不妊症の患者さんが来られました。
この方、今日はお一人で来られたのですけれども、一番最初に相談に来られた際には、ご主人と二人で来られたのです。

相談内容は、ご夫婦で3年半前から不妊治療を受けているのだけれども、なかなか妊娠しないということでした。
そして、その時にはまだ、他の漢方薬局で漢方薬を飲んでいたのですが、なかなか結果も出ないということもあって相談に来られたようです。

この3年半の不妊治療の間に、病院を三つ変わって、トータルとしては7回の人工授精1回の体外受精をされています。

そして、ご相談内容の中で、特に心配されていた1つに、ご主人の男性不妊がありました。

精液検査をしたところ、精子量は正常だったのですが、精子の運動率が低い(当時は運動率10%以下)の精子無力症でその原因として精索静脈瘤が見つかって、2年前に手術されたそうです。

そこで、まず、主人の精液検査の結果を見せてもらうことにしました。

そうすると、確かに精索静脈瘤の手術をする前は、精液検査の結果は思わしくなかったです。

しかし、手術後は精液検査の結果、精子量は正常のまま、運動率は40%以上の正常値になって改善しています。
つまり、手術はうまくいったということなのです。

ところが、しばらくしてから、精液検査の結果が徐々に悪くなり始め、ここ最近の精液検査の結果だと、体外受精でないとできないレベルまで下がってしまっているのです。

漢方相談イメージ

何で、こんなに精子の量が減ってきたんだろう?

考えられるのは、精索静脈瘤の再発や漢方的な視点に立てば、疲労の蓄積などです。

それらの可能性を問診やツボによるチェックなどで確認してみましたが、特に問題なさそうです。

そこで、それ以外の問題を探してみました。

まず、現在飲んでいる漢方薬、サプリメントはいつから飲み始めたのかを聞いてみました。
そうすると、別の漢方薬局で出された漢方薬を飲み始めてから1ヶ月くらい後の検査から検査結果が悪くなっているのです。

そこで、今まで通われていた漢方薬局で出された男性不妊用の漢方薬を男性不妊のツボでチェックしてみました。

そうすると・・・やはり合っていないのです。
特に、腎虚(老化)に伴う精子の減少の際に使う漢方薬が特に合っていないのです。
ご主人は年齢的にも外見も若く、そんな老化が進んだタイプには見えないのです。

漢方薬は副作用はないと思われている方も多いと思うのですが、合わない漢方薬を服用すると状態は悪化するのです。

そして、このご主人の男性不妊の状態の現れるツボをチェックすると・・・
この患者さんには現在は男性不妊の原因は無いのです。

つまり、精索静脈瘤の手術をされて、男性不妊ではなくなっていたのです。

男性不妊のない健康な人に余分な漢方薬を出していたことが問題だったのではないかと判断しました。

そこで、ご主人には漢方薬・サプリメントを何も一切飲まないで2~3か月時間が経ってから、また精液検査を受けてもらうようにお願いしました。

男性不妊改善イメージ

そして、何も服用せず、約2か月経過したところで精液検査をする機会があり、精液検査を行うと、精子量は約5000万(正常値2000万以上)、運動率は47%(正常値40%)以上といずれも正常値になっていました。

というか、むしろ、優秀な方だと思います。

このように、漢方薬を飲めば飲むほど良くなるわけではないという事があるのです。

本来は、今まで通われていた漢方薬局の先生が精液検査の結果が漢方薬を出し始めてから低下してきている段階で気づくべき話だと思います。

残念ながら、前の漢方薬局は漢方薬を出す前提で考えられていたのだと思います。

まあ、とりあえず、この患者さんは何も飲まなくて良くなったので、良かったです。