HPを見て患者さんが来られました。

ご相談内容は妊活(不妊治療)です。

現在この患者さんは40代で3年前から不妊専門クリニックに通われています。

そして、ここ半年くらいは体外受精のための採卵を行っても卵胞が育たない状況が続いているということでご相談に来られたのです。

そこでこの患者さんの病院で受けられた検査結果を一通り見せていただきました。

そうすると・・・

かなり厳しい状況だとわかりました。

3年前の段階でAMH(抗ミュラー菅ホルモン)の値は0.5未満で、FSH(卵胞刺激ホルモン)の値は40mU/ml前後でこの段階で数値上でも閉経状態でした。

他にも検査値的な問題があるものはありましたが、一刻を争う程の問題ではありませんでした。

そこで、今まで通われていた不妊専門クリニックでの不妊治療のやり方に関してお伺いしたところ、ホルモン補充を中心とした高刺激の治療を行っていたようでした。

不妊治療イメージ

それで上手くいく場合もあるのですが、この患者さんの現在のホルモン値と今まで行っていた体外受精の方法とその治療過程での卵胞の成長などを総合的に考え合わせてみると、現在のこの患者さんの卵巣の状態に対して不妊専門クリニックの治療はミスマッチの気がしました。

そして、ここが最も重要な気がしましたので、時間をかけて、この患者さんの西洋医学的にみた現在の卵巣機能の状況と現在通われている不妊専門クリニックで行っている治療がどういうものか?

についてかなり丁寧に説明しました。

初回の漢方相談は1時間をお取りして、漢方相談およびお薬をお出しするところまで行うのですが、この患者さんの状況があまりに厳しかったため、漢方的な説明でなくこの西洋医学的な説明だけで、1時間かかってしまいました。

もうこの日は予約がすべて埋まっていたので、次回改めて漢方相談を行うことにしました。

そして、この1時間を使ってお話した、不妊専門クリニックの病院選び(転院を含む)についてご夫婦でよくよく話し合ってもらうようにお願いしました。

そして2週間後に来ていただいた際に、今後の病院に関してお伺いすると、転院されることを決められたそうです。

そして、この患者さんに合いそうな漢方薬を前回書いていただいていた漢方問診表や検査データをもとに事前にいくつか候補をチョイスしていた漢方薬の中からこの患者さんに最も合うと思われる漢方薬をお出して様子を見ていただくことにしました。

漢方治療イメージ

それに伴って漢方薬の働きを手助けする最小限の養生法を実践していただくようお願いしました。

そして、大体2週間間隔でご相談に来られました。

その都度、基礎体温及び東洋医学的なチェックを行うのですが、漢方薬の適量をチェックするたびに、とある漢方薬の量を増やさないとこの患者さんの状態に合わないのです。

それが2週間間隔で必ず増量しないといけない感じになるのです。

それが約2か月続きました。

こういう例は本当に稀で、過去に1例しか経験したことがありませんでした。

その時には患者さんが間違った養生法を熱心にされていて起きていたことが原因でした。

そのため、この患者さんも恐らくそうなのではないか?と思っていました。

その際丁度運よく、この患者さんの次の患者さんが変更になってもう30分余分に時間が取れたのです。

その際にこの患者さんとご主人から様々な質問があり、それにお答えする中で、かなり間違った養生法を実践されていることが分かりました。

食養生イメージ

その中の例をいくつか挙げると、

ザクロジュース→不妊治療をされている方に合っているのを私は過去一度も見たことがありません
そのため、止めていただきました。

豆乳を大量に飲む→これも勘違いされている方が多いのですが、不妊治療に関して言えば、合う人は見たことがないです。そのため止めていただきました。

玄米食→健康全般に関しては良い人がいますが、全員ではないです。しかも、この患者さんの漢方的
不妊の原因にミネラル不足があるため止めていただきました。

これ以外にもこの倍くらいの数の誤った養生法を良かれと思って実践されていました。

これらすべての養生法を理由をすべて説明して止めていただきました。

そして、2週間後来られた際に、今まで使っていた漢方薬が全く合わなくなっていました。

恐らく、誤った養生法によって身体の状態もおかしくなっていたのだと思います。

そこで改めて、今のこの患者さんに合う漢方薬を探してみることにしました。

そうすると、これは粉薬よりも煎じ薬の方がはるかに効果が高いものでした。

そのため、この患者さんにその話をして煎じ薬ご自身で作って服用していただくようお願いしました。

それからも2週間間隔でご相談に来られたのですが、漢方薬を変更して約1か月半で卵胞が久しぶりに見えたそうです。そして2か月後には採卵までこぎつけることができました。

ただ、残念ながら受精卵を凍結できるまでには至りませんでしたが、約10か月ぶりに卵胞が育ったということで、今後に希望を持たれたようです。

実際、今後に関してはやってみないと何とも言えないのですが、少なくとも言えることは、

・卵巣機能が衰えてきた時には病院選びがとても重要である。

・間違った養生法を行うと卵巣機能は反って低下する。

・卵巣機能が低下したから決まった漢方薬があるわけではなく、その人に合った漢方薬選びが重要である

ということです。

 

 

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