治療をされていた方です。
その頃からは随分時間が経過しています。
今回どのようなご相談内容かお伺いすると・・・頭痛だそうです。
もともと頭痛持ちで生理前に悪化することが多かったそうですが、徐々にひどくなり、ここ2~3か月は本当に酷いそうです。ほぼ毎日頭痛がするそうです。
実際のところ、1年前から頭痛外来に通っているそうですが、どんどん良くなるということではなく、先ほど書いたように全体的には悪化傾向にあるそうなのです。
その病院で出されているスマトリプタンという片頭痛の薬を飲めば痛みは消えるのだそうですが、6時間経過すると電源が切れたようにすぐに痛みが襲ってくるそうなのです。
そして、その頻度が増す一方ということで、不安になってご相談に来られたのです。
この頭痛がひどくなった原因について心当たりが無いか?お伺いしたところ、ご自身では心当たりがないそうです。もともと頭痛持ちだから?と思われているようでした。
しかし、2~3か月前に突然原因も無く頭痛が悪化するとかは考えづらいので、何か原因はあるのではないか?と思うので、改めて患者さんに既往歴、現病歴、東洋医学的な問診など行ってみることにしました。
まず既往歴としては、約2年前に子宮筋腫の全摘手術を行ったということでした。
そのため、当たり前ですが生理は来ていません。
サプリメントや漢方薬は服用されていません。
また、頭痛と関連しそうなめまいや吐き気などは特にないそうです。またそれ以外に頭痛と関連しそうな冷え症はあり、足の冷えがあるとのことでした。またそれ以外に肩凝りと首コリはあるそうです。
ただし、この凝りは現在の仕事に関連するもので、この仕事を始めてから随分長い時間経過しているので、ここ2~3か月で悪化してきた頭痛とこの凝りは牽連してなさそうに思いました。
また、精神的なストレスについてお伺いしてみましたが、ここ数か月で状況的に厳しくなったとか、そういうことは一切なく、睡眠なども含め特に問題なさそうでした。
そこで改めて頭痛についてもう少し詳しく聞いてみることにしました。
頭痛は目の奥の痛みでズーンと来るような鈍痛だそうです。
そして痛みはほぼ毎日のようにあり、一日中続くそうです。
それ以外には肩・首コリと後頭部の重さだということです。
目の奥の痛みということで、ここ最近2~3か月目を良く使うようになったとかそういう事もお伺いしてみましたが、特にそんなことは無いそうです。
そこで改めて東洋医学的に頭痛と関連しそうな問題をチェックしてみると・・・やはり、首こり・肩凝り、後頭部凝りと目の奥の頭痛は関連していないようでした。
次に精神的な問題と頭痛の関連をチェックしてみましたが、これも特に関連していない感じでした。
次に冷え症と頭痛についてもチェックしてみましたが特に関連していない気がしました。
あとは目の使い過ぎと頭痛についてもチェックしてみましたが特に関係なさそうでした。
そうすると・・・わかりません・・・
そこで改めて、問診票を読み返してみると・・・
可能性の高いものを一つ見つけました。
更年期障害です。
この患者さんは子宮は全摘出していますが、卵巣は残っているのです。
そしてこの患者さんの年齢は50歳です。
丁度閉経する平均的な年齢なのです。そして2年前に子宮を全摘出しているので、生理が不順になっていく過程を経験していないことと、ホットフラッシュが出ていないことから自分が更年期障害とは気づかなかった可能性が高いのです。更年期は一般的に閉経の前後5年を指します。そのためこの可能性がとても高いのです。
そこで東洋医学的に女性ホルモンの反応の出てくるポイントをチェックしてみると・・・やはり、ここに反応が出ていました。
やっぱり更年期障害と考えて間違いなさそうでした。
そこで更年期障害に用いる漢方薬の中からこの患者さんに合いそうな漢方薬を探してみることにしました。
そうすると、いけそうなものが一つ見つかりました。それをとりあえず2週間お出しして様子を見てもらうことにしました。
そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・
前より少し良いそうです。2週間のうち、最初の1週間は午前中は痛みがほとんどで無かったそうです。でも1週間を過ぎてから徐々に痛みの時間がまた増えてきたそうです。
そこで、改めて東洋医学的にチェックすると・・・少し漢方薬がずれてきている気がしました。
そのため、再度漢方薬をチェックしなおして、今までの漢方薬にさらに別の漢方薬を追加して様子を見てもらうことにしました。
そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・前回よりももう少し良くなったみたいですが、やはり1週間を経過したあたりから症状が戻ってくる時間が増えてくるということでした。
そこで、また再度チェックしなおし、また前の漢方薬に修正を加えたものをお出ししました。
そしてまた次に来られた際には前より少し良くなっているということですが、1週間過ぎると症状が戻る時間が増えてくるということでした。
そして漢方薬服用して2ヵ月経過した頃から丸一日痛くないという日が出てきました。しかし、これはやはり前半の1週間の中で、後半になると午後から痛みが出てくるという感じになっ、てきました。
そして3か月経過する頃になると、前半の1週間は全く痛くないという状況になってきました。
さらに4か月経過後には痛い日が相談日前の数日まで減っていましたが、次の2週間後に来られた際には、前回よりも痛む日が増えていました。2週間の間に6日間痛かったそうです。
そのことで患者さんは結構ショックを受けたようです。
人の身体は機械ではないので、上手くいっていても、気候や生活環境などで症状の波はあるのです。私としては順調に改善している気がしましたが患者さんはそうは思わなかったようでした。
その後取られた予約を一旦キャンセルされたのです。
それからさらに3週間後再びご予約が入りました。
漢方薬を飲んでいる間はもうスマトリプタン(片頭痛)の薬はほぼ飲まなくて済むようになっていたのですが、漢方薬が切れてしばらく日数が経過してからものすごい片頭痛に襲われたそうです。そして余りの痛さに吐いてしまったそうです。
今まで少しずつ改善していたので、漢方薬がどれほど効いていたのか分からなかったけど、止めてみてどれほど効いていたか自覚したそうです。
そして、東洋医学的に今の状態に合わせてまた漢方薬をお出ししてみました。
そして次来られた際には前回に比べたらましだけれども数日おきに痛かったということでした。
そして再度チェックしなおし、また漢方薬を修正してお出ししました。
そして次来られた際に様子をお伺いすると・・・1日だけ痛い日が合ってあとは全く痛くなかったそうです。
大分良いところまで来ました。
あともう少しだと思います。
少しホッとしました。
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