ここでは脊椎(腰椎)分離症、腰椎すべり症の概略、症状、原因、一般的な治療、漢方薬での治療、養生法などについてお話しします。
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症とは
脊椎(腰椎)分離症
脊椎の椎間関節の上関節突起と下関節突起の間が骨折することによって脊椎の上部と下部で前方と後方に別れてしまっているものを言います。
特に腰椎の4番、5番あたりで発生することが多いため、腰椎分離症と呼ばれることもあります。
脊椎(腰椎)すべり症
脊椎すべり症とは脊椎の中の特に腰椎が前後にずれてしまう病気です。
この脊椎すべり症には脊椎分離すべり症と腰椎変性すべり症の大きく二つに分類されます。
脊椎分離すべり症とは先ほどの脊椎分離症が原因となってすべり症を起こすものです。
腰椎変性すべり症とは主に腰椎の椎間板が痩せ細ることで隙間ができ、その結果として関節靭帯などが緩み腰椎が滑ってしまうものです。
これらの病気は、結果としては腰椎が不安定になり
いずれかの腰椎が前に連れてきます。
その結果として、腰椎の中を通っている脊柱管が圧迫されて狭くなります。
このため間欠性跛行などを認めたり、鈍痛やしびれを伴う慢性腰痛、坐骨神経が影響を受けて坐骨神経痛などを発症することがあります。
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症の原因
ここでは脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)変性すべり症ののそれぞれの原因について説明します。
脊椎(腰椎)分離症の原因
脊椎(腰椎)分離症は主に腰椎同士の関節を形成する上関節突起と下関節突起の接合部にひびが入る(骨折する)ことによって生じます。
この関節にひびが入る原因は加齢でも起こりますが、特に若年者で腰椎分離症の起こる原因としては過度なスポーツなどでの疲労骨折が原因となっていることが多いです。
脊椎(腰椎)変性すべり症の原因
脊椎(腰椎)変性すべり症の主な原因は下部腰椎(腰椎4番、5番)の関節や靭帯のゆるみです。
この関節や靭帯が緩む原因としては加齢に伴って腰椎と腰椎の間に合った椎間板が痩せてきます。
そうすると、もともとの腰椎と椎間板の間にゆるみが出てきます。
このゆるみの分だけ上の腰椎が前にずれてしまうのです。
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症一般的な症状
脊椎(腰椎)分離症でも脊椎(腰椎)すべり症でも結果としては腰椎のすべり症を引き起こします。
すべり症によって腰椎1つでも前にずれると、腰椎の中を走っている脊柱管が狭くなります。
この脊柱管の中には神経の束である脊髄が中を通っています。
結果として脊柱管が狭くなることで脊柱管の中にある脊髄が圧迫を受けて機能が低下してしまうのです。
これが一般に言われる脊柱管狭窄症です。
脊柱管狭窄症の代表的な症状として間欠性跛行があります。
間欠性跛行とは長い時間歩くと痺れや痛みが生じ、休むと症状が改善するという特徴ののものです。
脊髄は腰椎付近では神経根が出ており、骨盤付近からは足に行く馬尾神経が出ています。
この脊髄の圧迫に伴う機能低下で、腰部に腰痛(鈍痛)やしびれなどを起こしますし、馬尾神経の機能低下によって坐骨神経痛(下肢のしびれや痛み)を発症するのです。
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症の西洋医学による治療
脊椎(腰椎)分離症にしろ脊椎(腰椎)すべり症にしろ、軽度の場合は行われる治療は同じです。
基本は安静(無理をしない)、ストレッチ、腰回りの筋力の強化です。
持続的な痛みがある際は炎症を起こしている可能性があるので安静が基本なのです。
それと同時に脊椎分離症、腰椎すべり症は腰椎の椎間関節が緩んだ状態になっているので、その周辺の筋肉を強めて腰椎を支えることで症状が出にくくなります。
また、動くと痛みがまず場合には、コルセットなどの装具を使う事もあります。
ただし、痛みが緩和するからといって一日中、長期間にわたって使用すると、腰周辺の筋力が弱ってしまうため、より慢性化してしまうという問題が生じてしまうため、注意が必要です。
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症で常に痛みがある場合には、消炎鎮痛剤(痛み止め)の内服、外用(湿布薬)と筋弛緩剤の内服などが用いられるのが一般的です。
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症で痛みが激しい場合には、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤の内服と併用して、さらにトリガーポイントに神経ブロック注射(局所麻酔薬や抗炎症薬)を用いることがあります。
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症で上記の薬物療法や物理療法でうまくいかない場合、腰椎を固定する手術や神経を圧迫している椎弓を除去する手術を行わなければならないことがあります。
それ以外に、補助的な療法として、温熱療法やけん引療法などが行われることがあります。
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症の漢方薬による治療
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症を漢方薬で治療する場合、基本的にこれらは結果としては関節(骨)の問題で痛みが生じていると考えます。
この関節(骨)の問題を漢方的な理論である気血水で考えると水の問題と考えます。
そのため、治療は水の偏在(水毒)を取り除くような漢方薬を用います。
急性的な痛みに対する漢方薬としては越婢加朮湯などを基本にいくつかの漢方薬を併用して服用していただくことが多いです。
慢性的な痛みに関しては桂枝加朮附湯などを基本にしていくつかの漢方薬を併用していただくことが多いです。
脊椎(腰椎)分離症、脊椎(腰椎)すべり症の養生法
脊椎(腰椎)分離症にしろ脊椎(腰椎)すべり症にしろ、痛い時には安静にすることが基本です。
また腰周辺の筋肉を鍛えることも悪くはないと思います。
病院で行っている治療で特にお勧めしないのがけん引です。
他の治療に関しては痛みが激しい場合、やむを得ないこともありますが、けん引は全く根本的な改善にも結び付かないですし、腰周辺の靭帯を延ばしてしまう危険性があるので止めた方が良いと思います。
脊椎(腰椎)分離症にしろ脊椎(腰椎)すべり症で重要なのが食養生です。
脊椎(腰椎)分離症にしろ脊椎(腰椎)すべり症の患者さんはミネラルが不足している患者さんが多いです。
そのため、食事の中でできるだけミネラルを補うことが重要です。
具体的には小魚(じゃこやイリコなど)魚の内臓ごと食べれるものを積極的に摂ることが大事です。
また、ミネラルを身体から排出するような食べ物(玄米、山菜など)をできるだけ摂らないことも重要です。
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