と紹介の患者さんが来られました。
と言っても、少し前まで別件でご相談に来られていた方です。
以前は何十年も続いていた蓄膿のご相談に来られていたのです。
その時には1年ちょっとの漢方薬の服用で体質改善まで行い、薬は何も服用していないですが、現在、その症状は全く出なくなっているのです。
今回のご相談内容をお伺いすると・・・
唾石(だせき)だそうです。
唾石(だせき)って知らない人もおられると思うのですが、唾石(だせき)とは唾液腺の中の主に顎下腺や導管という唾液の通り道に石ができる病気です。
この疾患はかなり稀な疾患で発生頻度は人口当たり0.1%未満と言われています。
そして、この石は何からできているか?というとリン酸カルシウムと炭酸カルシウムで、どうしてこのような石ができるのか?その原因としては、大きく3つあると言われています。
①唾液の流れが停滞することでリン酸カルシウムと炭酸カルシウムが沈着し、結晶化しやすくなる。
これを引き起こす要因と考えられているのは水分不足、ストレスによる唾液の減少、加齢(老化)等
②唾液の性質の変化によるリン酸カルシウムと炭酸カルシウムの結晶化の促進
唾液のpHがアルカリ性に傾くと、リン酸カルシウムと炭酸カルシウムは結晶化しやすくなる。
③細菌感染や炎症によってリン酸カルシウムと炭酸カルシウムが沈着しやすくなる
細菌感染や炎症が生じると白血球などの死骸が発生し、それらを中心にリン酸カルシウムと炭酸カルシウムのカルシウム塩が沈着しやすくなる。
唾石によってどのような症状が出るのかというと、食事がきっかけとなって顎の周りや耳の下が腫れて激しく痛む『唾疝痛(だせんつう)』という症状が特徴と言われています。
ただし、実際には自覚症状のない無症候の人がかなりいると考えられています。
そして、唾石は食事とも関係があると考えらています。
水分摂取が少なかったり、カルシウム、リンを多く含む食品の過剰摂取は、リン酸カルシウムと炭酸カルシウムの濃度を上げ、結晶化を引き起こすリスクが高まります。
先ほど挙げたリンですがプロセスチーズやちりめんじゃこ、卵黄、アーモンドなどにも多く含まれてますが、無視できないのはハムやソーセージなどの加工肉、インスタントラーメン、菓子パンやスナック菓子、冷凍食品、コーラなどの炭酸飲料などにも割と含まれているのです。そのため、コンビニで食事を済ましてしまような生活を続けるとそのリスクは上がる可能性があるのです。
そこで改めてもう一度、この患者さんの唾石ですが、唾石ができ始めたのを自覚したのは小学生で、その頃には唾石というものの存在さえ分からなかったそうです。
そして正確な年数はわからないみたいですが、十数年くらい唾石を放置したら、座薬くらいの大きさになり、切開手術をし唾石を取り除いたそうです。
しかし、唾石ができる原因そのものを治療できるわけではないため、大体3か月くらいで砂粒くらいの大きさの唾石がづっとでき続けているということでした。
その手術から約5年、唾石は大豆くらいの大きさまで成長し、このままではまた切開手術をしなかればいけないということで、ご相談に来られたのです。
漢方では、胆石や尿管結石などに対する漢方薬が複数あり、その患者さんに合う漢方薬を出せば、時間はかかりますが、多くのものは小さくなっていきます。
そのような治療経験は私にもあるのですが、唾石の治療は初めてでした。
ただ、身体でできる石は原則、同じ治療で可能だとも聞いた事がありました。
実際に所どうなのか?そこで改めて東洋医学的な種々のチェックを行った所、確かに、感覚的には尿管結石とかに使う漢方薬で治療が可能である可能性を感じました。
そこで、患者さんにそのことをお話して煎じぐ薬をとりあえず2週間お出しして様子をみることにしました。
そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・
唾石少し小さくなったと言われるのです。
ホント?
にわかには信じがたいですが、2週間でご本人様が自覚できる程度には改善しているという事でした。
そこで再度同じ漢方薬をまた2週間お出ししてみました。
そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・
唾石がひと回り小さくなったという事でした。
ホントかな?とも思いましたが、患者さんがウソをいう理由もないので、また2週間同じ漢方薬をお出ししました。
そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・またひと回り小さくなったそうです。
そこで患者さんに唾石がどうやって小さくなっているのか確認することが出来るのかお伺いすると、舌で触って確認できるのだそうです。
胆管にしろ尿管にしろ直接触ることはできない部分ですが、確かに顎下腺あたりなら直接触れそうです。
まだ治療を始めたばかりで、最初はどうなんだろう?と思っていましたが今のところ順調で良かったです。
さらに
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