ネットを見て不妊治療の患者さんが来られました
この方は現在40代で、お子さんが二人いるのですけれども、お子さんがもう一人欲しいということで、三人目不妊の相談に来られたのです。
三人目(二人目)不妊になる原因には様々なものがありますが、中でも多いのが、高プロラクチン血症と高齢不妊です。
高プロラクチン血症のプロラクチンとは乳汁分泌ホルモンのことで、おっぱいを出すためのホルモンです。
このホルモンは通常妊娠から出産して子供を母乳で育てている間だけ高濃度に分泌されるホルモンなのですが、産後まもなく三人目(二人目)を出産したいということで来られる際には、まだ断乳してから間もないため、このホルモンが高くなっていることがあるのです。
このプロラクチンが高濃度にあると女性ホルモンの分泌を抑制して妊娠しづらい状態にしてしまうのです。
また高齢不妊とは、最近の結婚年齢の上昇で一人目の出産が遅くなり、出産した子供を育てて、いざ、二人目を生みたいと不妊治療を再開したときには、不妊治療としては高齢になってしまっているという状況があるのです。
この方は一人目を産んだ時にはそれほど高齢ではなかったのですが三人目までの間に時間が経過して結果として高齢になってしまっていたのです。
では高齢不妊になると何が問題になるのでしょうか?
それは、加齢に伴い、卵巣機能の低下(女性ホルモンの分泌や周辺組織の機能低下)が起こるのです。
また、加齢にともなって、卵の質そのものが低下することになりますし、年齢によって卵の数そのものが減ってきてしまうのです。
最初この患者さんの漢方相談をした際にはこの方の年齢から考えて、おそらく不妊の原因は高齢だからだろうと、思いました。
ところが病院のホルモン検査や漢方的な問診、基礎体温などをチェックしてみると、年齢的な衰えは現在のところ全く出てきていないのです 。
むしろ、うちの薬局に来られている30代前半の患者さんよりも、全体的な状態は良いように感じました。
唯一良くなかったのがプロラクチンが高いという点でした。
一般的に高プロラクチン血症というのは一般的には30ng/ml以上になるのですけれども、プロラクチンの値を重視する不妊治療のクリニックなどではおよそ15ng/ml以上であるとプロラクチンが不妊に影響している可能性があると考えるのです。
この基準で考えた時にこの患者さんは28ng/mlと明らかに高い数値でした。
そのためこのプロラクチンを下げるための漢方薬を服用していただいたのです。
そして約3ヶ月後に血液検査を再度受けていただいたら完全に正常になっていました。
その結果が以下の画像です。
来局前のプロラクチンの値 |
漢方薬を3か月服用後のプロラクチンの値 |
プロラクチンの値が28から3ヶ月で10ng/mlまで下がっているのは分かると思います。
漢方薬でも治療がうまくいくと高プロラクチン血症が正常値になるのです。
とわいえ、正常値になってホッとしました。